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2021.01.24

あそぶ

一度座ると立ち上がりたくなくなる「オンウェー」のアウトドアチェアができるまで

オンウェー
「Camp Gear Note」とは……
昨今のキャンプブームの流れを受け、アウトドアギアにひとつの顕著な変化が見られるようになった。
これまでは屋外で使うための機能や見た目に特化した、手軽に手に入るものこそがアウトドアギアの主流だった。しかし、ショッピングモールにもキャンプ道具が普通に置かれるようになった今、実用性は保ちつつも日常的に自宅で併用できる高品質なものが主流になりつつある。
つまり、アウトドアギアと生活用品や家具との境界線がなくなってきているのだ。
今回取り上げる「Onway(オンウェー)」は、そんな流れが生まれるずっと前から、アウトドアギアの枠に捉われず、ひたすらに良い家具を作ることだけを目指してきた日本ブランドである。
 

メーカーとしての経験がブランドとしての強みでもある

オンウェー
代表作のひとつ「スリムチェア」。この佇まいの美しさは機能面を追求することで生まれる。
世の中が第一次キャンプブームに沸き立つ1995年、オンウェーはアウトドア製品の“メーカー”として産声を上げた。
実は、自社ブランド・オンウェーを立ち上げたのは、2013年と最近になってからのこと。それ以前は、メーカーとして独自に設計したものを他社に提案したり、要望を受け付けたりするのが主な業務で、数々のブランドとの仕事を手掛けていた。
創業当時のアウトドアマーケットには似通ったギアが多く、品質面にこだわるブランドやユーザーは今ほど多くはなかったそう。業務を通じて多種多様な製品を目にしてきた創業者の泉 里志さんが「世代を超えて長く愛される高品質な製品を手掛けたい」と思い立ったのは、必然だったのかもしれない。
オンウェー
理想の家具を形にするためには、まだリターンが見込めない状況であろうと金型から製作することも厭わない。
当時のキャンプ用品は安価な商品が良しとされるなか、オンウェーは家具の歴史、折り畳み構造の歴史にまで深く着目して製品開発に臨んだ。その存在が異質だったことは想像に難くない。
彼らが製品開発のテーマとして掲げたのは、「世代を超えて永く愛される製品を開発すること」である。これは自社の製品単体のことではなく、彼らが世に出した製品がさまざまなシーンに影響を与えながら、全体で不朽の作品となることを意味する。
ロープライス、大量生産、お洒落で便利な……なんてテーマとはちょっと質が違う、壮大な志が彼らのものづくりの根底には流れている。
オンウェー
300kg、72時間も強度テスト、2000回にも及ぶ耐久テストなど、厳しい品質検査をクリアして初めて製品化される。


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