2019.09.15
LIFE STYLE

一度仕事を辞めた妻が、復職したくてもできない本当の理由

仕事をしている妻

>連載「夫たちが知らない、妻の本音」をはじめから読む

妻が夫にも言えない本音を聞き出すこの連載。第4回のテーマは、妻たちの「復職」について。

厚生労働省などの調査(平成30年版)によると、「共働きの家庭は、専業主婦の家庭の約2倍」だといいます。日本の社会でも共働きが多数派になったと言えるでしょう。

しかし、働き方をみてみると、まだまだ子育てしながら「フルタイム」で働く女性は多くはなく、子育てをしながら外でバリバリ働く女性に対して、抵抗感がある人も男女共に一定数はいるようです。

そこで、専業主婦やパートで働く主婦の方に、本格的に仕事を再開することを考えたとき、ネックになることはなんなのかを聞いてみました。

Q.もし本格的に仕事を始めたいと思った際、あなたが不安に感じること、ネックになることはなんですか?

「夫のお守りが一番大変だし、家事で文句を言われる可能性が高い点」(香川県・38歳)

「子供の学校の行事や子供が病気になったときに、自分ひとりで対応しないといけないので」(大阪府・42歳)

「結局家事は自分が継続することになりそうなので、負担が増えそう」(北海道・42歳)

「夫は帰宅時間も9時頃で、家事に向いていないので、頼むことが難しい」(神奈川県・40歳)

「夫がまったく家事ができないので私の負担が増えるだけだし、あまり文句を言うと近所に住む義母が登場しそうなこと」(愛知県・41歳)

妻が一度専業主婦になると、夫は家事をしなくなる

そのほかには「子供が病気になったときに対応できないから」とか「体力的に自信がない」「ブランクが長いので不安」などの理由を書いた方ももちろん多かったのですが、今回目立ったのが、上記のように「夫が家事を分担してくれないから」という理由。

ちなみに今回のアンケート結果では「今後も仕事はしない」とか「仕事をする必要がない」など、仕事をする意思はないことをはっきり書いた方はかなり少数派。「何かしら働きたい気持ちはある」という前提で回答してくれた方が多いようでした。

私の周りのママ友からも、「仕事はしたいけど、もし仕事を始めても夫は家事を分担してくれないだろうから、大変になるのは目に見えている」とか「家のことはちゃんとやってね、と念を押して言われた」という声をたまに聞くことがあります。

私が親しくしているママ友からは次のような話を聞きました。まず、小学生から幼児まで3人の子供がいる専業主婦のママの話。

「私はもう長女が生まれてから10年以上主婦なので、夫は家事をまったくやらなくなりました。そればかりか、家事に完璧を求めます。とくに掃除に関しては、細かいところまで気にしているみたい。このクオリティを求められたら、外で働くのは無理かも。先日、私もそろそろ働こうかなと言ったら、家のことを今まで通りちゃんとやるならいいよと言われました」。

仕事はお金のためだけでなく、自分の人生を充実させるひとつの選択肢でもあります。そう考えると、妻の人生設計までも、自分の都合に合わせて決めようとするのは、なんだか悲しいですよね。しかもなぜだか上から目線。

こういうセリフが専業主婦の妻に対して出るということは、やはり外でお金を稼いでいない仕事(=家事・育児)を軽く見ていると思わざるを得ません。

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パートやアルバイトでも、家事との両立は難しい

また、仕事を始めると言っても、最初からフルタイムは難しいということで、パートやアルバイトから始める方も多いと思います。

しかし、パートやアルバイトだと、家事は今まで通りすべて妻がやることになっている家庭も多いようです。私の学生時代の友人は、パートを始めた途端、フルタイムで働く私より忙しそうにしています。

「事務職のアルバイトを週3回ほど短時間で始めたのですが、夫は今まで通りまったく家事をやる気がありません。私も、まだアルバイトの身なので、家事を分担してと頼むのも申し訳ない気がして、頼んでもいないんですけど……。私が今まで通りすべてやって当然と思っているようです」。

彼女は仕事を始めてから、とても忙しそうにしていて、食事などに誘っても、まったく参加できなくなりました。彼女を見ていると、専業主婦とパートで働く主婦、フルタイムで働く主婦の3つのパターンのうち、パート主婦がもっとも過酷なのではないかと思いました。

今回アンケートに回答してくれた方々の多くは、こうなることが目に見えているということですね。このようにして再就職を躊躇しているうちに、ますますブランクが空き、年齢も上がって就職しにくくなってしまう可能性も大きいです。また、もしパートから始めたとしても、こんな状況では、パートからキャリアアップしたい、などという気持ちも持てなくなりそうです。

当たり前のことですが、外で働くということは、目の前の生活費を稼ぐ以上のさまざまなメリットがあります。仕事をすることによって、人の役に立てていることの充実感や自己肯定感が得られて前向きになれたり、新しい友達ができたり、ストレス解消になったり、世界が広がったり……。

家事は完璧を求めさえしなければ、夫婦で分担すればそれほど時間と手間は取られないですし、いざとなれば、最近は昔よりも手頃な価格で家事代行も頼めます。

「自分が家事をやるなんて面倒」と、自分の都合だけを考えて妻の再就職に反対するよりも、外で働く楽しさを知っているのであればなおさら、妻の再就職を後押ししてあげることが夫の役割といえるのではないでしょうか。

 

相馬由子=取材・文
編集者、ライター。合同会社ディライトフル代表。雑誌、ウェブ、書籍などの企画・編集・執筆を手掛ける。会社員の夫と、もうすぐ小1の娘の3人家族。ここ数年は、子育てをテーマにした仕事を数多く手掛けている。

石井あかね=イラスト

ネオ・マーケティング=アンケート協力
※調査対象:既婚子持ちの35〜45歳の女性200人

# 夫たちが知らない、妻の本音# 夫婦# 家事# 復職
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