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2018.09.28

ライフ

田舎暮らしから帰京した、動画制作マン。その4年間で得たものは……

連載「37.5歳の人生スナップ」
人生の折り返し地点、自分なりに踠いて生き抜いてきた。しかし、このままでいいのかと立ち止まりたくなることもある。この連載は、ユニークなライフスタイルを選んだ、男たちを描くルポルタージュ。彼らの生活・考えを覗いてみてほしい。生き方のヒントが見つかるはずだ。
「37.5歳の人生スナップ」を最初から読む

現在、都内の映像制作会社で動画編集の仕事をしている伊藤恒さん(48歳)。デスクワークの割に体つきはガッチリと屈強で、それは少なからず伊藤さんのこれまでの経歴も影響しているに違いない。
「41歳のときに家族で高知県へ移り住み、農業や林業をしていました」。
3.11の東日本大震災を機に、家族で埼玉県から高知県四万十市に移住。当時、子供はまだ1歳になったばかり。連日報道される震災のニュースに危機感を感じ、地方移住を考えたという。
「子供が近所の公園で歩き始めたばかりの頃に、震災がありました。当時はフリーで映像関係の仕事をしていたので動きやすい状態だったし、家族を守るために、すぐに移住できる場所を探し始めたんです」。
住み込みで働ける職場を探したが、家族単位で受け入れてくれる場所は意外に少なく、結局移住先を見つけられたのは震災から4カ月後。四万十市でナスとアロエをメインに作っている農家で働くことになった。季節はすっかり夏になっていた。
「四国は一度も訪れたことがなく生活するイメージも湧かなかった」という伊藤さん。とはいえ、もともと旅好きで、20代、30代の頃は、世界各国を一人旅していた経験もあり、見知らぬ土地にはさほど抵抗がなかったようだ。
40代になっての地方移住、未経験での農業と林業、そして現在は東京の映像制作の現場に戻ってきた。その間にはどんな苦労と出会いがあったのだろうか。


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