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2018.11.28

ライフ

不可能を可能にするパラスポーツ授業「I’mPOSSIBLE」の中身

当記事は、「東洋経済ONLINE」の提供記事です。元記事はこちらから。
都内中学校での公開授業の様子(写真:日本財団パラリンピックサポートセンター)。
パラリンピック、パラスポーツについて、小中学校の授業で教えていることをご存じだろうか。もちろん、2020年東京パラリンピックに向けて、というのが第一だが、その後に向けた動きでもある。
使われているのは、国際パラリンピック委員会(IPC)公認の「I’mPOSSIBLE(アイムポッシブル)」という教材の日本版・中高生版だ。今年10月下旬、東京都の東京学芸大学附属国際中等教育学校で公開授業があったので行ってみた。
そこでの光景を紹介しよう。

授業は座学と実技の2部構成

授業は、教室で行う座学と、体育館などで行う実技の2部構成になっている。座学では、リオ2016パラリンピックのビデオ映像を見る。そして、その感想を中学生たちに聞く。
手を挙げて「オリンピックとパラリンピックは別々と思っていたけど、同じぐらいだと思った」「日本で大して話題になっていないと思った」「日本でも話題になってくれたらいいと思った」など、まずは入り口の感想が出てくる。
次にパラスポーツの様子や用具を映像で示しながらのクイズ形式の授業。
障がいのあるアスリート独自の用具、競技方法などを見て3択で当てていく。
授業のほとんどがDVDやスライドなど映像を見て、先生が補足し、生徒に考えさせるという内容。生徒たちはテキストを持っておらず、書き込めるようにワークシートが配られるだけ。
「パラリンピックの意義」「パラリンピックの価値」について示した後、4~5人一組になってディスカッションし、発表する。正解はない。考えること、書いてみること、口に出してみることが重要という授業だった。
体育館では「ゴールボール」の実技体験が行われた。知っている方も多いと思うが、視覚に障がいがあるアスリート対象のスポーツ。もともとは第2次世界大戦で視力を失った軍人のリハビリ用に考案された。
体育館で行われたゴールボールの様子(写真提供:日本財団パラリンピックサポートセンター)。
2チームが対戦し、アイシェードと呼ばれる目隠しをつけた3人ずつがコートに出て、攻撃側が鈴2個の入ったバスケットボール大のボール(重さは約2倍)を守備側に向かって転がす。守備側は、鈴の音を頼りにそのボールが背後にあるゴールに入るのを身を挺して防ぐ。入ったら攻撃側が1点を挙げ、守備側がボールを奪ったら攻守交替。合計得点で競う。


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