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パートやアルバイトでも、家事との両立は難しい

また、仕事を始めると言っても、最初からフルタイムは難しいということで、パートやアルバイトから始める方も多いと思います。
しかし、パートやアルバイトだと、家事は今まで通りすべて妻がやることになっている家庭も多いようです。私の学生時代の友人は、パートを始めた途端、フルタイムで働く私より忙しそうにしています。
「事務職のアルバイトを週3回ほど短時間で始めたのですが、夫は今まで通りまったく家事をやる気がありません。私も、まだアルバイトの身なので、家事を分担してと頼むのも申し訳ない気がして、頼んでもいないんですけど……。私が今まで通りすべてやって当然と思っているようです」。
彼女は仕事を始めてから、とても忙しそうにしていて、食事などに誘っても、まったく参加できなくなりました。彼女を見ていると、専業主婦とパートで働く主婦、フルタイムで働く主婦の3つのパターンのうち、パート主婦がもっとも過酷なのではないかと思いました。
今回アンケートに回答してくれた方々の多くは、こうなることが目に見えているということですね。このようにして再就職を躊躇しているうちに、ますますブランクが空き、年齢も上がって就職しにくくなってしまう可能性も大きいです。また、もしパートから始めたとしても、こんな状況では、パートからキャリアアップしたい、などという気持ちも持てなくなりそうです。
当たり前のことですが、外で働くということは、目の前の生活費を稼ぐ以上のさまざまなメリットがあります。仕事をすることによって、人の役に立てていることの充実感や自己肯定感が得られて前向きになれたり、新しい友達ができたり、ストレス解消になったり、世界が広がったり……。
家事は完璧を求めさえしなければ、夫婦で分担すればそれほど時間と手間は取られないですし、いざとなれば、最近は昔よりも手頃な価格で家事代行も頼めます。
「自分が家事をやるなんて面倒」と、自分の都合だけを考えて妻の再就職に反対するよりも、外で働く楽しさを知っているのであればなおさら、妻の再就職を後押ししてあげることが夫の役割といえるのではないでしょうか。
 
相馬由子=取材・文
編集者、ライター。合同会社ディライトフル代表。雑誌、ウェブ、書籍などの企画・編集・執筆を手掛ける。会社員の夫と、もうすぐ小1の娘の3人家族。ここ数年は、子育てをテーマにした仕事を数多く手掛けている。
石井あかね=イラスト
ネオ・マーケティング=アンケート協力
※調査対象:既婚子持ちの35〜45歳の女性200人


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