Camp Gear Note Vol.2
2019.08.12
LIFE STYLE

僕らは難しく考えすぎていた。コールマンに聞く、ガソリン・ランタン運用のコツ

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連載「Camp Gear Note」
90年代以上のブームといわれているアウトドア。次々に新しいギアも生まれ、ファンには堪らない状況になっている。でも、そんなギアに関してどれほど知っているだろうか? 人気ブランドの個性と歴史、看板モデルの扱い方まで、徹底的に掘り下げる。

山中さん

前回は、Colman(コールマン)のブランドヒストリーからランタンの信頼性の秘密に迫った。今回はそんなこだわりに満ちたランタンを使うときのポイントについて。

取り上げるのは、コールマンを代表する人気モデル「ワンマントルランタン286A」。その魅力とメンテナンスのツボを、コールマンに勤務し、自身もランタンを多数コレクションする山中隆司さんに教わっていこう。

 

基本はメンテナンスフリーだが、分解と組み立てを覚えれば万全に

山中さん
仕事はもちろん、プライベートでもキャンプを楽しむ山中さん。ヴィンテージのランタンを多数所有し、業界屈指の知識を誇る。

——コールマンといえばランタンですが、数あるモデルの中でも286Aがオススメだそうですね。

家庭用ランタンの先駆けであるアーク・ランタンが登場して、100年以上経ちました。ランタンって素材やデザイン性こそ進化していますが、基本構造はあまり変わっていないんです。「ワンマントルランタン286A」は伝統のシステムを継承した、コールマンを代表するモデル。明るさがちょうど良くて優しいところが好みです。

ガソリンを入れるためのフューエルファネルや交換用ジェネレーター、スーパーレンチなどがランタン運用に欠かせない。

——ただ、ビギナーにとってガソリン・ランタンは複雑そうで敷居が高いといいますか……。メンテナンスはどうすれば良いのでしょう?

基本的にメンテナンスはそこまで必要ありません。純正のホワイトガソリンを使っていれば煤が出づらいため、壊れることはあまりありませんから。

ただ、虫の侵入を考えると分解して掃除した方がいいですね。難しいと思う方が多いみたいですが、コールマンのスーパーレンチさえあれば簡単にバラせますよ。公式ホームページの動画を見れば、組み立てもさほど苦労しないでしょう。皆さんが思うより、そんなにデリケートなアイテムじゃないんですよ(笑)。

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手軽なケアで改善する症状がほとんど。よくある不調の原因

——とはいえ、放っておくと不調になりますよね。手軽な対処法ってありますか?

もっとも修理依頼が多いポンピングノブの不調も、かなりセルフフォローが可能な箇所です。スムーズにポンピングできない原因は、ポンプカップと呼ばれる先端のゴムパッキンが乾燥、劣化しているため。当たり前ですが、カピカピのゴムじゃ密閉されず空気を押し込めないじゃないですか。

ポンピング
ポンピングの様子。右手の親指で押しているのが、ポンピングノブ。写真提供:コールマン
ポンプカップ
ポンピング不良にまつわる修理依頼はとても多い。しかし、多くはリュブリカント(ポンプカップ専用潤滑油)注入やポンプカップを交換するだけで解決する。

——確かに……。手応えがスカスカになるのも頷けます。

専用のオイル(リュブリカント)でケアしていれば避けられるのですが、完全に変形すると交換が必要に。とはいっても難しくありません。ノブをタンクから取り外し、別売りの替えポンプカップに付け替えるだけ

また、空気漏れや動かないのはノブ先端についているチェックバルブに問題があることも。ラムネみたいに、内部の機構にボールが入っていて、空気の逆流を防いでいるパーツです。長時間放置していると、ボールが固着してしまったり異物が挟まってしまうことで、不具合を引き起こすんです。

ノブの中心にあるエアーステムからチェックバルブを外し、ガソリンで洗えば解決することもあります。小さなケースにガソリンとバルブを入れ、ガチャガチャ振ると簡単ですよ。チェックバルブの取り外しにはチェックバルブレンチを使ってくださいね。真鍮のパーツなので普通のマイナスドライバーでチャレンジするとパーツナメてしまうのでご注意を。

分解
分解すれば仕組みが見えて理解も深まる。

——いずれにせよ、分解する必要があるわけですね……。

そうですね。でも、バラすことで構造が理解でき、トラブルに対処しやすくなります。長く愛用するためにも、分解と組み立てを学んでおいて損はないかと。ただし、部品の多くは真鍮。無理に負荷をかけると崩れてしまうのでご注意ください。

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利用時に注意したい、マントルの装着方法

——故障ではないのですが、マントル(ガソリン・ランタンの発光体。これに火が付いて点灯する)がいつも破れてしまいます。何か長持ちさせるコツってあるんですか?

本来、マントルは長く使えるものなんですよ。付け方を間違えなければですが……。1回つけてみてください。

——(ゴソゴソ…。マントルを固結びでくくりつける)。

あー、これだとダメかもしれませんね(笑)。まず、取り付ける前にマントルに指を入れ、蛇腹のよれ具合を均等にします。

マントル
マントルはいきなり本体に付けると負荷が一箇所に偏って破れやすくなる。装着前に口まわりを整えるのがベター。

そして、付ける場所は、本体の突起部分より下。固結びではなく、二重に仮結びをすることでちょうど良いところでしっかり止まってくれます。余った糸は切りましょう。こうすれば安定し、外れたり破れたりしなくなります。

組み立て
突起より下につけるのが正解。深く差し込むとマントルの一部しか燃焼しない。
これが正しい結び方。 写真提供:コールマン

——私みたいなランタン初心者にアドバイスをいただけますか?

ガソリン・ランタンは難しい機構のアイテムだという印象をもって、敬遠する方が多いですが、全然そんなことはないんです。単純なパーツの集まりなので、まずは苦手意識を持たないようにしてほしいですね。コールマンのランタンは一回買えば一生のパートナー。正しく使い、適切なケアをしてやってください。

山中さん
「調子が悪くなっても、シンプルな構造のためご自身での、簡単な修理だけで復活が可能です。何かあっても優秀な修理センターがあるのでご依頼いただければ歴代のほとんどのランタンが復活するので、愛着を持って末永くご使用いただきたいですね」。

 

平安名栄一=撮影 金井幸男=取材・文

# Camp Gear Note# ギア# ケア# コールマン# ランタン
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