「Running Up-Date」とは……
スタンダードでベーシックなアイテムながら、羽織ってみると確実にお洒落。普遍的かつ個性的な服作りで人気の高いブランド「イールプロダクツ」で、企画とデザインを担当する澁谷文伸さん。
実はフルマラソンの自己ベストが3時間1分と、そこらのシリアスランナーもびっくりの記録を持っている。
素朴で温かみのあるアパレルメーカーとは一瞬結びつかない気もするけれど、何にそんなにハマったのだろう。
「イールプロダクツ」での歩みとともにスタートしたランニング習慣
陸上経験がなく、社会人になってから走り始めた澁谷さん。端的に言えば、今の会社に入ったことがランナーになったきっかけだ。
「28歳のときにタバコをやめました。そしたらよくある話なのですが、太ってしまって。仕事の面でも、セレクトショップの販売員から小さなアパレルメーカーでの内勤に変わり、立ちっぱなしから座りっぱなしの生活に変化したことも重なりました。そこで走ろう、と」。
運動神経に自信がなくても、健康な体とやる気さえあれば、ランニングは誰にでも、いつでも、どこでもできる。
まぁ、その「やる気を出す」までが、人によっては万里の長城よりも高いハードルになっているのだけれど。
「いざ走ってみると、スルスルっと5kgほど体重が落ちたんです。目に見える結果がすぐに出た。それがモチベーションにつながって、毎日のように走るようになりました」。
帰宅が遅くなることもザラだったが、そんなときでも構わずに夜の街を疾走する。肉体的にはハードな面もあったが、気分はアガり、走れば走るだけ、“走れる”ようになった。
「でも、その頃のランニングはどちらかというと自傷行為に近かったかもしれません」。
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