「Camp Gear Note」とは……日本のアウトドアマーケットには、数多くの海外ブランド製品が溢れている。
どれもスタイリッシュで魅力的に見える。が、なかには実際にフィールドで使ってみると今ひとつなものも少なくない。
開発された欧米と日本の気候や環境が大きく異なるため、高性能かつ多機能なことを売りにしているモデルでも、日本ではその実力を十分に発揮できないことがあるからだ。
その点、テントやスリーピングマットなどを手掛けるアメリカ東海岸発のブランド「ニーモ」の製品は、ここ日本でも、現場のプロたちからの評判がすこぶる良い。なぜだろう?
ブランドの歩みと開発背景を探ってみると、その理由がはっきりと見えてきた。
一風変わったテントからブランドをスタートしたわけ
ニーモの創業は2002年。金属フレームの代わりにエアビーム(空気の梁)を採用するという斬新な構造のテントによって、世界的な注目を集めた新興ブランドだ。
創業者のカム・ブレンシンガーはデザインと設計を学ぶ大学生だった。そして、スキー、MTB、アイスクライミングなど山の遊びから、サーフィン、SUP、釣りなどの海の遊びまで幅広くこなす多彩な趣味人でもあった。
子供のように好奇心旺盛な彼は、その幅広い趣味から得た知識と経験を生かし、現在も製品のデザインと開発に取り組んでいるそうだ。
数あるギアの中から手始めにテントを選んだ(しかもかなり個性的な)背景には、将来的にアウトドア総合ブランドとしての展開を睨んだカムの長期的戦略があった。
当時、既に市場にはさまざまなアウトドアギアが流通していたが、テントは長年大きな革新がないジャンルだった。
「まずは、このジャンルに斬新なアイデアを持ってインパクトを与えよう。そして、マーケット内でのポジションを確立してから徐々にラインナップを広げていこう」。
そんなカムの狙い通り、見事インパクトを残すことに成功すると、ニーモの名とともにブランドとしての信頼性と将来性も大きく広がっていった。
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