2019.09.08
LIFE STYLE

相棒は’75年製シェビーバン。年30泊を自然で過ごす男のキャンプライフ

キャンプは“楽しむ”ものだけど、“魅せる”時代でもある。SNS全盛期、インスタ上で多くのユーザーを魅了する、こだわりを持つ大人たちの「魅せるキャンプ」に密着。

温泉三昧で過ごした東北周遊キャンプのひとコマ。2019年8月14日に投稿。

家族4人で年間30泊もキャンプにでかける達人・重弘剛直さん。彼自身は“車に魅せられた男”で、愛車にお気に入りのギアを積み、四季折々の自然を楽しむそのキャンパーライフは人々を惹きつけて止まない。

重弘剛直さん(43歳)
インスタグラム|neru0414

仕事|メーカー勤務
住まい|東京都世田谷区
家族構成|4人(妻、長女8歳 次女3歳) 
キャンプ歴|20年以上
乗っている車種|シェビーバン

日本ほどキャンプに適した国はない

インスタ上で初めてお披露目したシェビーバン。2019年8月11日に投稿。

「海外に行けばわかりますが、日本ほどキャンプに適した国はないんです。キャンプをしにわざわざ来日する人もいるほど。僕は密かに『#キャンプを日本の文化に』を広めているくらいです(笑)」。

そう話す重弘さんは、年間で30泊はキャンプを楽しむ、キャリア20年のベテランだ。自身のインスタグラムで紹介している写真は、公共の交通機関だけではたどり着けない秘境ばかり。日本の自然はこんなに美しいのかと再認識できる。よく行くキャンプエリアは山梨、長野、静岡あたりで、なかでもお気に入りは山梨だとか。

ふもとっぱらキャンプ場から昇る朝陽の様子。2017年2月21日に投稿。

「山梨の四季の変化は本当に綺麗ですよ。もともとキャンプ場の数も多いので、混雑していないサイトを探すこともできます。キャンプ中の好きな瞬間ですか? それはもう、朝、寝袋から出て朝陽を浴びる瞬間ですね」。

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手のかかるランドローバー「ディフェンダー」が大好きでした

年間30泊といえば、一年のうち約一カ月をキャンプ暮らしにあてている計算になる。それを可能にしてくれているのは、家族とキャンプギア、そして愛車の存在だ。

かつての愛車、ディフェンダーのルーフ上にヒルバーグのテントを設営した姿。サマになっている。2018年8月14日に投稿。

「2012年から7年間、ランドローバーの『ディフェンダー』を愛用していました。現代の電子制御の車とは対局にあり、窓の開け閉めは昔懐かしい手動のクルクルハンドル。車内も暑いし雨漏りもする。でも、そんなすべてが好きでした。ヒッチキャリアをオリジナルで作ってもらったり、ルーフキャリアを輸入したり、内装を革に貼り直したり、全塗装したり、まさに『愛車』でしたね」。

長年連れ添ったディフェンダーの、最後の投稿。「2000いいね」近くの反響が集まった。2019年8月8日、インスタ上に投稿。

キャンピングカーは選択肢になし。“チャレンジ”にはならない

しかし最近、重弘さんは新しいチャレンジを試みるためにディフェンダーを手放し、1975年製のシェビーバンを購入した。

「シェビー」とはシボレー社の通称で、1964年から1996年にかけて販売されていたバン。燃費がすこぶる悪く、故障が多いことで知られる古いアメ車の典型ともいえるが、重弘さんはなぜこの車種をわざわざ選んだのか。

天候に恵まれなかったけど、一番好きだったという昨年の北海道キャンプ。「地平線が見渡せるキャンプ場についたけど大雨で。びしょ濡れでテントを設営した後、夜になってピタリと雨がやみ、空一面の星空が現れたキャンプは今でも忘れられません」。2018年8月20日に投稿。

雨のなかでテントの設営・撤収を繰り返し、激しい雨のときは狭い車中で一泊した、昨年の北海道キャンプ。「ただただ慌ただしく、自然を満喫することができませんでした」。去年のその経験を教訓に、どんな環境でもキャンプを楽しめる車を手に入れたいと考えるようになったという。

「いざというときは車で快適に寝泊まりしつつ、キャンプもする。かつ、サイトの景色の中にあっても違和感のない車とは何だろうと考えました。キャンピングカーはサイトの景色に馴染まない。何より、何のチャレンジにもならない。僕にとっての回答が、1975年製のアメリカで造られたシェビーバンでした」。

表情の丸目もお気に入り。2019年8月12日に投稿。

今にも朽ちそうな1975年製シェビーバンに圧倒されて

「でも、購入した時はボロボロの状態で。そのまま放置すれば朽ちていくような車でしたが、その存在感に圧倒されたんです。レストア(修復)してもイメージ通りになるかわからないなか、ディフェンダーを手放す決断は、僕にとって大きなチャレンジでした」。

重弘さんは「足掛け9カ月プロジェクト」と命名して、シェビーバンの改造計画をスタート。エンジンを含め装備はほぼレストア。内装もキャンプ繋がりの先輩ビルダーに無理をお願いして仕上げてもらったという。それがコチラ。

「普通は手間がかかるため直線的に板を貼ってしまうところを、ボディーの曲線に合わせて細部まで妥協なく板を貼ってあります」。2019年8月13日に投稿。

なんとハイセンスな内装か。こだわりの強そうなスピーカーから流れてくるのはどんな音楽なのか。寝そべりながら眺める外の景色は、どこの、どんな風景だろう。写真からでも無限の想像が膨らむ。

「シェビーバンはやっぱり車中泊ができるので助かります。 自然の中で食事して、温泉へ入って、そのまま車中で寝る。 アウトドアで過ごす選択肢が増えました」。

「去年購入した時の状態を知ってる人は確実にびっくりします。同じクルマとは思えない内装の仕上がり」と劇的な変化を報告。2019年8月15日に投稿。

シェビーバンで次に目指すのは、北海道キャンプのリベンジマッチだ。「長期の休みは北海道キャンプが我が家の定番。次はどんな天候でも平気なので、シェビーバンでのんびり道内を回ろうと思います」。

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ギアを選ぶ基準は、劣化ではなく“優化”するかどうか

重弘さんの「モノ」に対する姿勢には哲学がある。キャンプギアを選ぶときも、キーワードになるのは“優化”だ。

「日本の場合、住宅も車も“新しいことに価値がある”という前提だと思いますが、僕は必ずしもそうは思わないんです。特に、昔作られたモノは今では考えられないような凝った造りが多く、とても価値があると感じます」。

キャンプギアを選ぶときも、使い込んでいくことで劣化するのではなく“優化”していくかどうかが基準。例えば、テフロン加工のものは手を出さないという。

「買ったときが最も良い状態のものは、あとは経年劣化していくだけで、捨てることが前提の買い物になっちゃいますから」。

そんな重弘さんこだわりの“三種の神器”がコレ。

なんとこれは4〜5年前に自作したシェルターテント。今でもいちばん使用頻度が高いという。
通常のランタンより一回り小さなヴィンテージの「ATOM75」。重弘さんいわく「雰囲気抜群です」。2018年9月26日に投稿。
ガス缶のカバーも斧のカバーも自身で手掛けたレザークラフト。経年とともに良い味が出てきている。2016年10月12日に投稿。

愛する車に、愛するギアを積んで出掛けるキャンプ旅。「日本ほどキャンプに適した国はないです。日本にいるのにキャンプに行かないなんてもったいない」と語る重弘さんの言葉は、非キャンパーをも駆り立てるに十分な説得力があった。

今後の重弘さんの写真はインスタグラムにてチェック!

 

ぎぎまき=取材・文

# キャンプ# シェビーバン# # 魅せるキャンプ
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