20代から好かれる上司・嫌われる上司 Vol.2
2019.09.20
LIFE STYLE

「オレたち氷河期世代は」とか言う上司は20代から嫌われる

嫌われる上司

連載「20代から好かれる上司・嫌われる上司」 Vol.1
組織と人事の専門家である曽和利光さんが、アラフォー世代の仕事の悩みについて、同世代だからこその“寄り添った指南”をしていく連載シリーズ。好評だった「職場の20代がわからない」の続編となる今回は、20代の等身大の意識を重視しつつ、職場で求められる成果を出させるために何が大切か、「好かれる上司=成果がでる上司」のマネジメントの極意をお伝えいたします。

別に、好かれなくても良いが……

人事コンサルティング会社、人材研究所代表の曽和と申します。ただいま48歳のアラフィフで、まさに「就職氷河期世代」です。この連載のテーマは20代の若者部下から信頼される上司になるにはどうすれば良いかということです。

この、信頼される、というのはイコール好かれるということではありません。上司は部下とともに、事業や仕事の目的を達成すれば良いのです。好かれていてはできないこともあります。嫌われる勇気が必要なこともあります。ですから、好かれなくてはいけないというわけではありません。

しかし、現実的には心底嫌われるとマネジメント上不利になる場合が多いでしょうし、上司自身も心地の良いものではありません。できれば若い部下たちに好かれながら、気分良く組織目標を実現していくためにはどうすべきか。これを考えていきたいと思います。

 

若者と共感の接点を持てるか

さて、第1回目のテーマは「共感」です。人と人との間に信頼関係ができるためにはなんらかの部分で共感の接点がないといけません。「この人は自分となんだか同じ匂いを感じるなあ」と思うからこそ、言っていることを素直に受け止めることができるからです。

逆になんとなく正しそうなことを言っていても、自分とは価値観が違うと感じられる相手には首肯したくないと思うのも人情。それゆえ、なかなか難しいとは思いますが、我々40代も若者との接点を探していかなくてはなりません。

しかし、問題はどこを共感の接点に持っていくかです。全然違うのに無理やり「オレもお前と一緒」と言われたら逆に引かれるだけです。あくまでも自然に、相手も「確かにそうだね」と言ってくれるようなポイントで、共感の接点を探さなくてはなりません。

 

「お互いに不景気な時代に生まれたよな」は通用するか

よく共感ポイントとして我々世代が持ち出してしまうのが、「オレもおまえも、同じ不景気世代」ということです。団塊ジュニア世代や氷河期世代、最近では人生再設計第一世代とさえ呼ばれてしまう我々世代は、恵まれない時代に生まれたという変な自負心があります。

社会に出たとき、バブルは終わっていて何の恩恵も受けることができず、まだインターネット革命は起こっておらずデジタルネイティブにもなれず、脂の乗り切ってきた頃にリーマンショックが起こり少しばかりの資産も失い、そして現在ではリストラの対象ど真ん中に。思えば辛い世代です。

今の20代の若者は、我々世代の社会人時代に成長したわけですから、年齢や立場は違えども「お互いに不景気な時代に生まれた」と言いたくなるのもわからなくもありません。

しかし、若者は共感してくれるでしょうか。

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僕たちは別に可哀想な人たちではない

おそらくそこに共感は生まれないでしょう。というのも、若者たちは、生まれたときからずっと不景気でデフレの時代を生きており、これが「ふつう」だからです。「僕らは不景気な時代に生きている」ともちろん理解はしていますが、あまりに「ふつう」過ぎて、「不景気で不幸だ」というような実感はありません。平成の間、親世代のサラリーマンの平均年収は数十万円も下がりました。小遣いも、仕送りも減り、モノは買えなくなりました。

バブルの頃の大学生の仕送りの生活費は平均7万円(家賃は含まず)、今は平均2万5000円です(しかもそのうち数千円はスマホ代)。こういう「お金がない」という制約条件に慣れた彼らは、外食も酒もクルマも高級ブランド服も要らないと、そもそもモノを欲しがらなくなっています。

 

お金がないと楽しめないのはカッコ悪い

彼ら若者たちはこの不景気な日本を、うまくスマートに生き抜いています。デフレも後押しして、節約生活も楽しんでいたりします。それを「不幸」と言われて同情・共感を上の世代から強制されても、違和感を持ってしまうのではないでしょうか。

むしろ、不景気をことさら言いたてて、バブル世代への羨望を隠さない我々世代は、カッコ悪いのです。「仕方のないことに対していつまで愚痴を言うのか」「そんなにバブル景気がうらやましかったのなら、頑張って景気良くすれば良かったじゃないか」と思うでしょう。

中途半端にバブルの残り香を嗅いでしまい、中途半端な消費生活をしている上司は、「今の世を楽しめない、現実逃避の人」にすら見えるかもしれません。「なんでそこまで無理して、お酒飲んだり、キャバクラ行ったりしてるんですか。バカなんですか」と。

 

質素だが豊かな精神生活に共感の可能性あり

バブル世代や氷河期世代から見れば、お金がない状態でも楽しもうと、節約生活を送ったり、スマホでバーチャルでお金のかからない「コト消費」をしていたりする。そんな若者は、「やせ我慢」に見えるかもしれません。

しかし、その認識を改めなくては、いつまでも「欲にまみれた汚い人」と思われるのがオチです。

彼らはお金持ちにむやみに憧れず、欲望を自然にコントロールして、清貧に質素に、しかし豊かな精神性の高い生活を送っているのです。満ち足りている人も結構います。

そういう若者に「俺たち不景気な時代に生まれて、割食ってるよなあ」と共感を求めてもダメです。「お前も欲求不満なんだろ。おごってやるから発散しようぜ」といったアプローチも唾棄レベルです。

むしろ彼らの生き方に寄り添って、自分たちも質素だが精神性の高い暮らしにチャレンジしてみることが大切です。なるべくお金を使わずに、豊かな暮らしを実現しようとすることが、若者を理解し、共感を得る「好かれる上司」につながっていくのではないでしょうか。

曽和利光=文
株式会社 人材研究所(Talented People Laboratory Inc.)代表取締役社長
1995年 京都大学教育学部心理学科卒業後、株式会社リクルートに入社し人事部に配属。以後人事コンサルタント、人事部採用グループゼネラルマネジャーなどを経験。その後ライフネット生命保険株式会社、株式会社オープンハウスの人事部門責任者を経て、2011年に同社を設立。組織人事コンサルティング、採用アウトソーシング、人材紹介・ヘッドハンティング、組織開発など、採用を中核に企業全体の組織運営におけるコンサルティング業務を行っている。
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