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ロードバイクは速さやテクニックを競うスポーツのようなものではなくて、あくまでも自由さを象徴するアートフォームだと言うテリー。
ロードバイクは速さやテクニックを競うスポーツのようなものではなくて、あくまでも自由さを象徴するアートフォームだと言うテリー。だから、自転車であればどんな種類も乗りこなすし、その面白さを映像で伝えていきたいのだと言う。
「NYの自転車カルチャーもここ5年で随分変わってきていて、かつてはNYの風物詩でもあったメッセンジャーも今やもう街にほとんどいない。自分の自転車の走り方や種類に強いこだわりを持っている人や派閥をつくりたがる人もいるけれど、僕はそこには属してなくてどんな種類のバイクも楽しむタイプなんだ。
昨日はマウンテンバイクを乗ってマンハッタンの北側にあるハイブリッジ地区の森林の中を走ったよ。NYでは自転車を地下鉄やバスに乗せることもできるから、遠出も実は簡単だ。
それに自転車に乗れば、歩くよりもより多くの情報を短時間で得られることができるのもいいところ。街の状況や歩く人々の雰囲気などが一気にわかる。特に今は、変化の多いNYの現状を知りたがっている人も多いから、ゴープロを頭に付けて走りながら撮ったものを定期的に僕のユーチューブでも発信しているよ。各国を回っているときも、街を撮ることがいちばん面白いと思っているんだ」。
コロナ禍のパンデミックを経験した今、世界的に自転車のニーズが高まり、NYでも自転車専門店は大盛況だ。地下鉄やバスの利用を懸念する人たちにとって、自転車は今や“ニューノーマル”の重要な交通手段のひとつになった。
「車よりも安価に持てるのがいいよね。あと、体を使った趣味のひとつになるというのもニューヨーカーに最適なんだと思う。今まで娯楽といえばショッピングと外食が主流だった彼らにとって、自転車はこの新しい環境の中でも体を動かしながら楽しめる趣味になってると思う。
あまり最初は考えすぎず、どんな種類の自転車でも試してみればいいと思う。自由なスピリットを感じることができれば、もうみんな十分ライダーだよ。そのあとで自分の楽しみ方をもっと掘り下げていけばいい」。
最近は街を走った、その日の出来事や発見したことをビュワーたちに話して交流したり、ライブストリーミング配信プラットフォーム、ツイッチでインタラクティブな発信をするなど精力的に新しい手法を試しているテリー。
テクノロジーの進化とともに、自転車の魅力をより広く発信し続ける彼から目が離せない。
 
佐藤康気、比嘉研一郎、鳥居健次郎、恩田拓治、中野 理、川西章紀、船生 光=写真(取材) 池田 健=編集 今野 壘、野村優歩、大関祐詞、菊地 亮、池田桃子=文


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