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2019.01.19

あそぶ

住宅購入は増税後がトク! SUUMO編集長に学ぶ2019年の住宅トレンド

平成の歌姫の引退劇に炭酸水の爆発的なヒットなど。 2018年も多くのトレンドが生まれたが、 2019年は何が話題になるだろう?  オッサンが知っておくべき流行予測を7人の識者に依頼した。今回は不動産サイトSUUMO編集長・池本洋一さんにうかがった、2019年の住宅トレンドについて。
リタイア後の悠々自適な生活に夢を馳せ、青年期から中年期まではただがむしゃらに働く。そんな人生設計が都会で働くサラリーマンの定番だったのも今は昔。今年こそ若くして憧れの生活を手に入れるチャンスの到来かもしれない。
10月には消費増税もやってくるが戸建てやマンションはいつ買うのが正解なのか? 何かと気になる2019年の「住まい」事情について、SUUMOの池本編集長に3つのトレンドをうかがった。
[2019年の住宅トレンドはこうなる!]
①二拠点生活を楽しむ「デュアラー」元年!
②家で新しい働き方を手に入れる「自宅オフィス化」の進行!
③意外だけどラッキー!? 住宅ローンは増税後がおトク!

予測①二拠点生活を楽しむ「デュアラー」元年になる!

インタビューに答える「SUUMO」池本洋一編集長。
池本「10年前は『郊外の庭付き一戸建て』が夢のある生活だと言われていましたが、今の標準が共働きのため、駅近のマンションに住む夫婦が増えています。東京一極集中の暮らしに不満が出てきていますが、仕事の都合上、離れることはできない。そこで、『二拠点=デュアル』生活を手に入れたいというニーズが、今後1000万人を超える可能性があるという調査結果が出ました。
都心の物件は高くなっている反面、郊外の物件は今、かなり安くなっています。不動産市場の二極化が進むなか“空き家”は社会問題にもなっていますよね。つまり、低家賃でも誰かに物件を貸したいという田舎側の論理と、保有コストの低い田舎暮らしを求める消費者との論理がマッチングしているのが、今なんです。
リクルート住まいカンパニー「デュアルライフ(二拠点生活)に関する意識・実態調査2018」によると、デュアルライフ意向者は推計約1100万人にものぼった。
エリアによっては、家賃が月2.5万円の戸建てもざらにあります。長く続けるには60〜120分圏内で通える地方に二拠点目を探すのがオススメですね。ホテルや旅館ではないのでチェックインの時間も気にする必要はありません。渋滞を避けて行き来できる、つまり金曜日の夜に行って日曜日の朝に帰ってこられるというのもデュアラ―の大きなメリットなんです。
すでに二拠点生活を実施している年代の50%以上が20〜30代で、世帯年収も400〜800万円が約半数ですから、デュアル生活も決して夢ではありません。今年はますますデュアラーが増えていくでしょう」。
 

予測②家の中で新しい働き方を手に入れる「自宅オフィス化」が進む!

池本「『働き方改革』が進むなかで、出勤せずとも自宅やカフェ、コワーキングスペースなどでノマドワークをする人が増えています。そして最近では、新しいマンションも共有スペースにワークラウンジやスタディールームを設置する物件が人気を集めています。
今までの分譲マンションは、豪華なロビーラウンジやゲストルームが共同空間の王道でしたが、今はワークスペースを設置するのが流行。ほかにも、自宅で快適に働くためのいろいろな工夫があるのでご紹介します。

例えば『リビ充』。これは、広いリビングの中に新たな机コーナーを作り、ダイニングテーブルとは別にロングデスクを置く。そこで仕事をしたり、子供が宿題をしたりする。ダイニングテーブルを作業スペースにしてしまうと片付けも必要で、資料の保管も大変です。もうひとつデスクを置けば仕事の効率化が図れます。ただ、リフォームで寝室を最小限にし、リビングを広くする必要はありますね。

私がいちばんオススメするのが、リビング脇につくる『室内窓付き』のワークスペースです。もともと和室だった部屋にガラス扉を付けたワークスペースをつくる。これで光は入って明るいし、子どもの姿もちゃんと見える。音はちゃんと遮断されているため、電話会議もできる。これは最高ですよ。
ほかにも、ご夫婦だけで住んでいるマンションの場合には、物置きにされがちな一室を改造し、夫婦のテレワークオフィスにしているケースもあります。これだけで、ちょっとしたオフィスのできあがりです」。
 

予測③意外だけどラッキー!? 住宅ローンは増税後がおトクになる!

 
池本「10月の消費増税前に住宅を買おう、と考える人はたくさんいるでしょう。しかし増税後に不動産市場が停滞すると、景気に大きく影響します。だから、消費税を5%から8%に上げたときの反省で、政府は駆け込み受注を起こさないよう、いろいろな施策を考えています。
ひとつは『住宅ローン減税』の控除期間3年延長。これは、増税で増えた分、所得税の負担を軽くしますよ、 という制度ですが、現行の控除期間である10年間が13年間に延長されるという、とてもおトクな施策です。
もうひとつは『すまい給付金』といって、住宅取得者個人の収入額目安が775万円以下なら最大50万円が購入にあたって交付されるというもの。現制度と比べて対象者が広がり、金額も増えるので、増税分の負担は軽減されるはずです。さらに、新たに一定の条件を満たせば最大で35万円相当の『次世代住宅ポイント』もついてくるので、さらにおトクになります。
なので、住宅の購入は増税後の方がいいと言い切れます。ただ、キャッシュで買う人は別ですよ。例えば『住宅ローン減税』は“ローン”に対する優遇措置ですし、お金持ちは『すまい給付金』の対象外ですから、増税前に買った方が得です。ついでに言うと、中古住宅を購入する場合も関係ありません。中古は個人売買になるので、そもそも消費税はかからないので。
まとめると、新築のマンションや戸建てを買うなら、『現金購入の人は先に、ローンを組む人は後に』ということですね」。
 
池本 洋一(いけもと・よういち)
1995年リクルート入社。住宅領域にて編集、営業を経験。『 都心に住む』や『住宅情報タウンズ』編集長を経て、2011年1 月より住宅・不動産サイト『SUUMO』編集長 。2018年7月より住まい研究所所長も兼務。 国土交通省や経済産業省など内閣府の各種委員も歴任。
ぎぎまき=取材・文


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