オーシャンズとレジャー 37.5歳から始める大人の趣味入門 Vol.54
2018.05.13
FAMILY

ときに優しく、ときに厳しく。親子ボルダリング・デビューの心得

O父CHANSとレジャー【ボルダリング編】 Vol.2
ここ数年、流行りに流行っているボルダリング。挑戦してみたい、というオトーチャンは多いはずだが、それなら親子一緒に始めてみてはいかが? 自分の体重を支えながら登るボルダリングは、親子揃って夢中になれるスポーツなのだ。とはいえ高所に登るスポーツゆえに注意点もある。ボルダリングデビューを楽しむための心得を聞いた。

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ボルダリングは、子供を育てるスポーツだ。わずか数センチの“ホールド”をつかみ、壁をよじ登る全身運動。指定された色のホールドしか使えないルールは、思考の筋肉も鍛えてくれる。

一方で、やはり心配なのは怪我。足を滑らせて落ちてしまったら……と、つい嫌な予感も脳裏をかすめてしまう。初めてのボルダリング、子供をどうサポートするべきなのだろう?

教えを乞うのは、秋葉原にあるボルダリングジム「B-PUMP TOKYO AKIHABARA」の講師・中河さん。子供の安全と成長を手助けする心得を、シチュエーション別に聞いた。

まずは準備体操から。足首と股関節を入念にストレッチ

ドキドキのボルダリングデビュー。すぐにでも壁に登りたいところだが、はやる気持ちを抑えて、最初に行うべきは準備体操だ。

「最も怪我をしやすいのは着地時です。足首をひねったり、衝撃を吸収しきれなかったりすると、捻挫や骨折につながってしまう場合もあります」(中河さん、以下同)。

大事なのは「ストレッチ」だと中河さん。足首を念入りに伸ばすことで、可動域を増やして衝撃を吸収しやすくできる。また、競技中は足を大きく広げるため、股関節のストレッチも欠かせない。親子でペアになって体をほぐそう。

 

いざ、ボルダリングにチャレンジ。親は子供の落下に備える

ストレッチを終えたら、いよいよボルダリングに挑戦だ。このとき親に必要なのは、落下時の着地を補助する「スポット」という動作。登っている子供より一歩下がったポジションに立ち、手のひらを掲げる。子供がもし落下しても、足から着地できるようにサポートするのだ。

「子供の落下時には、衝撃を和らげるイメージで、腰や背中を支えましょう。お尻を支えると頭を重心に回転しながら落ちてしまうため、とても危険です。また、スポットは常に登っている人を見ていないとできないので、視線を切らないように気をつけてください」。

また、競技中のコース取りにも気を配らないと、落下の原因になる。

「ボルダリングのコースは、スタートからゴールまで一直線ではなく、他の参加者と近づいたり重なったりします。そのため、隣の参加者を意識しないと衝突してしまうことも。親がきちんと声をかけて、事故を未然に防ぎましょう」。

降りるときも油断は禁物。高所からジャンプするのではなく、大きめのホールドに足を置き、安全な高さまで一歩ずつ降りていこう。

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“力登り”はNG。腕を伸ばし、つま先で踏み込む

落下以外にも怪我の原因となるのが、腕の力だけで登ろうとする“力登り”だ。

「登るときに肘が曲がっていると、腕に力が入ります。でも、いつも体重を支えているのは下半身。腕の力では抱えきれず、特に負荷のかかる肩を痛めやすくなります」。

ボルダリングは本来、下半身の力を使うもの。そのためには、正しいフォームを身につけなければならない。

「腕をピンと伸ばし、重心をつま先にかけましょう。すると、しっかりとホールドに体重が乗り、足も滑りづらくなるため、落下の防止にも繋がります。リーチが伸びる分、クリアできない課題も自ずと減るはずです」。

 

子供のモチベーションを高める“問いかけ”の魔法

一方で、なかにはボルダリングに飽きてしまう子供もいるはず。親子でよりボルダリングを楽しむためには、どんな工夫が必要なのだろう?

「ボルダリングを楽しめないのは、何度やっても登れないとき。特に、大人や身長の高い同級生ならクリアできるコースも、小柄な子だと手足のリーチ不足で登れないケースがあります。技術の問題じゃないので、これは子供ながらに悔しいですよね」。

「そんなときは親の出番です。子供の手足のリーチに合わせて、ホールドの位置を調整しましょう。『できた!』という達成感を子供に味わってもらうことが大切です」。

それにしても、こうした教えを子供に“腹落ち”させる難しさは、保護者の皆さんもご存知の通り。中河さんはどんな教え方をしているのだろう?

「子供を指導するときに意識しているのは、問いかけること。例えば、腕を曲げて登っている子には『それだと腕も痛くなるよね。どうしたらいいと思う?』と聞きます。一方的に説明しても、子供に正しく伝わっているかわかりません。子供の理解を深める意味でも、親がそれを確かめる意味でも、質問はとても大切です」。

子供に考えさせるのは、親子ボルダリングの大きなテーマでもある。安易に答えを与えるのではなく、問いかけながら教えることで、自主的に考える力も磨かれそうだ。

さて、今回は親子ボルダリングの注意点を教えてもらったが、未経験の親にはわからないことも出てくるはず。そんなときは、まずは中河さんのようなスタッフから初心者用のレクチャーを受けてみよう。そして、課題の登り方などがわからないときは、スタッフはもちろん、周囲のボルダラーを頼るのもひとつの手だ。

「優しいボルダラーって多いんですよ。困っている初心者の方に、常連さん自らアドバイスする姿もよく見かけます。こうしてボルダリング仲間の輪も広がっていくんです」。

ボルダリングは自主性だけでなく、助け合いの精神を学べるスポーツとも言えるかもしれない。楽しく安全に取り組めば、いつか子供の成長を実感する瞬間に巡り会えるはずだ。

澤田聖司=撮影 佐藤宇紘=取材・文

【取材協力】
B-PUMP TOKYO AKIHABARA
住所:東京都文京区湯島1-1-8
電話番号:03-6206-9189
http://pump-climbing.com/gym/akiba/

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第1回 壁は親子で乗り越える! ボルダリングで深まった“父と娘”の絆

# O父CHANSとレジャー# ボルダリング# 親子
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