菊名のイタリアンバルで、19歳の看板娘は空も飛べるはずだと思った
看板娘という名の愉悦 Vol.89
好きな酒を置いている。食事がことごとく美味しい。雰囲気が良くて落ち着く。行きつけの飲み屋を決める理由はさまざま。しかし、なかには店で働く「看板娘」目当てに通い詰めるパターンもある。もともと、当連載は酒を通して人を探求するドキュメンタリー。店主のセンスも色濃く反映される「看板娘」は、探求対象としてピッタリかもしれない。
菊名。新横浜駅のひとつ手前の駅である。菊が咲く地だったので「名菊」としたが、「嘆く」に語感が似ているため「菊名」と改名した。


今回の看板娘はイタリアンバルで働く大学1年生。


オススメのお酒はサングリア。赤はほのかに甘く、白は柑橘系でスッキリ、ロゼはフルーティーな苦味があるという。ロゼでお願いします。

看板娘、登場

水野ちゃん(19歳)。店ではそう呼ばれている。大阪で生まれて3歳のときに横浜に引っ越してきた。
「母が言うには正義感が強い子供で、保育園では乱暴する男子に毅然とした態度で立ち向かっていたそうです(笑)」。
フードメニューはどれも美味しそうだ。
「オススメ? 迷いますね。賄いが美味しすぎて幸せな職場なんですよ」。


「九州カボスとホタテのクリームパスタ」(1100円)もいただこう。


横浜アリーナが近いため、店の前の道はジャニーズの日はジャニーズの、ビジュアル系の日はビジュアル系のファンが往来する。

厨房で働くスタッフに水野ちゃんの魅力を聞いた。

そんな水野ちゃんには愛犬がいる。名前は「まめ」。チワワとマルチーズのミックスで大倉山のオリンピックで買ったそうだ。

「うちに来た当初はお母さんに懐いてたんですけど、最近は私にも甘えてくるようになりました。『抱っこして』みたいな感じで膝の上に乗ってきてかわいい」。
水野ちゃんの趣味は映画鑑賞。とくに「重たい系」の邦画が好きだそうだ。
「『宮本から君へ』は最高でした。原作の漫画は読んでいないんですが、あれは本当にいろんな人に観てほしい」。

好きなバンドはスピッツ。こちらはお母さんの影響だ。
「母は『私は有名になる前から好きだったから』って自慢してくるんですよ。インディーズ時代のカセット音源も持ってます」。
一番好きな曲を聞くと「好きすぎて選べません」とのこと。12月14日の横浜アリーナライブにはお母さんと一緒に観に行くそうだ。

食べることも大好きで、いまハマっているのは餃子。最近感動した品々を見せてもらった。

「サイズが大きくて肉汁がジュワーって溢れます」。

「揚げ餃子と酸っぱい餡の相性が抜群」。

「皮がパリパリで食感が最高です」。
この店は、たまたま求人の張り紙が目に入り、「いい雰囲気だなあ」と思って応募したという。
「お客様が大人の方ばかりなので、料理を出すタイミングとか色々勉強になります。男女でいらっしゃったら女性の方に先にお出しするとか」。

19歳。伸び代しかない。空も飛べるはずだ。では、最後に読者へのメッセージをお願いします。

【取材協力】
BARBA
住所:神奈川県横浜市港北区篠原北2-10-16
電話番号:045-294-2561
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石原たきび=取材・文