手のかかるランドローバー「ディフェンダー」が大好きでした
年間30泊といえば、一年のうち約一カ月をキャンプ暮らしにあてている計算になる。それを可能にしてくれているのは、家族とキャンプギア、そして愛車の存在だ。
「2012年から7年間、ランドローバーの『ディフェンダー』を愛用していました。現代の電子制御の車とは対局にあり、窓の開け閉めは昔懐かしい手動のクルクルハンドル。車内も暑いし雨漏りもする。でも、そんなすべてが好きでした。ヒッチキャリアをオリジナルで作ってもらったり、ルーフキャリアを輸入したり、内装を革に貼り直したり、全塗装したり、まさに『愛車』でしたね」。
キャンピングカーは選択肢になし。“チャレンジ”にはならない
しかし最近、重弘さんは新しいチャレンジを試みるためにディフェンダーを手放し、1975年製のシェビーバンを購入した。
「シェビー」とはシボレー社の通称で、1964年から1996年にかけて販売されていたバン。燃費がすこぶる悪く、故障が多いことで知られる古いアメ車の典型ともいえるが、重弘さんはなぜこの車種をわざわざ選んだのか。
雨のなかでテントの設営・撤収を繰り返し、激しい雨のときは狭い車中で一泊した、昨年の北海道キャンプ。「ただただ慌ただしく、自然を満喫することができませんでした」。去年のその経験を教訓に、どんな環境でもキャンプを楽しめる車を手に入れたいと考えるようになったという。
「いざというときは車で快適に寝泊まりしつつ、キャンプもする。かつ、サイトの景色の中にあっても違和感のない車とは何だろうと考えました。キャンピングカーはサイトの景色に馴染まない。何より、何のチャレンジにもならない。僕にとっての回答が、1975年製のアメリカで造られたシェビーバンでした」。
今にも朽ちそうな1975年製シェビーバンに圧倒されて
「でも、購入した時はボロボロの状態で。そのまま放置すれば朽ちていくような車でしたが、その存在感に圧倒されたんです。レストア(修復)してもイメージ通りになるかわからないなか、ディフェンダーを手放す決断は、僕にとって大きなチャレンジでした」。
重弘さんは「足掛け9カ月プロジェクト」と命名して、シェビーバンの改造計画をスタート。エンジンを含め装備はほぼレストア。内装もキャンプ繋がりの先輩ビルダーに無理をお願いして仕上げてもらったという。それがコチラ。
なんとハイセンスな内装か。こだわりの強そうなスピーカーから流れてくるのはどんな音楽なのか。寝そべりながら眺める外の景色は、どこの、どんな風景だろう。写真からでも無限の想像が膨らむ。
「シェビーバンはやっぱり車中泊ができるので助かります。 自然の中で食事して、温泉へ入って、そのまま車中で寝る。 アウトドアで過ごす選択肢が増えました」。
シェビーバンで次に目指すのは、北海道キャンプのリベンジマッチだ。「長期の休みは北海道キャンプが我が家の定番。次はどんな天候でも平気なので、シェビーバンでのんびり道内を回ろうと思います」。
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