37.5歳からの愉悦 Vol.111
2019.09.19
FOOD&DRINK

歌舞伎町の隠れ家スナックで、看板娘の刈り上げが美しかった

看板娘という名の愉悦 Vol.83
好きな酒を置いている。食事がことごとく美味しい。雰囲気が良くて落ち着く。行きつけの飲み屋を決める理由はさまざま。しかし、なかには店で働く「看板娘」目当てに通い詰めるパターンもある。もともと、当連載は酒を通して人を探求するドキュメンタリー。店主のセンスも色濃く反映される「看板娘」は、探求対象としてピッタリかもしれない。

新宿・歌舞伎町。日本一、いや東洋一の繁華街ともいわれている。中心街的な「セントラルロード」は数年前に「ゴジラロード」に改名された。

東宝シネマ
東宝シネマの屋上から顔を覗かせるゴジラ。

さらに進んでラブホ街のど真ん中に、目指すスナック「えぷろん」がある。

ビル前
こちらの雑居ビルの2階。

看板がないので初訪問の際は、やや戸惑うかもしれない。

外観
この集合ポストが唯一のヒントだ。

階段を上がって扉を開けると常連客で賑わっている。

内観
看板娘も発見。

ホッピーを含め、ひと通りのお酒が揃っているが、オススメは「『幻舞』という日本酒が美味しいですよ」。

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看板娘、登場

看板娘
「こちらでーす」。

長野市の酒千蔵野が作る無濾過の特別純米酒で、杜氏は女性だという。

「日本酒が飲めなかったウチのお姉ちゃんが、これで突然ハマっちゃいました」。

日本酒
1杯880円……ってあれ? グラスに「愉悦」と彫ってある。

当連載のタイトルは「37.5歳からの愉悦」。なんとも嬉しい出合いだ。

「愉悦を追求するためだけに活動する部活動が出てくる『Fate/Zero』っていうアニメのグッズです」。

「私、オタクなので」と言って笑うのはカエさん(33歳)。5年ほど前から、この店の店長を務めている。

お通し(500円)は人参しりしりだが、もう一品食べたい。

「最近のイチ推しは680円の唐揚げです。ちょっと甘めのタレに漬け込んだ鶏肉をカラッと揚げています」。

料理とお酒
愉悦の夕餉が完成。

唐揚げは絶品だったが、カエさんの刈り上げも気になる。

刈り上げ
気持ちいいぐらいの刈り上げぶり。

「家の近所の美容室で昨日切ってもらいました。刈り上げているときってすごく気持ちいいんですよね」。

なお、本日のカウンターレディーは声優志望のレーナさん。お客さんとのトークを盛り上げるカエさん。黙々と料理を作るレーナさん。息もぴったりだ。

店員
マッサージ棒で肩こりをほぐすふたり。

自身で「オタク」だというカエさんは画才にも長けている。

イラスト
店の女性スタッフをキャラクター化したもの。

カエさんはカエル、沖縄出身のレーナさんはイリオモテヤマネコだ。さらに、カエさんは店の日常を綴った「えぷろん漫画」もTwitter上で連載している。

「これをまとめて出版するのが当面の夢なんです」。

マンガ
レーナさんはイチゴ牛乳の焼酎割りがお気に入りらしい。

「カエさんは好きなものに対するハマり方がすごい」とレーナさん。

過去写真
こちらは今年8月に実施した浴衣デーの様子。
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しかし、さすが歌舞伎町。客層が濃い。この日は電撃ネットワークの新メンバー、ランディー・ヲ様が来店していた。

お客さん
奥の紳士です。

「デコるのが好きなので顔も携帯もデコってます」という自己紹介。

スマホ
アートだ。

彼はモリフクロウを飼っており、よく肩に乗せて歌舞伎町を散歩しているそうだ。

お客さん
非常におとなしい「パチクリ子」ちゃん。

カエさんに最近の歌舞伎町事情を聞いてみた。

「あ、さくら通りにいつもいる野良ネコちゃんがかわいいですよ。みんなで世話をしている感じで」。

ネコ
彼(彼女)も歌舞伎町の住人だ。

カエさんは所沢生まれ。友達と遊ぶより、ひとりで近くの航空公園に行って虫を観察したり木に登ったりする子供だったという。そんな人が大人になって接客業をこなしているところが人生の面白さだ。

「スタッフもお客さんも温かい。ちなみに、この物件は電子レンジと炊飯器を同時に使うとブレーカーが落ちるので、ご飯は鍋で炊いています(笑)」。

ご飯
今日も美味しく炊けました。

壁には今年の正月に寄せ合った書き初め。

書き初め
カエさんは左下の「アナログからの脱出。デジタル化」だ。

「ずっと手描きだったんですが、最近ようやくiPadを使いこなせるようになりました。『えぷろん漫画』もiPadで描いています」。

店内には笑いが絶えない。カウンターも埋まりつつあるので、お会計をしよう。

「ありがとうございました。こちらです」と渡された明細は税込で3002円。えっ、日本酒をお代わりしたのに? スナックなのに良心的な価格設定なのである。

ボトル
常連のボトルが並ぶ。

ごちそうさまでした。最後に読者へのメッセージをお願いします。

メッセージ
迷うことなく一気に書き上げた。

 

【取材協力】
えぷろん
住所:東京都新宿区歌舞伎町2-27-7 やなぎビル2F
電話:03-6273-8193
https://twitter.com/secondkitchen2

 

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石原たきび=取材・文

# エプロン# スナック# 新宿# 歌舞伎町# 看板娘
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