オーシャンズとレジャー 37.5歳から始める大人の趣味入門 Vol.91
2019.01.31
LIFE STYLE

雪山に隠れたアイツをパパラッチ! 野生動物のフィールドサインを辿る冒険

連載「キャンプは、冬がいい。」
アウトドア・ラバー諸君、キャンプは夏のレジャーだと思っていないか? 玄人たちは、口を揃えてこう言うものだ。「キャンプは、冬がいい」。極寒の世界で特別なレジャーに挑んでみよう。

アニマルハンター、イベント会場


スノーキャンプの魅力と注意点防寒着とギアの選び方、そしてスノーキャンプのテント設営」を学んだら、今度は冬山に遊びに出かけよう。そこには雪がないと体験できない貴重な出会いが待っている。

北軽井沢スウィートグラスでは、年間を通して自然と触れ合えるイベントを行なっているのだが、2019年3月初旬まで実施する「アニマルハンター」は、雪山の醍醐味が詰まっている。

知識豊富なスタッフが少人数制で山中を案内。野生動物たちの足跡を追うとともに自動撮影カメラを設置し、翌日にムービー鑑賞会も行ってくれる。子供はもちろん、大人も存分に楽しめるイベントである。


野生動物が暮らす山へ。痕跡探しの冒険へ

アニマルハンターのおふたり

我々を大自然に誘ってくれたのは、ガイドハンターの木村さんと飯塚さん。挨拶をしたら冬山に踏み入れるため、スノーブーツへと履き替える。服装もチェックを受けたら、準備は万端だ。

最初は簡単なブリーフィングから。「まずはアニマルハンターの心得を胸に刻んでください」(木村さん)。「自然への敬意を忘れない」「自分の身は自分で守る」などを復唱して気持ちを高めていく。

アニマルハンターの冊子
作り込まれた冊子を見ているだけでも楽しい。これから待っている冒険に胸が踊る。

車に乗り込み、揺られること約10分。東京ドーム200個分の敷地がある浅間牧場の森へ到着した。ここで見られるのは、シカ、キツネ、タヌキ、イノシシなど。幸いこの時季、クマは冬眠中だ。

ポイントがいくつか設定されていて、まだ踏み荒らしていない場所を狙って進んでいく。子供の有無でも難易度を変更するそうなのだが、「今回は大人の男ばかりなので、ハードモードでいきましょう(笑)」とのこと。よし、望むところだ。


アニマルハンターの知識に感心しきりの2時間がスタート

アニマルハンターの醍醐味は、自分でフィールドサイン(動物の痕跡)を読み解いていくアナログ感なのだが、スタッフの豊富な知識がそれを支え、盛り上げてくれる。

雪山へ向かう

その知識の一端は、山に入る前から披露される。整地された山道を登っていくなか、ふたりが教えてくれたのは「ヤドリギ」の存在だ。

「枝部分にモヤモヤと丸っこいものが見えますか?」。

「いわゆる寄生樹なのですが、ベタベタした種子が枝に張り付き、木から養分を奪いながら成長します。少しずつ大きくなるので、あれで10年くらいでしょうね。実は『ハリー・ポッター』にも登場します。『ヤドリギのある木の下でキスを望まれた女性は、拒否したら幸せになれない』という言い伝えもあるんですよ」。

とまあ、こんな感じで行く先々で解説を加えてくれるのだ。「へぇ!」「なるほど!」のオンパレードだ。

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入山の挨拶を終えたら、道なき道を進んでいく

しばらく歩を進めたところで、道のない場所から山へ分け入っていく。

入山の挨拶
アニマルハンターの心得壱「自然への敬意を忘れない」を実践。「よろしくお願いします!」。

いや、本当に印も何もないところから入るのだから、ちょっと驚いた。ズンズン森の奥へ進んでいくのだが、山へ踏み入れると、また驚きに襲われる。筆者も登山を嗜むのだが、登山道がいかに整備された道なのかを思い知る。こんな場所で野生動物たちは日々暮らしているのか!

山歩き
上り坂ではつま先を、下り坂ではカカトを突き立てるようにして進む。慣れていないと、これがなかなか難しい。


この足跡、なんの動物? アニマルトラッキングでその正体を解き明かす

5分ほど歩いたところで、「あっ! コレを見てください!」と木村さん。注目した先には、こんな足跡が……。

足跡発見

「さて、これは何の足跡でしょうか?」との質問。ムムム……これでも昔は動物図鑑をかじりついて読んでいた頃があったもの。直線上に並んだ2つの足跡に、平行に並んだ大きな足跡も2つ。「ヒントは足を揃えて跳ねる……」。この言葉にピンきた! ウサギじゃないですか?

雪山のアニマルトラッキング

「大正解です。いきなり当たっちゃいましたね(笑)。後ろ足が並んだ大きな足跡、前足が小さな足跡です。ウサギって言うと、白くて可愛いイメージですが、このあたりの野ウサギは茶色くて大型。走る速度が40〜50km/hも出るので、可愛いどころか怖いですよ(笑)」。

大ジャンプをするウサギの習性も教えてもらい、ちょっとした動物博士気分。その後も、動物の痕跡がそこかしこに付いている。

木についた、鹿のツノ研ぎと思われる痕跡。ずいぶん下から突き上げたようだ。
キツネの足跡
キツネの足跡も見つけた。蛇行せず、一直線上に残るのが特徴。どことなく気品が感じられる。
比較的新しいフンを割ってみると毛が多く出てきた。小動物を捕食していることから、キツネのものとみられる。
シカの歩きフン
人が歩いた道に沿って続く、シカの歩きフン。人が踏み固めた道を通る動物も多いという。
蹄のカタチを習う
イノシシやシカの蹄のカタチを習う。雪につく跡がちょっと違うのだ。

「動物の歩き方と体の特徴を知ると、足跡の判別がついてきます。今日は雪がベタついているので難しいですが、新雪の後は特徴が色濃く現れます」。

動物の骨格や生態を踏まえて、動物を特定していく行為は、まさにハンター。すぐに答えを教えてくれるわけではなく、一緒に考えていく工程も楽しさを倍増させてくれる。

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自動撮影カメラを設置。はたして野生動物は映るか?

フィールドサインが大分判別できるようになったら、動きに反応して録画されるモーションカメラの設置を開始する。

「足跡が多く付いていたり、交差したりしている場所はケモノ道のことが多いです。何が映りそうか推理をしてみてください」。

狙うは、大物。もっと言えば、複数の動物たちを捉えたい! と欲張って定めたのが、このポジションだ。シカの足跡、キツネの足跡、イノシシのフンが近くにある(しかも、足跡が交差している!)ため、うまくいけば3体とも撮れるかも……?

向かって正面に真っ直ぐ付いているのが、シカの足跡。見えづらいが、写真中央を横切るようにキツネの足跡も付いていた。
カメラ設置
動物が横切るとモーションセンサーが作動し、録画させる仕組み。向きを定め、きっちりと樹木に括りつける。
用紙に記入
自分の推理を用紙に記入。この読みは当たっているのか……。

これにて、約2時間のツアーが終了。ドキドキしながら、下山して翌日の結果を待つこととなった。


翌日の結果発表は……!

さてさて、ここで少し時間を早送りして、翌日の11:00。キャンプ場のカフェスペース「アサマヒュッテ」に行くと、ガイドハンターの木村さんと奈良さんが待ち構えていた。すでにカメラのデータを回収してくれて、待ちに待った結果発表が始まる。

昨日の推理と、狙いのアニマルたちを再確認したら、ディスプレイに注目……。

映像に出てきたのは……。
……アレ?

「ということで、残念でした! 実は1日だけだと確率は75%くらいなんです」。

く、悔しい! と思っていたら、奈良さんから朗報が。「次のイベント開催までカメラを設置してみましょう。1週間あるので、映ったらご連絡します!」とのこと。なお、通常は撮った映像はFacebookで投稿してくれるそう。ちなみに1週間後に送っていただいたムービーがこちら! 届いた時は大興奮だった!!

スノーキャンプ4-1
ウサギ
手前から奥の方へ駆けていくウサギ。習った通りの足跡を付けている。ぴょんぴょんと跳ねる姿がかわいい。
ヤマドリ
右手前にいるのはヤマドリ。こんな雪山でも歩いているとは。
キツネ
こちらは、ほかのスタッフが設置したカメラの映像。もふもふのキツネを捉えることに成功した!
ウサギ
ヤマドリ
キツネ


イベントの最後に、アニマルハンターの証であるバッヂを手書きイラストで作成。これを授与してもらい、イベントは終了した。

バッヂ作り
手書きのイラストをバッヂにしてくれる。
手書きのバッヂ
動物は捉えられなかったが、こんなお土産は嬉しい。

「今回は山に生息する野生動物のフィールドサインでしたが、都会にもたくさん隠されています。カラスがゴミをついばんだ跡もそうですし、ネズミやハクビシンなどもいますよね。暮らしの身近に動物がいることを感じ取って、アニマルハンターとしての活動を続けてください!」。

パパラッチには失敗したものの、解説付きのツアーへの参加、さらにバッヂ作成など、大人も大満足のイベントだった。自動撮影カメラを入手したら、自分たちでも実践できそうな雪山アソビである(もちろん、立ち入り禁止区域は要注意!)。アニマルハンターの活動、相当ハマりそうな予感がする。

次回は、時間を巻き戻して、1日目の焚き火台を使った晩ごはん作り。凍えるフィールドであったかグルメを堪能する。乞うご期待!


>1回「スノーキャンプの魅力と注意点」を読む
>2回「防寒着とギア選び」を読む
>3回「スノーキャンプのテント設営」を読む

[取材協力]
北軽井沢スウィートグラス
住所:群馬県吾妻郡長野原町北軽井沢1990-579
電話番号:0279-84-2512(予約センター)※水曜定休
※営業時間・定休は季節により変更
※イベント「アニマルハンター」は要予約。定員3組・8名/回。小学4年生以上は1人でも参加可能。
https://sweetgrass.jp

澤田聖司=撮影 芋川 健=取材・文

# アニマルハンター# オーシャンズとレジャー# フィールドサイン# 雪山
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