2018.11.25
LIFE STYLE

平山祐介の推薦図書⑤知らない世界にワクワクした『プラントハンター』

オーシャンズゆかりのモデルたちはどんな余暇を過ごしてる? 彼らの普段見えない部分を取材する企画の一人目は、俳優としても引っ張りだこの平山祐介さん。“本の虫”としても知られる彼に聞いた、オーシャンズ読者が絶対にハマる推薦図書とは?

さまざまな植物や花を収集するため国内外を飛び回る男の命懸けのノンフィクション。西畠清順の『プラントハンター』。ユースケさんが、この本に惹かれた理由とは?

『プラントハンター  命を懸けて花を追う』
西畠清順・著/徳間書店
150年続く花と植木の卸問屋「花宇」の5代目として生まれ、21歳よりキャリアをスタートした西畠清順さん。さまざまな植物を収集する常識破りの「プラントハンター」として、時に命懸けで日本全国・世界各国を飛び回るノンフィクション。

──この本と出合ったキッカケはなんですか?

平山「作者の西畠さんを初めて知ったのは、テレビ番組の『情熱大陸』だったかな。『プラントハンターなんて面白い人がいるなぁ』と。それで興味を持って読んだのがこの本です」。

──「プラントハンター」。いまいちピンとこない単語です。

平山「わかりやすく言えば“植物エージェント”みたいな感じなんですよ。お客さんに『こんな植物がほしい』って言われれば、希望に合う花や植物を探しに行く。『お客さんが求めているのはこれだ』というものが見つかれば持って帰る。てっきり変わった植物を持ってくればお金になる仕事なのかと思ってたけど、全然違うんだなと」。

──あまり一般的に知られてないですよね。

平山「西畠さんは幕末から150年以上続く卸問屋『花宇』の5代目で、父親との確執やその後の成長、植物に対する接し方の変化などが本では描かれてます。こういう自伝的なドキュメンタリーの面白さって小説とは違うじゃないですか。西畠さんは今生きている人だし、こういう世界があって、こういう考え方の人が現代にいる。それを知ることがすごく面白いですね」。

──なるほど。

平山「自分が絶対だと思っていることって、違う角度から見たらそうでもなかったりする。自分と違うことをやってる人がどんな考え方なのかを知ると、考え方は無限だし、自分の価値観なんて小さいんだなって思い知らされます。だから、基本は小説が好きだけど、たまにこういう本も手に取るんですよ」。

──特に惹かれた部分はどこですか?

平山「これは西畠さんが一緒に仕事をしているベテランの先輩の言葉なんですけど、『その花を愛し、その根を想う』と。美しいものの裏には必ずそれを支える裏方がいるという考え方で、これは僕らの仕事にも通じるところがあります。こうやって誰かの言葉がすごく刺さるときがあるんですよね」。

──素敵な言葉ですね。

平山「ほかにも、西畠さんが接したお花の先生の言葉もあります。『「作品の完成度ももちろん重要ですが、それ以上に“見えない部分と過程”が大事」というのは銀閣寺に伝わる活け花の特色でもあります。花の美しさより花を活ける場の支度、水を汲みに行くときの心の持ちようなど、活ける以前の過程が大事だという考え方です』」。

──水を汲みにいくときの心の持ちよう、ですか。

平山「俺の口からは出そうにない言葉だけど、へぇって思いますね。こういうのを聞くと『花とかもやってみたいな』と思ったり(笑)。ほかの世界について書かれた本を読むことで興味も広がるし、実際に花をできるかは別としても、読むだけで気持ちが豊かになるというか」。

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──『プラントハンター』は植物に関心がない人でも面白く読めますかね?

平山「面白いと思います。接するのが『花』ではなく『人』でも、会社では『部下』かもしれないし、モノを売っていれば『洋服』とかになる。どう接するかは一緒だと思いますよ、何でも」。

──接し方について学ぶところが多い本?

平山「はい、すごく。本の後半にはこんな描写もあります。危ない山の斜面に登ってやっと花を見つけて、採取する。そのときは『俺はすごい!』ってなりがちだけど、東京に戻ってそのへんにポンと花を置いてみたら、何も感じないことがたまにあると。つまり、自分がやったことに陶酔するというナルシズムが花を見る目を曇らせてしまうことがあるというんですね。『ハンターズハイ』に陥る状態らしいです」。

──どんな仕事をしている人でも陥りがちなことかもしれませんね。

平山「僕の仕事でいうと俳優は役作りで身体を大きくする、または痩せる。それで何かやってるつもりになる。そういう空気感で現場に入ると何か成功した気になるけど、そんなのは準備でしかないんですよね。過剰に『困難な仕事をやりとげた!』とロマンチックに仕立てあげてしまうことは非常に危険だと。この本がそこまで書いているのが面白いと思いました」。

──西畠さんはかなり達観されてますね。

平山「まだ若いんですよ、1980年生まれだから僕の10歳下。年齢はもちろん関係ないけど、確たる意思を持って仕事をしている人は面白いなって。西畠さんは、植物を単なる植物としてではなく『命』として向き合っている。それがすごく伝わってきて、僕の植物に対する見方もちょっと変わりましたね」。

──どのように?

平山「そこらへんに生えてる木だって生きているわけですからね。花に限らず、生きていることをより強く意識するようになったかもしれない。部屋に観葉植物を置こうと思ってお店に見に行っても、買うかどうか結構考えちゃう。これを枯らさずにちゃんと育てられるかなって」。

 

つい無意識に生命を軽んじていないか、今一度見つめ直してみようと思わされる話。次回は同じくノンフィクションの『移民の詩』をご紹介!

 

清水健吾=写真 TAKAI=ヘアメイク ぎぎまき=取材・文

# プラントハンター# 平山祐介# 読書
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