「Camp Gear Note」とは……ここ数年のキャンプブームを経て、市場には個性的な道具が溢れるようになった。テントやタープ、焚き火台にチェア。キャンパーたちはそれぞれ独自のスタイルを主張ためにも、そのセレクトにこだわり、頭を悩ませる。
しかし、これだけさまざまな道具が普及したにも関わらず、イケてるキャンパーの手元を覗いてみると、彼らの愛用するグローブはほぼ一択と言っていい。かなりの確率で、黄色が特徴的な「グリップスワニー」のレザーグローブを使っているのだ。
「スワニーイエロー」は、必要から生まれた実用的なカラーだった
ブランドが誕生したのは、ゴールドラッシュに沸く1848年のアメリカだった。一攫千金を狙う採掘者のために、丈夫なバッファロー革で作ったグローブが始まりだ。
創業年は、のちに電球を発明するトーマス・エジソンが生まれた翌年。鉱脈の採掘作業は、当然まだ明かりの少ない環境下で行われていた。
そんな薄暗い中で落としてしまっても見つけやすくするために、革を黄色に染めるアイデアが生まれたそう。この独特な黄色は「スワニーイエロー」と呼ばれ、現行モデルにも引き継がれてブランドを象徴する特徴となっている。
1970年代に入ると、デュポン社が開発した強靭なケブラー糸を縫製に採用し始めた。また独自のガンセット製法(立体裁断)を用いて縫い目を外に配置したことで、縫い代が手に当たらなくなり、着用時のストレスを軽減することに成功。アメリカ国内のキャンプ人気も手伝い、グリップスワニーはさらにその認知を広げていった。
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