Running Up-date Vol.52
2020.12.26
LEISURE

鞄メーカーCMOはコロナ禍で気が付いた「ゴロ寝よりも、走ったほうが疲れがとれる」

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「Running Up-Date」とは……

2020年は多くの人にとって大きな変化を余儀なくされた一年だった。

自社ブランドをはじめ、国内外で人気のカバン・皮革製品を扱う老舗メーカー「林五」のCMO(チーフマーケティングオフィサー)を務める宮林誠之さんは、2020年の2月、仕事はもちろん、プライベートでもちょっとした「見直し」を迫られていた。

「ふとしたきっかけで、妻から加入している保険関係を見直そうと言われまして。その保険商品はタバコを吸っていると不利になる内容のものだったんですよね。以前から、いつかは禁煙しなきゃなと思っていたので、『じゃあこれをきっかけにやめよう!』と決意するに至りました」。

 

ランナーたちならではの健康的な親密さがうらやましい!

自身の健康のために、おトクな保険のために、そして何より愛する家族のためにも禁煙を誓い、「子供にお願いして、加熱式タバコの機器を割ってもらいました」。

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一般的に禁煙すると口寂しさから間食が増え、体重が増えてしまうケースがある。「タバコをやめると太る」は、厚生労働省も注意喚起している禁煙時の懸案事項だ。

「周りの友人からもその“禁煙あるある”を聞いていて、そこにいわゆる自粛期間のタイミングも重なり、走ることにしたんです。学生時代から野球をしていて、社会人になってからも出勤前に集まったりして続けていたんですけど、各々が結婚するなどして自然とその機会が少なくなっていて。ずばり、運動不足だったんですよね」。

もうひとつ大きかったのが、その前年に新規事業として浅草橋にある自社ビルのリノベーションを手掛けていたことだ。

インバウンドを見込んでホテルを開業し、隅田川が近いという場所柄、ランニングイベントの会場として使用されることが何度かあった。飲食のできるスペースがあって集いやすいことと、荷物預かりと着替え、シャワーが使用できる「ランニングステーション」としての機能を見込まれたのだ。

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浅草橋のミニマルホテル「OUROUR(アゥア)」は、宿泊は一時休止中だが、先日さらなるリニューアルを行い、一階はスペシャルティコーヒーとドーナツのスタンド、イートインのカフェレストランがオープンしている。

「僕もいくつかのイベントに実際に参加してみたのですが、そのときはまだ、すぐ息が上がってしまっていました。でも、ランニングってなんだか楽しそう、というのはすぐ気が付いたんですよね。走り終わったあと、ランナーたちがお酒を飲みながら共通の話題で盛り上がっている雰囲気も魅力的でした」。

コロナもひとつのきっかけだが、走るための環境は外堀から埋まっていたのだ。

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隅田川テラスが目と鼻の先、ランナー垂涎のテレワークスペース

「リノベーションした自社ビルはワーキングスペースとしても機能させていて、僕自身もよくそこで作業しています。

ラッキーなことに、ランニングコースとして人気のある隅田川沿いの『隅田川テラス』までが目と鼻の先なんですよ。だから打ち合わせと打ち合わせの間の空き時間を使って、30~60分ほど走るようになりました」。

最初こそ走るとぐったりしていたが、じきに数km走ってもそんなに疲れなくなった。

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「むしろ、スッキリするんですよね。休みの日は自宅周辺を走りますが、家の中でゴロゴロしているよりも疲れがとれる気がします。

今年はビルのリノベーションに関わる新規事業や、コロナ禍での生活など、いろいろ考えることが多かった。それらのゴチャゴチャが整理され、前向きな気持ちになれるんです。

走るときももちろん考えごとをしています。というよりむしろ、考える内容を切り替える良いタイミング、スイッチになっていると思いますね。

新しくオープンさせるカフェのメニューは何がいいかな、テイクアウトだと何ができるかな、とか。先日のリニューアルに関することは、ほとんど走っているときに考えました」。

走ることで享受したメリットはほかにもある。長年悩まされていた肩コリもなくなったとか。

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「隅田川テラスを5~10kmほど走るのが定番ですが、同じ道をぐるぐるするよりは景色が変化していくさまを眺めているのが好きですね。散策する感覚に近いでしょうか。

隅田川テラスという場所もよかった気がします。走る時間を変えているので、朝、昼、夜と見え方が違うのも面白い。走って味わう隅田川の夜景は別格ですよ」。

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一緒に楽しめるスポーツを通じて「あーだこーだ」語り合う喜び

ランニングを始めて良かったのは「ランナー同士で通じ合える共通言語ができた」ことだそう。

「無趣味だったので、趣味といえるものができたことで生活に張りが出てきました。ランニングって、上手い下手があまり関係なく楽しめる懐の深さがありますよね。

野球であれば初心者はフライもろくに取れなかったりするから、レベルに差がある経験者とはお互いに楽しくプレーするのは難しいんです。チームスポーツ、球技には少なからずその側面があると思うんですが、ランニングはいろんなレベルの人が一緒に楽しめます。

同じコースを一緒に走るのだとしても、上級者だって5kmは同じ5kmで、ゆっくり走ったって十分楽しめるじゃないですか。で、走ったあとは『あのコースがどうだった』とか、『今度あのシューズを試してみたい』だとか、ランナー同士ならわかる共通言語で盛り上がれます」。

走って、汗を流して、飲む。その輪に入れるのは最高の悦びなのだ。

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「自分のようなにわかランナーが長く続けていくコツですか?『マイルールを決めること』でしょうか。

僕の場合は『体調が悪いとき以外は、走り始めたら必ず5kmは走る』と決めています。それが良いプレッシャーになると言いますか、このマイルールをクリアしていくことで張り合いが出て、モチベーションにも繋がっています。

コロナが落ち着いたらレースにも出てみたいですね。まずは10kmレースに、そして次はハーフマラソンでしょうか。2021年には何かしら走りたい!」。

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「それにしてもまさか走るようになるなんて、自分でもびっくりでした」と宮林さん。親戚にランナーがいて、何でランニングなんかするのと話していたくらいなのに。今は普通の服には以前ほど興味がわかず、ランニング系のアイテムにばかり目が行ってしまうとのこと。

後編では、この一年で掘って、出合った「新しい趣味」のランニングギアをご紹介しよう。

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浅草橋のOUROURは現在、本格的にランニングステーションとしてもオープンしている。ロッカーおよびシャワー利用(タオル付き)で税込み500円。平日は10:00~19:30、土日祝は9:00~19:30。いずれも最終受付18:00だ。
RUNNER’S FILE 25
氏名:宮林誠之 
年齢:44歳(1976年生まれ)
仕事:林五 CMO
走る頻度:週5日程度、30~60分ほど
記録:レースへの参加はとくになし

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「Running Up-Date」
ランニングブームもひと昔まえ。体づくりのためと漫然と続けているランニングをアップデートすべく、ワンランク上のスタイルを持つ “人”と“モノ”をご紹介。街ランからロードレース、トレイルランまで、走ることは日常でできる冒険だ。 上に戻る

礒村真介(100miler)=取材・文 小澤達也=写真

# OUROUR# Running Up-Date# ランニング# 宮林誠之
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