Camp Gear Note Vol.69
2020.11.29
LEISURE

キャンプ用バーナー選びで失敗しないための、パーツディテール講座

バーナー

「Camp Gear Note」とは……

キャンプ用のバーナー選びで外さないためのコツは、形状やモデルごとの違いを把握し、自分の使用目的に合ったものを選ぶこと。

バーナーの形状や燃料の種類による特徴を解説した前編に続き、後編ではより細かなディテールの違いに注目してみよう。

バーナーヘッドの形状が風に対する強弱を左右する

バーナー
ヘッドに設けられた無数の小さい穴がいかに風から守られているかが重要。

まずはバーナーヘッドの形状による違いを見比べてみる。

上写真の2つを比べてみてほしい。左がお皿状に窪んでいるのに対し、右がドーム状に膨らんでいることがわかるだろうか。

風の影響を受けやすい右の形状に対し、左はサイドの立ち上がりが風防の役割を果たして皿の上部を風が吹き抜けるため、火口自体は風の影響を受けづらい。

バーナー
大きな1つの炎に見えるが、穴から出た小さな炎の集合体こそがバーナーの作る炎の正体だ。

バーナーヘッドはガスが出る穴の数だけ小さな炎が立ち上がる仕組みになっている。この穴は多い方が風に強い形状と言える。

例えば、ロウソクやライターの炎は1つだけなので、風で消えてしまうとそれまで。しかし、バーナーの炎は万が一、1つ、2つ消えてしまっても、周りに残った炎に引火して消えた部分もすぐに復活できるのだ。

店頭で火をつけられるならば、炎の色も見比べてみよう。赤よりも温度の高い青い炎が出るモデルは、燃料を完全燃焼できている証拠。バーナー性能を見極めるポイントの1つとして覚えておこう。

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ヘッド形状による炎の違いがバーナーの性格を決める

バーナー
このような炎の立ち上がり方が「直噴型」。小さな出力でも効率良く熱を伝えられることがメリット。

バーナーヘッドの形状の違いは、炎の形状の違いにも繋がる。

炎の形状は大別して2つ。炎が細く真っ直ぐ立ち上がる「直噴型」と広い炎が出る「拡散型」に分けられる。より細分化もできるが、まあこの2種類を頭に入れておけば、大抵のバーナーの違いは把握できるだろう。

バーナー
炎が広がる「拡散型」やヘッド自体が大きいモデルのほうが、調理時の使い勝手がいい。

「直噴型」は炎の幅が狭いことが特徴で、クッカーの中心部に無駄なく熱を伝えられるため、熱効率に優れる。反面、1点に熱が集中するので薄いクッカーを使うと火の当たる場所だけ焦げ付きやすいのがデメリット。効率良くお湯やスープを沸かしたい時に向く形状と言える。

対して、「拡散型」は鍋底の広い面に熱が当たるため、満遍なくクッカーに熱が伝わる。しっかりした調理に使いたいならば、このタイプが向いている。

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最大出力値=お湯の沸く速度ではないカラクリ

バーナー
寒い時期のキャンプや山では早くお湯が沸かせるバーナーの貴重さを体感するだろう。

「最大出力」という数値を見たことはあるだろうか。

これはバーナーのパッケージやカタログには必ず表記される、火の強さを示す数値のこと。数字が高ければ高いほど純粋に火力が強いことを示す。

しかし、この数値が高い=早くお湯が沸くわけではないのが、アウトドア用バーナーの選びの難しいところである。

バーナー
数値通りだと思っていいのは、無風状態で温かい室内でのみ。実際にフィールドで使うとさまざまな要素が複合的に影響する。

例えば、寒冷地でもあっという間にお湯を沸かせることで知られる名機「ジェットボイル」の最大出力値は「2269kcal/h」ほど。

数値だけで言えば、他社で「4500kcal/h」と2倍もの数値を誇るモデルもあるが、同じ量のお湯を沸かすためにかかる時間は、使用状況によってはジェットボイルに軍配が上がることもある。

バーナー
ジェットボイルは集中的に炎が真ん中に集まるヘッド形状+専用クッカーの組み合わせが熱効率を最大限高めている。

その理由は、寒さや風によって、数値通りの実力を発揮できないバーナーが少なくないからだ。火力だけでなく、ヘッド形状と使用するクッカーの相性、風や寒さに強い構造など、アウトドアで調理をするためのバーナーには多くの要素が求められる。

また、出力値が大きいバーナーは燃料の減りも早いため、「燃費」についても頭の片隅に入れておきたい。

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快適に調理をするにはゴトクの大きさと形状も重要

バーナー
ゴトクの大きさや形状はモデルによってさまざま。

ゴトクの大きさや形状は、モデルによっての違いが大きい。

ヘッドの大きさはほぼ変えられないので、ゴトクを小さく軽くしたり、反対に大きく安定した設計にすることでバーナーの個性を出すのである。

バーナー
ゴトクの大きさを選ぶ際は、よく使うクッカーのサイズを考慮したい。

選び方のポイントとしては、よく使う鍋の大きさとゴトクの大きさを合わせること。ゴトクの大きさと鍋底の径が同じくらいの大きさになる組み合わせが使いやすい。滑りづらい形状のものを選ぶことも忘れずに。

登山向きな軽量モデルは、重量を削るためにゴトクも薄く小さくしがち。大きな鍋も使えなくはないが、ストレスなくキャンプ料理を楽しみたいならば、ゴトクがしっかりしたモデルを選びたい。

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こんなギアも併せて持っておくと便利

バーナー
キャンプでは俗に言うターボタイプのチャッカマンが便利。

バーナーと併せて持っておくと便利なギアも紹介しておこう。

点火スイッチは壊れやすいパーツなので、ライターやチャッカマンは必ずセットにして持っておきたい。風除け(風防)もあるとないとでは燃焼効率の差が大きいので、外での調理にはあったほうが良いだろう。

バーナー
風が強い日は風防があるかないかで調理の安定感は雲泥の差。

以上のようにたくさんの種類のバーナーが存在する理由は、その数だけ多種多様な使用状況や使い方があるからである。

どんな状況や使い方にも対応できる万能な1台は存在しないので、自分の使い方をよく考えて売り場に足を運んでみよう。

[取材協力]
新富士バーナー
0533-75-5000
www.shinfuji.co.jp

「Camp Gear Note」
90年代以上のブームといわれているアウトドア。次々に新しいギアも生まれ、ファンには堪らない状況になっている。でも、そんなギアに関してどれほど知っているだろうか? 人気ブランドの個性と歴史、看板モデルの扱い方まで、徹底的に掘り下げる。 上に戻る

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池田 圭=取材・文 矢島慎一、宇佐美博之=写真

# Camp Gear Note# SOTO# キャンプ# ゴトク# ジェットボイル# バーナー
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