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2017.12.06

あそぶ

6000円で道具一式が揃うとは!自宅で手軽に始める「茶道入門」


オッサンの心に効く、カジュアル茶道Vol.2
日本の伝統文化のひとつ、茶道。長く細く続けられ、芸術への造詣も深められそうだし、オッサンの新しい趣味にぴったりだ。ただ、「結構なお点前で」なんてセリフしか知らないのが正直なところ。けれど身を固くしなくても、カジュアルに始められるのが今風なお茶のスタイルなのだとか。新しい扉、ならぬ襖を開いてみませんか?
「オッサンの心に効く、カジュアル茶道」を最初から読む
前回、「茶ンピング」を経験して、少し茶道に興味が生まれた筆者。これまで、「お茶=礼儀作法に厳しく格式が高い」という固定概念があったが、もっと自由に楽しんでいいものだと見る目が少し変わった。もちろん、茶室に赴き、礼や作法に気を配りつつ、相手に思いを寄せる茶会にも惹かれるが、今はその前の段階。まずは、お茶自体を楽しく思えることが重要だ。

茶ンピングを主催した「アバンギャルド茶会」の代表である近藤俊太郎さんは、「毎日、自宅でコーヒーを淹れるように、抹茶も日常のなかで楽しめます」と語る。豆を挽いて抽出をし、香りも含めてゆっくりとコーヒーを楽しむ人は珍しくない。その一連の流れは、様式美に通じる。だとすれば、同じようにお茶を点てて楽しんでもいいではないか。まずは、作法を気にせずに挑戦してみたい!
 

自宅で始めるお抹茶。必要最低限の道具とは?

しかし、よく考えたら、作法はもちろんだが、お茶に関する知識が全くないことに気づく。ここ最近、お茶といえばペットボトル入り。実家では親が茶葉と急須で淹れているが、流石に抹茶を点てたことはない。そこで、改めて近藤さんに、お茶の基本のきを教わることにした。といっても、茶会の作法の話ではない。まずは、自宅でゆっくりと美味しいお茶を点てるために必要な道具やそもそも抹茶をどこで購入するかといったことからだ。
「家でお茶を楽しむための茶道なら、裏千家でいう盆略点前を参考にして揃えるといいでしょう」と近藤さん。盆略点前とは、お盆の上に載る必要最小限の道具を使ったお手前のこと。茶道では最初に習うことが多いという。
お盆、棗、茶杓、茶筅、茶巾、茶碗
盆略手前で使用する茶道具は、「お盆」、「棗(なつめ:抹茶を入れる容器)」、「茶杓(ちゃしゃく:棗から抹茶をすくうさじ)」、「茶筅(ちゃせん:器のなかでお湯と抹茶をかき回す)」、「茶碗」「建水(けんすい:茶碗を清めたり温めたりしたときに使った湯や水を捨てる器)」「茶巾(ちゃきん:茶碗を拭くふきん)」「茶筅休め(使用後の茶筅を補完する)」の8点。そして、当然だが抹茶が必要になる。ただし、近藤さん曰く「はじめから揃えるのが難しければ、茶筅と抹茶だけでも始められますよ。茶碗はごはん茶碗を利用してみてください」とのこと。
これらの道具は茶道具屋で揃えるのが一般的だが、とりあえず始めるならネット通販が便利。セット購入が可能で、6000円程度で手に入る。もちろん、こだわれば、その価格は青天井。特に茶碗は百万円単位のものも珍しくないという。この日、近藤さんが準備してくれた茶碗は、手頃な値段のものと名工から譲ってもらったという至高の逸品。
左が名工が作ったという茶碗。素人にはわかりづらいが、その道の人には一目瞭然だという
意外だったのは、素人目から見ると茶道の象徴にも思える「茶筅」の金額。高くても1万3000円前後とのこと。正直、もっと高価だと思っていた。理由を聞くと「茶筅は消耗品ですから」と近藤さん。とはいえ、あまりに安物はすぐに割れてしまい、上手くかき混ぜることができないというので、2000~3000円を目安に選ぶとよいそうだ。毎日使ったほうが長持ちして、目安は半年くらいだという。
茶筅の材料は竹。そのため、使ってから長期間放置すると割れるなどしてしまう
 

お抹茶はどこで買えばいい? 管理方法は?

茶道具以外で必要なのが抹茶だ。抹茶は基本的には茶舗(お茶屋)に売ってある。40gで1000円前後、一回につき2g程度使用するので20杯分といったところ。1杯あたり約50円だ。
抹茶は通販でも購入可能だが、酸化すると味が落ちる。しっかりと保管がされ、客入りがよく、常に在庫が回転しているようなデパ地下の茶舗がオススメだという。有名なところでは、福寿園や一保堂茶舗、上林春松本店などがある。これらの茶舗の中には、大手飲料メーカーのペットボトル茶開発に協力しているところもあるので、ご存じの方も多いだろう。ちなみに、抹茶と緑茶の違いさえ分からないので、近藤さんに聞いてみた。
「抹茶は碾茶(てんちゃ)を粉にしたものです。碾茶とは、太陽光を遮って栽培した茶葉を揉まずに乾燥させて、茎や葉脈を取り除き、石臼などで粉状にしたもの。同じ茶葉を揉んで乾燥させたのが玉露になります。太陽光を遮って栽培することで、渋みが押さえられ、甘み・旨みが強くなるのが特徴です」
近藤さんは、空気に触れないように小分けのタッパーで抹茶を管理。これらを太陽光が遮られる缶に入れるのだとか
あとは、お茶と一緒に頂くお菓子が必要だが、基本的には和菓子屋に売ってある上生菓子を揃える。「ただし、決まりごとはないので、格式が高くない茶会や自分だけ、または友人と楽しむ茶会なら、チョコや洋菓子を合わせても面白いでしょう」と近藤さん。
茶道具を揃えたり、抹茶を選んだり、和菓子を購入したりと、最初のハードルが高いのではないかと心配していたが、話を聞くと意外に簡単そう。ということで、次回は実際にお茶を点ててみることに。茶会のように作法に則るわけではないが、人生初なのでちょっとドキドキだ。茶道に触れることで、どんな心境の変化が生まれるのか。乞うご期待。
取材・文=林田孝司


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