海の街「熱海」 Vol.13
2018.08.29
LIFE STYLE

海を横目に遊びながら……観光+αな気分で始める「週末ボランティア」

海の街<熱海編> Vol.13
年齢やキャリアを重ねてしまうと、どうしても“現状”が生活の中心となってしまいがち。しかし、一度しかない人生だからこそ、多様な生き方を求めてみたくなるのは当然のことだろう。そこでオススメしたいのが、気軽に別のライフスタイル経験できる「週末移住」や「二拠点居住」という選択肢だ。熱海の街で週末移住を愉しみつつ、ボランティア活動という“別の世界”を得た人の体験談を紹介しよう。

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キャリアアップの概念に縛られない“働き方”の進化型とは

「熱海の街や、そこで暮らす人たちの姿を見て『こういう生き方や働き方もあるのか!』と衝撃を受けました」。

こう語るのは現在、月2〜3回ほどのペースで東京と熱海を行き来している冨久世さん。新たな“働き方”を模索し、この地にたどり着いた。

「現在の仕事や職場に満足はしているのですが、その一方でひとつの仕事や職場にこだわりすぎていると、そこから離れたときに、何もできないのではないか? という不安を漠然と抱いていて」。

そんな冨久世さんにとって転機となったのが、あるキャリアカウンセラーとの出会いだった。

「そこで相談したキャリアカウンセラーの方が、たまたま熱海でも活動をされていて。今の会社に不満がないのなら、離職をせずとも別の働き方を体験する方法が、熱海の街にあると教えてくれたんです」。

例えば、以前に記事(「平日は大工、週末は林業。「木」にこだわり、日々を生きる男」)でも紹介した、週末だけ林業家になる太田大翔さんのように、複数の働き方や生き方を実践する人が、熱海には多く集まっている。それまでは直線的なキャリアアップをイメージしがちだった冨久世さんだが、そうした人々と出会うことで刺激を受け、自分でもできる多様な働き方、について考えるようになったという。

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観光+αの感覚で参加できる、気軽なボランティア活動

とはいえ、まだ年齢も若く、現職に不満もない冨久世さんにとって、いわゆる副業を持つことに対しては、時期尚早という思いもあった。そこで選んだのが、ボランティア活動というわけだ。

「最初は、こういう催しがあるから手伝ってくれない? というように、ごくライトなお誘いだったんです。しかし、実際にイベントや街おこしのお手伝いをしてみると、これまでの仕事や生活では得られなかった経験や出会いがたくさんあって。それから、本格的にボランティア活動に携わるようになったんです」。

現在冨久世さんが参加しているのは、通称「あたみん」と呼ばれる観光ボランティア。リノベーションを軸とする再生型の街おこしについて話し合う「ATAMI2030会議」や、中心市街地活性化を目的としたクラフト&ファーマーズマーケット「海辺のあたみマルシェ」といった、定期開催される大規模なイベントを中心に、来場者の整理誘導やイベントブースの設営・撤収などの手伝いをするためのグループだ。

再生型の街おこしについて話し合う「ATAMI2030会議」。
クラフト&ファーマーズマーケット「海辺のあたみマルシェ」。

「イベント時には、2~30名ほどのボランティアスタッフが集まっています。年齢は30代が中心で、男女比は半々という印象。細かな規則や縛りがあるわけではないので、できるときだけ気軽に参加できる点が魅力ですね」。

こうした大規模なイベントのほか、不定期開催される小規模なワークショップにもスタッフとして参加することも。内容によっては、単なる“お手伝い”にとどまらず、より積極的なかかわりをもつこともあるという。

DIYワークショップの様子。
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「遊び」の感覚が大切。もっと気楽に“生き方・働き方”を考えよう

ここで気になるのが、冨久世さんの熱海での生活拠点だ。都心から2時間弱とはいえ、日帰りでボランティア活動を行うのは大変なはず。月に数度の熱海暮らしで部屋を借りるのも、明らかにコストオーバーだ。

「今のところ、熱海での生活拠点は『MARUYA』というゲストハウスに置いています。ホテルや旅館に比べ宿泊費用が安いということもありますが、『MARUYA』は熱海の街おこしにかかわる人々のサロンにもなっており、私が目指す“多様な生き方・働き方”を実践している人々と交流が持てる点も、大きな魅力なんです」。

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また、ボランティア活動というと生真面目な印象を受けるかもしれないが、冨久世さんは、あくまでも「遊び」の部分を忘れないことが大切ともいう。

「私も、実際のところは観光半分、お手伝い半分という感覚でボランティア活動に参加しています。もっと深いレベルで街おこしにかかわっている人たちも、見ている限りでは『遊び』の感覚を大切にしているように思えますしね」。

こうした感覚でボランティアや街おこしを“愉しむ”ことができるのは、観光地・熱海ならではの特徴なのかもしれない。しかし、そもそも生き方や働き方は遊びと切り離すことができないもの。こうした知見を得るためにも、熱海の地で行われているような活動に、気軽なボランティアとしてかかわってみるのは、意外とベストな選択肢なのかもしれない。

 

石井敏郎=取材・文 小島マサヒロ=撮影

# ボランティア# 海の街# 熱海
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