パパは家事も育児も一生懸命やっているつもり、ママにも最大限気を使っているつもりなのに、なぜかママがいつもイラっとしている。そんな夫婦間のギャップの原因を、ママ目線から解説するこの連載。ママがイラっとする原因のひとつとして、ママの困りごとや家庭のピンチに対する夫婦間の温度差というものがあげられます。今回テーマとしてあげるのは、子供の夜泣き。我が家でも、生後6カ月から約1年間毎日夜泣きが続いた時期があり、夫婦最大のピンチでした。
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息子の夜泣きにイライラを隠さない夫の態度に失望
「夜泣き」とはどういう状態か、ちゃんと理解できているパパは多くないと思います。生まれて3カ月ほどは授乳の頻度が多く、夜中も数時間おきに授乳のために起きるという生活が続くことは、よく知られていますが、これは「夜間授乳期」であって「夜泣き」は違います。「夜間授乳期」を過ぎて、空腹やオムツが濡れているなどの明確な理由もないのに、夜中に泣き出し、どうあやしても泣き止まない。理由がよくわからないまま夜中に泣き続けるのが、いわゆる「夜泣き」だそうです。医学的にも原因はよくわかっていないと言われています。
そんな子供の夜泣きがひどかった時に、夫との離婚まで頭をよぎったというのが、会社員の英恵さん(仮名)。
「長男を出産して一度夜中の授乳がなくなったのに、生後6カ月くらいから、夜中に泣き出してなかなか泣き止まないという時期がしばらくありまして。その時は私が育休中だったので、夜泣き対応はすべて私。パパは夜中に息子が泣き出すと明らかにイライラした様子。仕事で疲れているのはわかりますが、いくら私が育休中とはいえ、こちらも慣れない育児で疲れていたこともあり、パパのその態度にかなり失望しました。また、夜中に泣き出す息子をどうすることもできない焦りもあって、あの時は本当に離婚したいと思いました。もう少し私や息子に対する気遣いや優しさを見せてほしかったです」。
私も経験がありますが、毎晩夜中に睡眠を中断させられるのは、体力的にも厳しいものがあります。それに加えてパパがそんな態度だったら、英恵さんのように離婚を考えたくもなるでしょう。毎日の夜泣きが続く生活の「いったいいつになったら終わるかわからない、出口の見えない不安」というのは、これまで経験したことのないものでした。
英恵さんは、どうしても泣き止まない時には、おんぶして夜中に近所を散歩したりしたこともあったそうです。当時の夫の態度を思い出しただけでも、昨日のことのように怒りがこみ上げてくると言っていました。
夜泣きでママが困った時に、パパにやってほしいこと
だからといって、必ずしも2人で一緒に起きて夜泣きに対応しなければならないわけではありません。2人で毎晩寝不足になってしまったら、家庭内がギスギスするどころか、共倒れになってしまいます。しかも、この時期、ママのおっぱいが無いとどうにもならない赤ちゃんが多いのも事実なので、無力感を感じるパパも多いとは思います。そのことも踏まえて、赤ちゃんの夜泣きがひどい時に、パパたちにやってほしいとママたちが思っていることを、私の周りのママ友たちの意見と私自身の経験から、いくつか挙げていきたいと思います。
まずは、ママにも朝までノンストップで寝られる日を作ってあげること。毎日ではなかったとしてもパパと交代で夜泣き対応をするのが理想的ですよね。すでにママが仕事に復帰している場合は特に、ちゃんとした睡眠が必要です。赤ちゃんと同じ部屋に寝ていると、ママは少しの泣き声にも反応してすぐに起きてしまうので、もし可能なら、別の部屋で寝られるようにできるとさらに良いでしょう。そのためにも、“おっぱいがない”パパなりの夜泣き対処法を、2人で事前に考えておく必要があります。
また、夜泣き対応はママがやると決めている家庭の場合、仕事で疲れているパパは子供の泣き声に苦しめられるときもあるかもしれませんが、あくまでもママを気遣うスタンスを忘れないでほしいです。前述の英恵さんのように、あからさまにイライラした態度を取られると余計に辛いもの。イライラされるのと、優しい言葉をかけられるのとではママの心の中はぜんぜん違います。
もうひとつ、帰宅が毎日遅いパパでもできることは、ママと子供を早めに一緒に寝かせて、残った家事をパパが担当することでしょう。夜泣きは、真夜中に泣き出すことが多いようです。そのため、ママが夜遅くまで家事をしなければならない場合、寝ようとしたとたんに夜泣きが始まりそこから数時間寝られないということもあります。それこそ睡眠時間が確保できません。食事後の洗い物や、洗濯など、夜に行う家事はそのまま残しておいて、パパが帰宅した後にやることにしておくだけでも、かなりママの負担が減るのではないでしょうか。
夜泣きは、まったく無い子もいれば、一定期間毎日続く子もいます。また、ネット上では夜泣きを防ぐ方法なども書かれていますが、大人の努力や工夫で確実に夜泣きを防ぐことは不可能のようです。また、我が家の場合は、ちょうど1年経った頃に、ある日突然夜泣きが終わりました。いつかは終わるものなので、いかにして睡眠時間をお互いが確保できるかを夫婦でよく話し合い、夜泣きに立ち向かっていただきたいと思います。
取材・文=相馬由子
編集者、ライター。合同会社ディライトフル代表。子育てをテーマにした雑誌、ウェブ、書籍などの企画・編集・執筆を手掛ける。2017年より某育児・教育系ウェブメディアの編集長を務めている。再来年に娘の小学校入学を控え、学童に入れるのかが目下の悩み。イラスト=佐野さくら