2020.06.20
LEISURE

隠れ家的メガネ店オーナーの「商いを始める前は、まずその街を走るべし」

running up-date

「Running Up-Date」とは……

世界的なメガネの産地として知られる福井県出身の原 崇さんは、先の5月、念願であったメガネのセレクトショップをオープンさせた。月島に構える「ダウンタウン」は、セレクトショップのプレスやバイヤー、またアイウェアメーカーのPRを歴任した原さんの審美眼が貫かれており、活気の高まる月島界隈でもちょっとした話題のスポットになっている。

「新型コロナウイルス感染症による自粛期間中は、ランニング中に『壁の色はグレーがいいか、やっぱり白か』とか、内装のことを考えたりしていました」。

30代の中盤を迎えてランニングを再開させたという原さん。走ることは店をオープンさせる際のちょっとしたヒントにもなっているのだそう。それってどういうことだろう?

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自粛期間中にランニングをアップデート

「実は自宅のそばに“密”を避けられる良いルートがあるんです。タワーマンションの裏手に、運河に沿った1kmほどの直線スペースがあって、住民以外はあまり足を踏み入れない区間なので、走るのにはもってこい。自粛期間中はもっぱらこのコースで走っていました。在宅ワークの方が増えたせいか運動不足解消のために走っている方も多く、ランナーのサンクチュアリみたいになっていましたよ」。

現在36歳の原さん。20代後半に走っていた時期があったものの、子供が生まれたりで一時はほとんど走れていなかった。

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「子供が成長して手がかからなくなってきたので、寝ついたあとに時間が取れるようになったんです。だから、走るのはもっぽら夜ですね。

それと、必ず夕飯を食べたあとに走る、というのも心がけています。これはランニングを再開するときにお世話になったスポーツ用品店の店員さんに『空腹状態で走るのはよくない』と聞いたから。走っていない時期も、自重で筋トレをするなどしていましたが、放っておくと内臓まわりに脂肪がつきやすいんですよ。

あとは健康診断で若干高めの血圧値が出ることもあって、見た目というよりは健康のためのランニングですよね。体を動かしたいというより、『健康でいなくっちゃ』というのがいちばんのモチベーションです」。

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2.4kmをほぼ全力疾走。その理由は……

「基本的に速いペースで追い込むことが多く、一度に走るのは1.5~2.4kmくらい。これくらいの短めの距離を全力に近いスピードで走るのが性に合っているんです。なぜ2.4kmか? 実は出身地である福井県の中学校で『2.4kmマラソン』というのがありまして。最初は体育の授業で走って、それがそのままマラソン大会にもなっているんですけど、速い生徒だと8分20秒くらいで走っていたのかな。

だから、自分の中では今でも『2.4kmを9分くらいで走れていれば上出来だ』というのが感覚的なものさしになっているんです。と言っても、ストップウォッチを使って厳密に距離を測って、というところまでガチではないんですけどね。

短距離走は遅かったんですけど、長距離走は得意なほうだったんです。営業の仕事では都内を歩く機会が多くって、その際は時間を有効に使うためにも基本早歩き。だからゆっくりジョグするよりも、速く走っておいたほうが何かと良いかなという考えですね」。

という具合に、原さんにとってランニングは、あくまで健康のため。レースなどへの参加経験はとくにないそうだ。

「地元で『美浜・五木ひろしふるさとマラソン』というレースが開かれていて、もう30年以上続いている老舗の大会なのですが、一回くらい走ってみて大会Tシャツをゲットしたいなと思ってます(笑)」。

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「今の時期は夜風が本当に気持ち良い。頭もスッキリします。ランニング中は音楽などは聴かず、ひとりの時間を満喫してますね。走りながら考えごとがまとまるということも、しばしばあります」。

ランニング中に考えるのはもっぱら仕事のことだ。

「頭の中には常にアイデアがいくつかあるような状態なので、それがどうやったら企画として形になるかに思いを巡らせてみたりしています。不思議と、走っている最中や走ったあとに歩いているときに妙案がブレイクスルーするんですよ。新しくオープンさせたショップのこともよく考えていました。内装とか、考え出すとキリがないですから」。

ダウンタウン」は原さんともうひとり、パートナーの中山さんによるメガネのセレクトショップだ。

「僕が一応の代表を務めていて、相方がバイイングを担当しています。ふたりとも福井県出身なので、鯖江市のブランドが8割以上。小売りを行うショップ形態ではありますが、ゆくゆくはモノ作りの企画もやっていきたいですね」。

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「YUICHI TOYAMA.(ユウイチ トヤマ)」や「谷口眼鏡」などメイド・イン・福井のブランドを中心に、海外ブランドもセレクト。
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走って実感、東京で今いちばん面白い街は月島だ!

「月島という場所がとにかく面白いんですよ。この街に馴染みのない人からは『そんな下町にお店を構えて大丈夫?』と言われたりするんですが、個人的には東京で今、いちばん面白い街だと思っています」。

そのことを実感を伴って理解し、ついにはショップをオープンさせるまでに到ったのは、自身が引っ越してきたことに加え、ここ数年で月島という街を走るようになったことも多少は影響しているという。

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「かれこれ7、8年住んでいてそれなりに土地勘もついてきましたし、走りながらよく街並みを観察しているんですけど、ここ数年でいわゆる可処分所得の高い年齢層の人口が増えてきている印象があります。昔の景色を残しつつ、新しいものが上手くミックスされている場所って、東京でももうあまりない。もんじゃ以外にも新しいお店がどんどんできている。それこそ20代後半で走っていた頃とは全然違うかもしれません。街も走りやすいんですよ。もんじゃ商店街は車通りがほとんどなく、街灯もついているので」。

走ることでホームタウンへの愛着が高まり、それがショップオープンのきっかけにも繋がっている。夜遅くまで残業があるような仕事ではないので、今後も走ることは続けるつもりだが、一方でローカルならではの注意点もある。

「地元で商いをしている身としては、保育園への送り迎えで顔バレしていることもあって、ヘタな服装では走れないというのがちょっとした誤算でした(笑)」。

確かに! 後編では原さんが実際どんなコーディネイトを心掛けているのかを聞いてみよう。

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RUNNER’S FILE 12
氏名:原 崇
年齢:36歳(1984年生まれ)
仕事:アイウェアセレクトショップ「ダウンタウン」代表
走る頻度:週2~3日、2.4km程度
記録:レースへの参加はなし

 

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「Running Up-Date」とは……
ランニングブームもひと昔まえ。体づくりのためと漫然と続けているランニングをアップデートすべく、ワンランク上のスタイルを持つ “人”と“モノ”をご紹介。街ランからロードレース、トレイルランまで、走ることは日常でできる冒険だ。 上に戻る

礒村真介(100miler)=取材・文 小澤達也=写真

# Running Up-Date# ダウンタウン# ランニング# 原崇
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