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“力登り”はNG。腕を伸ばし、つま先で踏み込む

落下以外にも怪我の原因となるのが、腕の力だけで登ろうとする“力登り”だ。
「登るときに肘が曲がっていると、腕に力が入ります。でも、いつも体重を支えているのは下半身。腕の力では抱えきれず、特に負荷のかかる肩を痛めやすくなります」。
ボルダリングは本来、下半身の力を使うもの。そのためには、正しいフォームを身につけなければならない。
「腕をピンと伸ばし、重心をつま先にかけましょう。すると、しっかりとホールドに体重が乗り、足も滑りづらくなるため、落下の防止にも繋がります。リーチが伸びる分、クリアできない課題も自ずと減るはずです」。

 

子供のモチベーションを高める“問いかけ”の魔法

一方で、なかにはボルダリングに飽きてしまう子供もいるはず。親子でよりボルダリングを楽しむためには、どんな工夫が必要なのだろう?
「ボルダリングを楽しめないのは、何度やっても登れないとき。特に、大人や身長の高い同級生ならクリアできるコースも、小柄な子だと手足のリーチ不足で登れないケースがあります。技術の問題じゃないので、これは子供ながらに悔しいですよね」。

「そんなときは親の出番です。子供の手足のリーチに合わせて、ホールドの位置を調整しましょう。『できた!』という達成感を子供に味わってもらうことが大切です」。
それにしても、こうした教えを子供に“腹落ち”させる難しさは、保護者の皆さんもご存知の通り。中河さんはどんな教え方をしているのだろう?
「子供を指導するときに意識しているのは、問いかけること。例えば、腕を曲げて登っている子には『それだと腕も痛くなるよね。どうしたらいいと思う?』と聞きます。一方的に説明しても、子供に正しく伝わっているかわかりません。子供の理解を深める意味でも、親がそれを確かめる意味でも、質問はとても大切です」。
子供に考えさせるのは、親子ボルダリングの大きなテーマでもある。安易に答えを与えるのではなく、問いかけながら教えることで、自主的に考える力も磨かれそうだ。

さて、今回は親子ボルダリングの注意点を教えてもらったが、未経験の親にはわからないことも出てくるはず。そんなときは、まずは中河さんのようなスタッフから初心者用のレクチャーを受けてみよう。そして、課題の登り方などがわからないときは、スタッフはもちろん、周囲のボルダラーを頼るのもひとつの手だ。
「優しいボルダラーって多いんですよ。困っている初心者の方に、常連さん自らアドバイスする姿もよく見かけます。こうしてボルダリング仲間の輪も広がっていくんです」。
ボルダリングは自主性だけでなく、助け合いの精神を学べるスポーツとも言えるかもしれない。楽しく安全に取り組めば、いつか子供の成長を実感する瞬間に巡り会えるはずだ。
澤田聖司=撮影 佐藤宇紘=取材・文
【取材協力】
B-PUMP TOKYO AKIHABARA
住所:東京都文京区湯島1-1-8
電話番号:03-6206-9189
http://pump-climbing.com/gym/akiba/
連載「O父CHANSとレジャー」過去記事一覧
第1回 壁は親子で乗り越える! ボルダリングで深まった“父と娘”の絆


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