2021.01.23
LEISURE

グループラン、銭湯、ビール……etc.コロナ禍で気付いた仲間と走ることの尊さ

遠藤孝純 

「Running Up-Date」とは……

言うまでもなく、ランニングは自分ひとりでできるスポーツだ。だからこそ、ガチで走るのもユルく流すのも、それぞれにそれぞれの楽しさがある。

アパレルメーカーでECの運営に携わる遠藤孝純さんのランニングスタイルに耳を傾けると、そのことがよーく実感できる。

AFEの仲間と夜の東京を走る

30代半ばから走り始めたという遠藤さんがランナーになったのは、アキレス腱を断裂してしまったことがきっかけ。趣味のバスケットボールを思うようには楽しめなくなってしまったのだ。ひとりで、かつマイペースでできるスポーツといえば……と、走ることを思い立った。

「バスケ部のときは走るのが嫌いだったんですよね。だって地味じゃないですか(笑)。その地味なものを頑張ってトレーニングするとなると、ある意味で苦行に近い。

じゃあ大人になって始めたランニングはなぜ続けられたかというと、友人からとあるランニングチームに誘われたことが大きかったんです」。

遠藤孝純 

とはいえ、最初はあまり気乗りしなかった。ランニングはひとりでするスポーツじゃないか。みんなで走るっていうのも、なんだかな。

「いざ参加してみると、想像以上に楽しくって。AFEという有志のランニングクルーで、週に1回、都内の銭湯を起点に集まって夜の東京を走るんです。

池尻大橋をスタートして、渋谷のセンター街を抜けたりと、都会のど真ん中にコースを設定するんですよ。普通ならランニングコースにはしないルートをナイトクルージングする感覚が新鮮でした。

AFEのメンバーにはアパレル業界で働いているランナーも多く、走りながら、あるいは銭湯で汗を流したあとにビール片手に洋服や音楽の話で盛り上がれます。そんなランニングを通じた交友関係にハマりました」。

遠藤孝純 

陸上競技の延長としてのランニングだと、タイムという物差しが大きなウェイトを占める。遠藤さんが出合ったのは、速さがすべてではない、カルチャーとしてのランニングを楽しめるコミュニティだった。

他愛もない話をしながらユルく走る。こうやって適度に体を動かすことの、何と楽しいことか。

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共通の趣味が国内外の交友関係を広げてくれた

とはいえ、比較的シリアスに走っていた時期もある。

「ランナーなら一度くらいはフルマラソンに挑んでみようぜと、仲間内で盛り上がりまして。スタートするまでは、正直言って『イケるっしょ』と思っていました。ユルめのランニングが中心とはいえ、それなりに走り込んでいる自負がありましたから。

でもそれが大きな間違いで、初マラソンでは完全に打ちのめされましたね。後半になると脚が攣って何度も立ち止まってしまい、こんなにもツラいんだと」。

遠藤孝純 

ゴール直後はもう二度とするものかという気持ちになったというが、まぁ無理もない。でも時間が経つにつれて、何だかスッキリしないことに気が付いた。このままじゃ終われない。

「くすぶってたんですよね。だからもう一回やってやろう、と。そこからは自分なりにマジに走り込んで、42.195kmでも最後までしっかり走り切れるようになりました。

タイムがどんどん良くなっていく感覚も楽しくって、それをレースで発揮するのがまた面白い。海外のレースにも参加するようになりました。自己ベストは韓国で走ったマラソンなんです」。

ソウルに行ったときはAFEのような現地のランニングクルーと一緒に走り、海外から来たランナーがAFEにジョインすることもある。東京の街を案内するのに、走ることほど適したことはない。逆もまた然りで、海外の街をよりリアルに体感できる。

遠藤孝純 

「おかげで世界各国にラン友ができました。みんなのSNSを眺めていると、コロナ禍でもそれぞれのペースで走っていて、繋がってるなという感覚があります」。

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ケガをしても走ることは「やめられない止まらない」

今、遠藤さんには再び「リラックスして走るモード」が訪れている。再びアキレス腱を痛めてしまい、速いスピードでは走れないからだ。

「それでも、日々の生活において走るというルーティンは欠かせません。月並みですけど、走ることがいちばんのストレス解消法になっているんですよね。

仕事上のごちゃごちゃしたことを抱えているときでも、走れば頭の中がクリアになる。汗と一緒にモヤモヤが流せる。自分のペースで走るのは、自然に自分と向き合うという行為になりますから。ほかに代えがたいんです。

だからランニングをしていない自分はちょっと想像できないですね。ランニングを通じてたくさんの友人ができましたけど、大人になってからこんなに交友関係が広がるなんて想像していませんでしたから」。

レースでタイムを目指す楽しみ方はひと段落。それでも、走ること抜きの生活はもはや考えられない。

遠藤孝純 

「昨今の社会情勢下ではみんなで一緒に走るというのはいろいろな面で難しく、しばらくご無沙汰しています。その穴がやっぱり大きくて。

週1回、夜、皆で集まって汗をかき、お風呂に入って、美味しいお酒を飲んで情報交換をする。それがいかに大切なことだったかが身に染みるというか、早くまたみんなと走りたいですね」。

レースでシリアスにタイムを目指すテンションにはないけれど、仲間とワイワイしながらハーフマラソンあたりに参加したいという気持ちは、ある。

「憧れというか、東京マラソンはいつか走ってみたいです。もしも出走権が当選したら、もう一度本腰を入れてタイムを目指してみようかな」。

AFEというクルーを通じて広がったランニングの楽しみ方。ファッションと一緒で、ライフスタイルのひとつとしてエンジョイするのが遠藤さんのランニング術だ。

ウェアのコーディネイトにも服好きだからこそのこだわりがある。そのあたりは後編で聞いてみよう。

遠藤孝純 

RUNNER’S FILE 27
氏名:遠藤孝純 
年齢:43歳(1977年生まれ)
仕事:アパレルメーカー EC運営
走る頻度:週3日程度。平日は30~45分、週末は1~1時間半
記録:フルマラソン3時間14分(2017年、ソウルマラソン)

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「Running Up-Date」
ランニングブームもひと昔まえ。体づくりのためと漫然と続けているランニングをアップデートすべく、ワンランク上のスタイルを持つ “人”と“モノ”をご紹介。街ランからロードレース、トレイルランまで、走ることは日常でできる冒険だ。 上に戻る

礒村真介(100miler)=取材・文 小澤達也=写真

# AFE# Running Up-Date# ランニング# 遠藤孝純
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