海の街<熱海編>Vo.1
男には、家でも職場でもない、サードプレイスが必要だ。それは解放的で、発見があり、人との出会いのある場所であってほしい。その一候補として挙げたいのが、熱海である。地元民と観光客が交じり合い、街のダイナミズムを感じられる場所なのだ。今回は、大人のひとり旅案内。
家族から離れ、ひとりだけで黄昏る、たまにはそんな休日を過ごしたい。熱海はそんなモードに打ってつけの場所。新幹線に飛び乗り、東京からわずか48分で別世界へと到着した。
白い砂浜のビーチを山が取り囲む地、急な斜面に立ち並ぶ建物たち。熱海は、どこかモナコを彷彿とさせる。10年、20年ぶりの人ならば、久しぶりの熱海駅が近代的になったことに驚くはず。駅ビルの「ラスカ熱海」は活気にあふれている。
まずは、昔ながらの商店街を通り抜け、ビーチへと足を向けよう。
白い砂浜、青い海、南仏のリゾート地のような公園
海岸沿いをゆっくり散歩しながら「うーん……」と背伸び。石畳が敷かれた親水公園はコート・ダジュールをイメージしたもので、束の間のバカンスを盛り上げてくれる。
マリーナには、たくさんのラグジュアリーなクルーザーが係留されている。そういえば、若い頃に夢中になった芸能人の別荘はここ熱海の海が見渡せる場所にあるらしい。もしかすると、あのひと際大きなクルーザーは彼のものだろうか。
ヨーロッパのリゾート地のような雰囲気の公園に、気分が解放的になってくる。こんなときは普段は中々出来ないことに挑戦してみるのも悪くない。海が一望できるオープンデッキテラスを持つ「cafe&restaurant NAGISA」で足を止めた。
海を一望できるオープンデッキでシャンパンを
2階のオープンデッキに座ると、サンドイッチとフルーツをオーダー。飲み物は、ノンアルコールのシャンパンだ。普段は食べないケーキも追加する。オッサンがテラスでシャンパンとスイーツなんて……。こんなところを妻が見たらきっと笑うだろう。でも、男にだってひとりで甘いものを食べたい瞬間があるのだ。
サンドイッチは素朴だが丁寧に作られていて、底がカットされたマスカットやチェリーが皿に整然と並んでいる。洒落すぎず、しかしおざなりでもない。気分にぴったりのフードメニューだ。「NAGISA」は1947年に創業された老舗のカフェで、現在のオーナーの祖父の代から続いている。
2/2