Running Up-date Vol.7
2020.02.01
LEISURE

気鋭企業の若手キャリアの思考整理には、ランニングが欠かせなかった!

連載「Running Up-Date」
ランニングブームもひと昔まえ。体づくりのためと漫然と続けているランニングをアップデートすべく、ワンランク上のスタイルを持つ “人”と“モノ”をご紹介。街ランからロードレース、トレイルランまで、走ることは日常でできる冒険だ。
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   Running Up-Date

ランニングはアタマに良い。最近の研究によると、適度なランニングを定期的に行うことで脳のさまざまな部分が活性化するという説が一般的だ。大人が脳を鍛える唯一の手段ともいわれている。残念ながら頭蓋をあけてダイレクトに脳を観察するわけにはいかないけれど、代わりにビジネスの第一線で活躍するランナーの話を聞いてみたい。

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距離が長ければ長いほど、達成感は何倍にもなる

老朽化した古ビルをリノベーションし、個室型のスモールオフィスやシェアオフィスとして提供する株式会社リアルゲイト。「古いものに価値を、不動産にクリエイティブを、働き方に自由を」を経営理念に、中目黒の「THE WORKS」や南青山の「SHARE GREEN MINAMIAOYAMA」など、都内で50棟を超えるシェアオフィスやイベントスペースを運営している。一級建築士事務所としての技術的な再生手法に加えて、不動産にクリエイティブを導入、つまりセンスのいいデザインや共用部を設計することで、クリエイターやスタートアップ企業が集いたくなるような魅力的な場を作り上げているのだ。

不動産で東京をクリエイトしているリアルゲイトにて、取締役として活躍しているのが横山和哉さんだ。まだ33歳だが、ランニング歴は約8年。もっとも、走り始めたきっかけは仕事のためとか、ましてや脳に良いからというのはまったく関係なく、「趣味の島旅でした」。

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2020年頭に行われた宮古島100kmワイドーマラソン大会に参加。繁忙期のマインドリセットのためにと、半年以上前から年間スケジュールに組み込んでいた。

「高校時代は陸上部に所属して中距離の800m走をやっていたのですが、ランニングとの関わりといえばそのくらい。大学では公認会計士の資格を目指していたこともあり、いっさいスポーツはしませんでした。社会人になって日本の離島への旅にハマり、小笠原諸島や屋久島などによく足を伸ばしていたのですが、ある日伊豆大島へ行ったときに、島を一周するウルトラマラソンというのがあることをたまたま知ったんです。直感的に面白そうと感じ、そのノリで申し込んで、島1周100kmに向けてのトレーニングで走り始めました」。

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右がその伊豆大島ウルトラマラソンの完走メダル。左はサンフランシスコでの大会に参加したときのもの。

ウルトラマラソンとはフルマラソン42.195kmよりも長い距離のマラソンを指す。しっかり練習して臨んだつもりだったけれど、未知の距離はもう果てしなく、レース中はめちゃくちゃしんどかった。ゴールするころには全身が痙攣するボロボロの状態だったけれど、ものすごい達成感が湧き上がり、ゴールでは思わず泣いてしまったそうだ。以降、ウルトラマラソンやトライアスロン、トレイルランニングなど、距離の長いエンデュランス系アクティビティにハマっていった。

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走ることの目的がアップデートされてきた

「走り始めた当初は、走れる距離が伸びること、タイムなどで成長を感じられることや、ラン仲間としていろいろな業界の人脈が広がることが楽しくて、のめりこんでいきました。一番走っていたのはスポーツメーカー系企業のメンバーだったころでしょうか。仕事もスポーツも全力でした。でもここ最近はちょっとしたスタンスの変化を感じています。結婚、転職、子供の誕生とライフスタイルの変化があってレースに参加する割合は減ってきた一方で、仕事では重責を担い、ストレスがのしかかることも多くなりました。そうしたときに走ることは脳のリフレッシュ、気持ちの切り替えになっているんです」。

反対に走っていないとき、つまり走れる時間を取れないときは、脳がクリアになっていないような気がしてどうにも調子が出ないそう。

「それに気付いてからは、疲労を感じているときこそ少しでも走れるように心がけています。走れているときのほうが仕事も調子がいいんですよ。今の自分にとってのランニングは、始めたばかりの頃のような競技性は薄くなりました。むしろ日々の身体・メンタルのバランスをとるための欠かせないものといった感じになっています。もっとも、競技的な結果を出すためのトレーニング時間が捻出しにくいという面もありますけど」。

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仕事では社運を賭けた一大プロジェクトを任されており、残業も多い。

「平日は家族と一緒に過ごすことが難しいので、その分、週末は家族との時間の比率が増ました。遠くに走りに行ったり、各地の大会に出たりといった機会は減っています。限られた時間の中で走らなければならず、バランスを取ることの難しさを最近感じています」。

お気に入りのランニング時間は明け方。自宅付近の代々木上原や中目黒あたりは坂道が多いため、その起伏を交えたコースを走る。仕事に向かう前の良いルーティンになっている。

休日は夕方にふらっと走り始め、近所のアイリッシュパブやバーでクラフトビールを軽く飲んで帰ることも。

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ここ数年は、家族や仲間と旅したくなるような場所のレースを目標に据えている。

「ランニング時には、『ポッドキャスト』や最近ではボイスメディアの『ボイシー』で興味を惹かれるテーマを聞きながら走ることが多いです。イヤフォンを持たずに走るときは、仕事のことを考えます。従業員のこと、中長期的な組織ビジョンのこと、翌週すべきアクションのこと、将来のキャリア……。普段オフィスにいるときにはゆっくり時間を設けて考える時間を持てないことが多いですし、職場空間を離れたほうが、課題や問題点を客観的に把握できる気がします」。

ランニングをしないとほかのことにも調子が出ない。走ることで頭のなかに考えるためのスペースが確保され、ビジネスにおいても前向きな解決策が思い浮かぶ。こういった声は、欧米のスタートアップ企業のメンバーからもよく聞かれることだ。

「だからこそ、ランニングは日常のなかにもっと取り入れていきたいですね」。

後編では、ときには通勤ランも行うという横山さんの愛用ギアを紹介する。

RUNNER’S FILE 04
氏名:横山和哉
年齢:33歳(1986年生まれ)
仕事:株式会社リアルゲイト 取締役 管理本部長(公認会計士)
走る頻度:週3日、30分~1時間程度
記録:フルマラソン3時間2分(2018年東京マラソン)、UTMF・アイアンマントライアスロン完走など

小澤達也=写真 礒村真介(100miler)=取材・文

# Running Up-Date# ランニング# リアルゲイト# 横山和哉
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