連載「キャンプは、冬がいい。」
アウトドア・ラバー諸君、キャンプは夏のレジャーだと思っていないか? 玄人たちは、口を揃えてこう言うものだ。「キャンプは、冬がいい」。極寒の世界で特別なレジャーに挑んでみよう。
北軽井沢スウィートグラスのマネジャー・玉井宏和さんから、連載1回目では「
冬キャンプの魅力」、2回目は「
防寒着とギア選び」を学んだ我々。いよいよ実践編に突入だ。
真っ白なフィールドにテントを広げ、ベースキャンプ作りを開始
ぬくぬくしたカフェスペース「アサマ・ヒュッテ」を出発し、テントサイトへ。天候に恵まれた快晴のなか、玉井さんから電源付きのスペースをすすめられた。お天気といっても、このときの気温は2℃ほど。例年よりはかなり暖かいが、東京に暮らす我々には慣れない寒さだ。
真っ白いフィールドのなかで、いよいよベースキャンプの設営が始まる。さて、玉井さん、何からはじめましょうか?
「今回利用する暖房器具は、ホットカーペットです。ストーブを使うときも同じですが、雪上で暖房器具を用いると、熱で雪が解けて、翌朝には水たまりになってしまうことがあります。断熱材をしっかり引きましょう。うちの施設では、テントの下に敷くスノコを1フィールド4枚まで貸し出していますよ」。
ただし、今回はテントのサイズが大きく(ノルディスク アスガルド 12.6m)、翌朝の気温が下がることも見込んでスノコは不使用。まずはグランドシートを敷いてから、テントを組み立てる。氷点下の寒さにも関わらず、汗がじわじわと湧き出てくる。
「うちのキャンプ場では、アドバイスはいくらでもするのですが、実際に手を貸すことはほぼありません。キャンプは自分の手で行うことが楽しいですからね。進めてみてください」。
そんな玉井さんの言葉を受けて、自分たちだけ黙々と作業に没頭する。
スノーキャンプの難点になるのは、ペグ打ち
夏キャンプと違いを感じたのは、ペグ打ちの大変さだ。冬の北軽井沢は-20℃近くまで下がる(この時はまだ最低気温が-5℃前後だったが)。土に含まれる水分も凍るため、地面はガッチガチ。さらにアイスバーンのように凍りついた氷もあり、なかなかペグが入っていかない。用意していたハンマーでは遅々として進まないのだ。
そこですかさず玉井さんは、薪割り用の1kgもあろうかというハンマーを貸してくれた。これが抜群に効果的。ハンマーを変えてから、作業はスイスイ進む。
スノーキャンプ3-1
夏〜秋なら十分に打ち込める重さのハンマーなのに、ペグがなかなか入っていかない。
薪割り用のハンマーに変えたら、たちどころに打ち込めるようになった。
スタッフ2人掛かりでテント張りは1時間ほどかかった。夏のおよそ倍の時間である。苦労して建てたテントを眺めながらひとやすみ。
付け加えておくと、撤収時のペグの引き抜きも苦労するポイントとなる。夜から朝にかけて気温が下がり、地面が凍りつくとペグがかなり抜きにくい。ピンタイプではなく、V字タイプがおすすめだ。ガッチガチに固まってしまった時は、余っているペグを使って、ねじりながら抜くようにしよう。
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