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2019.04.18

ライフ

ミステリーランチ創業者が語る、アウトドアバッグにおける日本市場の特異性

ミリタリー、ファイアーファイター(森林消防)、そしてアウトドアスポーツ全般のプロユースから、ファッション市場のシティユースまで。
これらすべてにおいて確実なポジショニングを築きあげている米国のバックパックブランド、ミステリーランチ。
そんなブランドの“中の人”は、現在どんな想いでモノづくりに向き合い、東京のシーンをどう捉えているのか。2周年を迎えるミステリーランチ トーキョーに訪れた同ブランド・ファウンダー、デイナ・グリーソン氏を取材。
すると、世界から見た日本の面白さが見えてきた。
ミステリーランチ トーキョー

改めて知る、ミステリーランチの徹底したユーザビリティの追求

ブランド立ち上げから約20年。アウトドア、ファッション業界、いずれにおいても人気を誇るミステリーランチを支えるのは、やはりプロダクトの質の高さだ。デイナ氏はこんなふうにブランドの指針を語る。
デイナ・グリーソン氏
「私たちが目指していることは大きく言うとふたつ。ひとつは『お店で試着したときの心地良さ』よりも、荷物を満載した重たいバッグを背負い、山に入ったり旅に出たりしたあとに『体への負荷が少なく今までよりも疲れてない!』と実感してもらえること。もうひとつは、ユーザーがバッグを使っているときに、不便を感じず当たり前のように自然に使えることです」。
例えば、ミステリーランチの代名詞とも言える機構「3ジッパー」。トップリッド部に指を引っ掛けてめくりあげるとスムーズにパックが開くようになっているが、これには熟練の縫製技術が必要とされる。
アメリカ・モンタナ州にあるファクトリーで作られたプロダクトにはすべて縫製した者のネームが入っているというのも、その自信と責任感の表れだろう。
ミステリーランチ・ボーズマンファクトリー

 

ミステリーランチから見た「ファッション」と「日本」

その質の高さが評価され、2004年からは米海軍特殊部隊「ネイビーシールズ」のオーダーも受けていることでも知られるミステリーランチだが、冒頭で紹介したようにファッション領域においても日本では多大な存在感を放つ。
本来は過酷な状況下で使用されることを前提にプロダクトと向き合ってきたブランドなだけに、ファッションユースに需要が高騰することに対し、もどかしい気持ちになることはあるのだろうか?
デイナ氏
「たとえファションであったとしても、我々が自信をもって一つひとつ作り上げた本物のバックパックを、より多くの人に使ってもらえるのは非常に光栄ですよ。プロユース向けに開発されたディテールは日常生活における利便性にも直結していると思いますし。現代人の多様なライフスタイルに我々のプロダクトが受け入れられ、ひとつの『機能』としてそれらに応えられているという意味ではとてもうれしいですよね。もちろん、ファッションとして使ってくれている方々に対してフィールドに出るきっかけを作れればもっとうれしいですけどね」。
ちなみに、ミステリーランチから見た日本のユーザーは、どのように映っているのだろう。
「日本のマーケットはとても興味深いですね。何よりもユーザーがモノに詳しいし、非常に良い意味で厳しいお客さんが多いイメージです。特に東京は、アメリカ・ヨーロッパ・日本をはじめ世界中のパックブランドが数多くひしめき合っているから、良い競争が生まれているんじゃないかなと。だからこそ、日本のユーザーから学んだことが世界で展開されることもよくあります」。
例えば、シンプルなデザインのアーバンアサルトや3-WAY構造のプロダクトは日本市場でのニーズに応えるべく開発されたが、結果的にグローバルな大ヒットに繋がっている。
また、ミステリーランチの定番パックであるスイートピーを、クレイジーパターン仕様でつくった原宿のミステリーランチ トーキョー限定品の存在も、彼らの想う日本のマーケットを知る上でわかりやすい例だという。どちらかというとプロユースを前提にしている彼らのプロダクトを、機能はそのままにカラーでハズしてファッションに振り切る発想は、日本マーケット特有のモノと言えそうだ。


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