Running Up-date Vol.35
2020.08.22
LEISURE

接客日本一のショップスタッフが、自分のことだけを考えるランニング時間

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「Running Up-Date」とは……

全国の販売員が接客のスキルを競う「SC接客ロールプレイングコンテスト全国大会」が毎年開催されていることをご存じだろうか? この手の大会でもっとも規模の大きく、参加者は1万人以上。ファッション販売のみならず、飲食やサービス業までを含め、ショッピングセンター等に出店しているすべての業種のショップスタッフが接客のスキルを競うコンテストだ。

シップス銀座店のメンズカジュアルフロアに勤務する椛澤 翔さんは、2018年1月に開かれた第23回大会で見事、大賞に輝いた。すなわち、接客日本一のショップスタッフなのだ。

やればやるほど進歩が望める、それがランニング

現在は銀座店での接客だけでなく、全国のシップス販売員へのアドバイスや教育も務める椛澤さん。いずれも相手ありきの現場仕事で、常に相手の気持ちに寄り添うことが求められる。こうして仕事の責任や分量が増えていった一方で、プライベートでも半ば無意識に増やしていった大事な作業の時間がある。

ランニングだ。

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「35歳という、人生のひとつの峠を越える頃、体つきが徐々に変化して体力の低下を感じ始めました。学生時代はバスケットボールをしていたのですが、社会人になってからは特に運動の習慣はなし。小さい頃水泳をやっていたこともあって、同じエンデュランス系アクティビティであるランニングは嫌いじゃなかった。じゃあ走ってみようかな、というのがきっかけです」。

もうひとつの要因は生活環境の変化。結婚を機に奥さんと2人暮らしをするようになったことだ。荒川が近い環境へと住まいを移し、その結果、身近なホームコースとして土手沿いのランニングコースを手に入れた。

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「街中を走るのも面白いけれど、開放的で緑の多いシチュエーションが気持ち良くって、走る頻度が高くなっていきました。空が広く感じられるところを走ると、何も考えず無心になれるんです。逆に言えば何も考えたくないんだよな、というときにするのがランニングで、完全にリフレッシュ目的。走り始めた頃は多少はしんどかったですよ。それはもう、全然走れなかったので。

でも、回を重ねていくたびに走る距離を伸ばせるのがランニングのいいところ。一歩一歩、着実に目標をクリアして、ゲインしていけますから。これが球技だとそう上手く運びません。ですから、走ることのほうが向いていたのだと思います」。

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走ることは自分自身への接客時間

走るときに接客のことを考えたり、振り返ったりはしないのだろうか?

「走り始めの頃は仕事のことを考えてたりしましたが、ある日ふと気が付いたんです。ひとりになって何も考えずにいられるランニングの時間が、次の日の仕事にとてもいい影響を与えているって。

接客業で不特定多数のお客様に接していると、自分でも無自覚なうちにメンタル面が行き詰まってくるようなところがあります。そのリフレッシュになるというか、単なる体力作りを超えて、仕事でよりいいパフォーマンスを発揮するためのランニングでもあるんです」。

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こうしてランナー・椛澤さんは社内外の接客コンテストで目覚ましい結果を残していくことになる。

「とにかく相手の立場になって物事を考えるのがこの仕事なのですが、走るときは自分のこと、自分の体のことだけを考えます。月並みですけど、いいオン・オフの切り替えスイッチになっているんですよね。メリハリがついたおかげでいい閃きに結び付くこともあります。

おかげさまで社内で教育的な立場の業務も任せていただけるようになり、担当の幅が広くなった分、そのバランスをとるように自然とよく走るようになった気がします。コロナの自粛期間でも、普段が立ち仕事なので長時間座っていることが耐えられなくって、そのときもまた走る頻度が増えていました」。

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シップス銀座店では副店長を務める。地下一階のメンズカジュアルフロアに立つことが多い。
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アプリを使って走るフォームを意識

ランニングを長く、無理なく、継続するための椛澤さん流のコツを教えてもらった。

「実はヘルニア持ちで、日々の積み重ねがたたって腰痛が出てしまったことがあります。そのときはランニングを一旦休止したんですが、回復してからはフォームを意識するようになりました。

『Nike Run Club』のアプリを知っていますか? 例えば、走る時間を1時間と予め設定しておくと、アクティビティ中に経過時間に合わせたアドバイスを喋ってくれるので、それに耳を傾けながら走っています。それでフォームも改善され、腰も痛まなくなりました」。

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「他にも音楽を聴きながら走ったりもしますが、最近はイヤフォンを途中で外して、土手沿いの水の音、喧騒などに耳を傾けています。もちろん何も考えずに。5月のカラっとしている時期がいちばん気持ちいいですね。季節によって走る時間帯を変えていて、冬は朝に走ります。朝方のランニングがいちばん好きなのですが、夏場は夕暮れどきがきれいで、気持ちいいですね」。

すっかり走ることがライフスタイルの一部になっている椛澤さん。今後もこのまま続けていきたいと語るが、マラソン大会等への参加はとくに考えてはいない。

「だって、走るときくらいは自分ひとりの世界でいたいですから。誰かと競い合いながら走るのはきっと性に合わないと思います」。

腰痛を克服してからは自宅で嗜むお酒の量も減った。その点においてもまた、健康を実感しているという。アルコール摂取量に反比例して、走ることが増えたのだ。心身ともにリフレッシュさせるための手段として、これからもきっと、今のスタンスで無理なく走り続けていくのだろう。

ランニングって、やっぱり、いいよね!

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RUNNER’S FILE 16
氏名:椛澤 翔 
年齢:37歳(1983年生まれ)
仕事:シップス銀座店 副店長/販売教育課
走る頻度:週2日、休日の午前中に。走れなかった場合は翌日の出勤前。約7kmを50~60分で
記録:レースへの参加はとくになし

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「Running Up-Date」
ランニングブームもひと昔まえ。体づくりのためと漫然と続けているランニングをアップデートすべく、ワンランク上のスタイルを持つ “人”と“モノ”をご紹介。街ランからロードレース、トレイルランまで、走ることは日常でできる冒険だ。 上に戻る

礒村真介(100miler)=取材・文 小澤達也=写真

# Running Up-Date# シップス# ランニング# 椛澤 翔
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