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2018.09.10

ライフ

自分の選択を信じて進む。自然食ケータリングを始めた元古着バイヤー


連載「37.5歳の人生スナップ」
人生の折り返し地点、自分なりに踠いて生き抜いてきた。しかし、このままでいいのかと立ち止まりたくなることもある。この連載は、ユニークなライフスタイルを選んだ、男たちを描くルポルタージュ。鬱屈した思いを抱えているなら、彼らの生活・考えを覗いてみてほしい。生き方のヒントが見つかるはずだ。
「37.5歳の人生スナップ」を最初から読む

朝から晩までキッチンに。大忙しの自然食ケータリング

「ランチタイムのキッチンは戦場。やっと一息ついて、明日の仕込みをする時間です」。
19時ごろに取材に伺うと、お洒落なカウンターキッチンの真ん中で、上諸真佐夫さん(41歳)はホッとした表情を浮かべていた。
磨き抜かれた実用的なキッチン付き店舗。
店舗のインテリアは緑豊かでじつに華やか。
上諸さんは、手作りのお弁当を販売する「愛菜食堂がじゅま〜る」を経営し、自らキッチンに立っている。
「1日50食から100食ぐらいは作りますね。朝は5時半ごろ起きて、7時から作り始めます。午前中は作って詰めて……を繰り返して、15時頃にやっと落ち着きます。夜は仕込み作業をする時間ですね」。
つまりは、ほぼ一日中キッチンに立っているのだ。無農薬玄米と自然栽培の野菜にこだわり、ヴィーガンやベジタリアン、グルテンフリーやアレルギーなど細かな要望にも対応しているところが「がじゅま〜る」の人気の秘訣だ。
オーガニック農法で育てられたかぼちゃとキャベツ。丸々と大きく育ったこれらは、スープや炒め物になるという。
色彩豊かな「グルテンフリー旬菜弁当」。企業への定期配送も行なっている。
お弁当からオーガニックデリの盛り合わせ、ロケ現場やパーティーでのケータリングなど、健康食ブームの昨今、そのニーズは高まる一方だ。
連日大忙しのお店だが、店主の上諸さんがこの仕事を始めたのは38歳のとき。驚くことに、それまで料理経験はゼロだったという。一体なぜ自然食のお弁当屋さんを始めるに至ったのだろう。


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