ジャズ喫茶で「作為的ではないレトロ」を味わう
街を散策すると、「昔のイメージ通りの熱海」が顔をのぞかせた。東京では失われつつある昭和感。それは作為的ではないレトロというべきものだ。
狭い路地を進むと、どこからかジャズの音色が聞こえてきた。ジャズ喫茶「yushima」。音の正体はここらしい。重たい扉を開けたとたん、脳内はヨーロッパのリゾート地からアメリカ南部にワープする。割れんばかりの音量で降り注ぐのは、マイルス・デイヴィスのナンバーだ。
カウンターには、御婦人が小さな体を折り曲げるように座っている。スツールに腰かけ「失礼ですけれど、おいくつですか?」と尋ねると、「秘密よ」との答え。これは失礼しました。たしかな手つきでコーヒーをドリップし、コップに注いでくれる。
なんだかここだけ時が止まっているみたいだ。今度妻と一緒に青山のブルーノート東京に行ってみよう、そんな気持ちにさせられる。
ジャズ喫茶ゆしま
住所:静岡県熱海市中央町5-9
電話番号:0557-81-4704
営業:12:00〜19:00 日曜定休
休日こそコンディショニングでカラダメンテナンス
店の外に出ると、青かった海が夕日に染まりかけている。でも、まだ夕食には早い。そんなときにはカラダのメンテナンスを。仕事が忙しいのを言い訳に、自分の体のケアを怠っているなら、一度試しておきたい店がある。
「SOLICコンディショニングセンター」では、カラダを “グッドコンディション=いい状態”に整えてくれる。完全個室で行われるカウンセリングと施術、さらに日々の体のトレーニングの助言もしてもらい、体も心もすっきり。東京で消耗した体と心が喜んでいる。
白木のカウンターの寿司屋で極上ネタを堪能
ヨーロッパの香りで始まった熱海の休日だけれど、最後はやっぱり磯の香りを体に詰め込んで東京に戻りたい。
贅沢な1日の最後を締めるのは、オープン間もないのに地元で注目を集める寿司屋「梅清」。白木のカウンター、無駄のない職人の包丁さばきが、極上の時間を予感させる。
握りの旨さは、僕の語彙では表せないほど。職人の技で増幅された、海の豊かな滋味が口いっぱいに広がる。大将こだわりの焼酎も絶品で、最後は本物ならではの卵焼きで締めた。
梅清
住所:静岡県熱海市渚町5-4
電話番号:050-5595-7065
営業:17:00〜22:00 不定休
男の贅沢ひとり旅。今度は妻と子供と一緒に来よう、そんな心の余裕が生まれる1日になるに違いない。
藤野ゆり(清談社)=取材・文