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2018.09.07

ライフ

職場の20代に「私たち世代と感性が違うので」と言われた


職場の20代がわからない Vol.21
30代~40代のビジネスパーソンは「個を活かしつつ、組織を強くする」というマネジメント課題に直面している。ときに先輩から梯子を外され、ときに同期から出し抜かれ、ときに経営陣の方針に戸惑わされる。しかし、最も自分の力不足を感じるのは、「後輩の育成」ではないでしょうか。20代の会社の若造に「もう辞めます」「やる気がでません」「僕らの世代とは違うんで」と言われてしまったときに、あなたならどうしますか。ものわかりのいい上司になりたいのに、なれない。そんなジレンマを解消するために、人材と組織のプロフェッショナルである曽和利光氏から「40代が20代と付き合うときの心得」を教えてもらいます。
「職場の20代がわからない」を最初から読む

 

真や善は共通だが美意識は違う?

今回のテーマは「感性」です。人間の精神が求める普遍的な価値をよく「真・善・美」と言いますが、知性における理想が「真」、倫理における理想が「善」とすれば、最後の「美」は感性における理想と言ってもよいかもしれません。要は、感性とは物事に関する美意識です。
「真」や「善」は、若者と我々オッサン世代の間でもそれほど違いはなく割と共通しているのですが、こと「美」についての感性においては今回のタイトルのように隔絶があるとよく言われます。世代間の考え方の違いは、「働き方についての価値観」など「真」や「善」に関するようなことももちろんありますが、音楽やファッションなどのセンス、「美」に関することに最も現れるように思います。確かに「世代間の違いを一番感じるのはカラオケだ」と我々オッサン達は口々に言います。格好いいと思う歌が全然違うので愕然とするというわけです。
 

実は結構オッサンが作る「私たちの」感性

しかし、です。本当に美意識は世代独特のものなのでしょうか。流行色が国際会議などで実際に流行る2年前に決まっているとか(流行するものを決めるというのも変ですが)、ファッションや音楽には流行にはサイクルがあって20年周期で繰り返している(確かに、’90年代のものが今再ブレイクしていたりします)などと聞くと、若者が言うほど世代によって独特の感性や美意識が本当にあるのかどうか疑わしく思えてきます。
人は経験から学び、感性も例外ではありませんが、実際今の20代ぐらいの若い世代が子供の頃から経験してきたものは、ほとんどが親世代など大人たち、つまり我々オッサン世代などが考えてきたものです。つまり、若者達が「私たちの感性」とか言っているものは、その上のオッサン世代が与えたものではないですか。だから、おおよそ20年周期で流行のパターンが繰り返されるのかもしれません。私は恥ずかしながらフェスなどに行ったことはありませんが、観客には20代が多いようですが、ステージに立っているのは結構オッサン世代ですよね。


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