Camp Gear Note Vol.53
2020.08.02
LEISURE

老舗テントブランド「ogawa」が考える、アフターコロナのキャンプシーン

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「Camp Gear Note」とは……

コロナウイルスの拡大に対し、オープンエアや自宅でも楽しめることを理由に、キャンプに対する世間の注目度は日増しに拡大中。

近年のキャンプの流行は? コロナ後にキャンプシーンはどう変わる?

今、みんなが気になるキャンプのあれこれをうかがうため、今回は日本のキャンプシーンのリーディングブランド「ogawa」を展開する会社、キャンパルジャパンを訪ねた。

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お話を訊いたのは、2016年から代表取締役CEOを務める伊川良雄さん。よろしくどうぞ!

キャンプの敷居が下がり、入り口が多様化している

—まず、ここ数年のキャンプシーンについて、どのような流れを感じていますか?

「キャンプブームと言っていい状況だと思います。近年、タレントさんやYouTuberさんをはじめ、多くの方がメディアやSNSを通じてキャンプの魅力を発信するようになった影響が大きいでしょう。おかげでキャンプの敷居が下がり、入り口が広がった。結果、エントリー層の方が増えている印象です」。

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創業は1914年。なんと100年以上の歴史を持つ日本発のテントブランドなのだ。

—たしかにSNSの影響か、キャンプは手軽に始められそうなイメージになりました。

「女子だけでお洒落なキャンプに挑戦してみたり、家族や仲間と出かけていた方がソロキャンプも始めてみたり。グランピングやBBQ施設、都内近郊のキャンプ場も増えてきて、初めての方でも安心して始めやすい環境が整ってきています」。

—キャンプとひと口に言っても、内容と入口が多様化してきていると。

「従来のキャンパー層に加え、数年前にグランピングやフェスでアウトドアを体験した人が、今度はキャンプに出かけて自分でテントを立ててみよう、料理を作ってみようという段階になってきたのではないでしょうか」。

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直営店第一号店「ogawa GRAND lodge SHINKIBA」。若洲公園でのキャンプ帰りに立ち寄るのが定番コースだ。
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B to BからB to Cへの移行が追い風に

—スタイルの多様化に伴って、キャンプギアを扱うブランドの増加、多様化も進んでいます。

「たしかに、その通りです。規模の大小に関わらず、一時期の価格競争とは違い、個性的で高品質なギアを作るブランドが増えていますね」。

—そのような状況下で、ogawaならではの強みとはどのような部分でしょうか。

「1914年創業と歴史が長く、その間に培ってきたノウハウが武器です。ひとつは、日本の気候風土に合った素材や構造を長年研究・開発してきた積み重ね。うちの製品はどれもその経験を落とし込んで、日本のアウトドアに合わせて形作られています。また、クラシックなロッジ型のテントなど、過去のモデルをソースに新製品を展開することもできます」。

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創業から100年以上に渡り、さまざまな形や用途のテントを手掛けてきた。ブランドの詳しい歴史についてはこちら

—逆に老舗ならではの弱みはありますか?

「以前は、良くも悪くも老舗らしさのある職人気質なブランドでした。流行に対するレスポンスが遅く、販売は卸だけだったので製品の良さをお客様に伝えきれていなかった。現在は直営店を5店舗持ち、店頭で直接いただいたお客様の意見を製品に反映できるようになり、私たちの弱点は改善されつつあります」。

—なるほど。確かに従来のogawaは質はいいけれど、ちょっと敷居の高いイメージがありました。

「今は直営店やオンラインなど、どこのブランドも販売チャンネルが増えてきている。その中で、B to Bではなく、B to Cの売り方は非常にogawaに合っています。うちは高額な製品も多いのですが、品質の良さや機能性を説明して、なぜこの値段になるのかをきっちりと伝えることができるのはB to Cならではのメリットです」。

—店には大型テントの展示もあり、設営も体験できる。やはりいちばんいいのは実物に触れてもらうことでしょうか

「そうなんですよ。テントに入った感覚などは、実物に触れなければわからないこともたくさんありますから」。

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直営店では、広々とした店内に大型テントを設置。中に入ったり、立ててみたりと実際の使い心地が体感できる。
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今、手に入れるなら汎用性の高いものがおすすめ

—コロナ前後で売れ方に変化はありましたか?

「手の届きやすい価格帯のアイテムの動きがいいですね。今までは高額商品がメインだったのですが、一昨年から始めた10万円を切るラインの売れ行きがいい。新しいキャンプ道具は欲しいけれど、先が見えない状況では大型で高額な商品には手を出さない方が増えているのではないでしょうか」。

—よりこじんまりとしたソロ向きな道具ということですか?

「単純に『ソロ向き』というより、『ソロにも使える』と言ったほうがいいかもしれません。先ほど申し上げたように、多様化するキャンプのスタイルに対応できるモデルが売れています。具体的には、ファミリーからバイクツーリング、ソロにも使えるサイズ感の『ステイシー』や『ピスタ』、張り方次第で形と広さが変えられる『タッソ』も人気です」。

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張り方によって、六角形、七角形、八角形と広さと形を変えられる『タッソ』は、今年発売の新作モノポールテント。

—最近はお家キャンプが話題ですが、そちらの需要は感じますか?

「縮小営業や休業するキャンプ場も増えている中、家でもキャンプの雰囲気を味わえるアイテムは、やはり人気を集めています。お客様の中には、自宅の庭にテントを張って楽しんでいるツワモノもいらっしゃるみたいです」。

—これから手に入れるなら、どのようなものがおすすめですか?

「普段使いもできるギアから揃えてみてはいかがでしょうか。例えば、カップやカトラリー、小型のテーブルやチェアならば、キャンプでも自宅でも使えます。今後は他社さんも含めて、そうした汎用性の高いアイテムの展開が加速するのではないでしょうか」。

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大物だけでなく、自宅でも使える小物にも注目。
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今まで以上に、現場の声を形にすべき時代へ

—こうした状況を受けたうえで、今後はどのような展開をお考えでしょうか

「景気が低迷してくるであろう中で、うちができるのは利益の部分を多少削ってでも価格を抑えた高品質なものを提供すること。今まで以上にお客様の需要を敏感に察知し、反映した商品を作ること。それしかないでしょう」。

—より消費者の声に耳を傾けるということですね。

「最新の情報については、今やメーカーよりもお客様が持っている時代です。僕らはものを作るプロとして、その声をきっちり拾い上げて、お客様が感じた『欲しい』を形にするだけ。今後はそうしたものづくりを進めていきたい」。

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普段使いにも便利な折り畳み式の「ogawa ポップアップトラッシュボックス」は、オレゴニアンキャンパーとのコラボ商品。

—『オレゴニアンキャンパー』や『ICELAND』など、話題のブランドとのコラボ商品もその一環でしょうか。

「要望の多いものを少しずつ形にしています。コラボモデルは、カタログへの掲載がない限定商品です。直営店とオンラインストアだけの販売なので、店頭で手に取ってみてください」。

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伊川さんをはじめとする広報&開発チームの声が製品になるまでのスピード感は、新生ogawaの特徴のひとつ。

—現在、お店は通常の営業に戻りましたか。

「営業時間は通常通りですが、混み合わないように設営講習や来店の事前予約を受け付けています。予約をしてからご購入いただいた方には、特典(期間限定)のご用意もあります。ぜひ、お店で皆さんの貴重な声を聞かせていただければ嬉しいです」。

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[問い合わせ]
ogawa GRAND lodge SHINKIBA
住所:東京都江東区新木場1-12-19
電話:03-6457-0306
営業:10:00~19:00、9:00~18:00(土・日曜、祝日)
火曜定休

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「Camp Gear Note」
90年代以上のブームといわれているアウトドア。次々に新しいギアも生まれ、ファンには堪らない状況になっている。でも、そんなギアに関してどれほど知っているだろうか? 人気ブランドの個性と歴史、看板モデルの扱い方まで、徹底的に掘り下げる。 上に戻る

池田 圭=取材・文 矢島慎一=写真

# Camp Gear Note# ogawa# お家キャンプ# キャンプ# テント
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