自転車ライフ 2.0 Vol.10
2020.09.06
LEISURE

世界7都市を漕いだ “自転車専門” ビデオグラファーが語る、街を走る楽しさ

メッセンジャーやピストバイクなど、常に自転車カルチャーを牽引してきたNYで注目される自転車専門のビデオグラファー、テリー・バレントセン。

彼が語る自転車で街を走る魅力とは。

メッセンジャーやピストバイクなど、常に自転車カルチャーを牽引してきたNYで注目される自転車専門のビデオグラファー、テリー・バレントセン。

ビデオグラファー兼ライダー
テリー・バレントセンさん Age37
米カリフォルニア生まれ。5年前からNYに拠点を持ちつつ、自転車で世界中を走りながら撮影したものをSNSにアップし続ける。去年は日本にも訪れ、山梨県にキャンプに行ったのだとか。もちろん自転車で。(instagram@terrybarentsen
テリーさん撮影の動画はこちら。動画を見た直後、街へ飛び出さずにはいられなくなりました(編集部)。

NYを拠点に、イギリス、日本、インドネシア、ロシア、イタリア、メキシコといった世界中の街を自転車と身ひとつで駆け巡り、走りながら撮った映像をSNSにアップし続けるテリー・バレントセンというビデオグラファーがいる。彼の動画の特徴は何といってもその躍動感だ。

例えばメキシコシティの街をスピーディに走るライダー仲間の後ろを同速度で追った映像は、その臨場感からまるで自分も異国の街並みを一緒に走ってるかのような錯覚に陥らせる。自転車が車道を走ることが原則になっているNYのマンハッタンの街中でバスやタクシーの合間を素早くノンストップですり抜ける様も、スリリングで依存性があると言ってもいいほど刺激的だ。

10歳でBMXに乗り始めてレース経験もあり、ロードバイク歴もざっと15年以上という根っからのライダー、テリーだからこそ捉えることができる映像は、こんなワクワクする自転車の乗り方があったのかと新鮮な驚きを与えてくれる。

「ロードバイクに惹かれたのは、15歳で手の怪我をしてBMXを諦めないといけなくなって、代わりにスケボーを始めた頃なんだ。サンフランシスコで滑っていたら、街中の坂をスノーボードをしているかのようにトラックバイクでスイスイと思うがままに走り回っている人を見て衝撃を受けた。

ロードバイクは移動手段としてももちろん使えるけど、それ以上に僕が惹かれたのは『これがあればどこへでも行ける!』っていう自由なスピリットだ。その点はスケボーと似てるよね。

今までいろいろな国で自転車に乗ってきたけど、その体験は今まででいちばん自由を感じる時間だった。スケーターがボードひとつでいろんな街を滑り回れるというのと一緒だよ。プロスケーターが自転車乗りになることが多いのも納得だよね。自転車はスケボーよりも体への負担が少ないから、さらにいいしね」。

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ロードバイクは速さやテクニックを競うスポーツのようなものではなくて、あくまでも自由さを象徴するアートフォームだと言うテリー。

ロードバイクは速さやテクニックを競うスポーツのようなものではなくて、あくまでも自由さを象徴するアートフォームだと言うテリー。だから、自転車であればどんな種類も乗りこなすし、その面白さを映像で伝えていきたいのだと言う。

「NYの自転車カルチャーもここ5年で随分変わってきていて、かつてはNYの風物詩でもあったメッセンジャーも今やもう街にほとんどいない。自分の自転車の走り方や種類に強いこだわりを持っている人や派閥をつくりたがる人もいるけれど、僕はそこには属してなくてどんな種類のバイクも楽しむタイプなんだ。

昨日はマウンテンバイクを乗ってマンハッタンの北側にあるハイブリッジ地区の森林の中を走ったよ。NYでは自転車を地下鉄やバスに乗せることもできるから、遠出も実は簡単だ。

それに自転車に乗れば、歩くよりもより多くの情報を短時間で得られることができるのもいいところ。街の状況や歩く人々の雰囲気などが一気にわかる。特に今は、変化の多いNYの現状を知りたがっている人も多いから、ゴープロを頭に付けて走りながら撮ったものを定期的に僕のユーチューブでも発信しているよ。各国を回っているときも、街を撮ることがいちばん面白いと思っているんだ」。

コロナ禍のパンデミックを経験した今、世界的に自転車のニーズが高まり、NYでも自転車専門店は大盛況だ。地下鉄やバスの利用を懸念する人たちにとって、自転車は今や“ニューノーマル”の重要な交通手段のひとつになった。

「車よりも安価に持てるのがいいよね。あと、体を使った趣味のひとつになるというのもニューヨーカーに最適なんだと思う。今まで娯楽といえばショッピングと外食が主流だった彼らにとって、自転車はこの新しい環境の中でも体を動かしながら楽しめる趣味になってると思う。

あまり最初は考えすぎず、どんな種類の自転車でも試してみればいいと思う。自由なスピリットを感じることができれば、もうみんな十分ライダーだよ。そのあとで自分の楽しみ方をもっと掘り下げていけばいい」。

最近は街を走った、その日の出来事や発見したことをビュワーたちに話して交流したり、ライブストリーミング配信プラットフォーム、ツイッチでインタラクティブな発信をするなど精力的に新しい手法を試しているテリー。

テクノロジーの進化とともに、自転車の魅力をより広く発信し続ける彼から目が離せない。

 

佐藤康気、比嘉研一郎、鳥居健次郎、恩田拓治、中野 理、川西章紀、船生 光=写真(取材) 池田 健=編集 今野 壘、野村優歩、大関祐詞、菊地 亮、池田桃子=文

# テリー・バレントセン# 自転車
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