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2019.03.18

ライフ

悪徳不動産業者で働いていた男が、“正直不動産”屋になるまで

>連載「37.5歳の人生スナップ」を読む
「手にガムテープで受話器をぐるぐる巻きにくっつけられて、とにかく1日中営業の電話をかけ続ける。そんなマンガみたいなことが本当にあるんですよ(笑)」。
鈴木誠さん
「誠不動産」代表の鈴木 誠さん(42歳)は、不動産営業に勤しんでいた過去の苦い経験をこう振り返る。
恵比寿駅から徒歩数分という抜群の立地にある「誠不動産」はダークブラウンで揃えられた調度品と背後に流れるジャズによって、まるでカフェのような落ち着いた空間だ。鈴木さん以外にアシスタントは1人。基本的に内見から契約まで、業務のほとんどを社長自らこなすという。鈴木さんの1日は事務所の清掃作業から始まる。
「朝5時55分に起きて、会社に着くのは7時15分。必ず玄関とトイレの掃除を入念に行って、仕事をスタートします」。
屋号
屋号であり、自身の名前でもある「誠」の字が、額縁に入り飾られている。(武田双雲作)
掃除によって、運も開ける。運が良くなければ、いい物件にも出合えない。鈴木さんはそう考えていた。
「物件との出合いは運ですから。お客さんが絶対に喜ぶ物件を紹介するためにできることは全部したい。よく物件探しには妥協も必要か?と聞かれますが、住まい探しって恋人探しと同じだと思うんです。住まいによって人生は大きく変わるし、最初から妥協して決めたら絶対に満足いかないんじゃないかな」。
誠不動産が面白いのは、一見さんお断りの営業スタイルにある。“完全紹介制”……不動産屋では珍しいその姿勢が注目を集め、現在ではテレビのゴールデン番組での不動産企画の物件紹介や、以前オーシャンズでも紹介した不動産系漫画(過去記事はコチラ)への協力も行なっている。
著書
最近、著書も出版。口コミも相まってファンを増やし続けている。
なぜ完全紹介制なのかは後述するとして、自衛官、アパレル、そして不動産とさまざまな仕事を経験してきたという鈴木さんが、今のスタイルに行きつくまでの話を聞いた。


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