Camp Gear Note Vol.27
2020.01.19
LEISURE

500mlの水が最速100秒で沸く!「ジェットボイル」の驚きの“沸騰力”

連載「Camp Gear Note」
90年代以上のブームといわれているアウトドア。次々に新しいギアも生まれ、ファンには堪らない状況になっている。でも、そんなギアに関してどれほど知っているだろうか? 人気ブランドの個性と歴史、看板モデルの扱い方まで、徹底的に掘り下げる。

ジェットボイル

キャンプに必要な道具は数あれど、なかでも料理を作ったり、お湯を沸かすための「バーナー」は最重要ギアのひとつ。

市場には多種多様なバーナーが溢れているが、何を基準に選べばいいのか、まったく検討のつかない方も多いだろう。

そこで今回は、「JETBOIL(ジェットボイル)」という名前だけでも覚えて帰っていただきたい。

ジェットボイル

500mlの水が最速100秒で沸く!

ジェットボイルとは、バーナーとクッカー(熱源と鍋)が一体になった特殊な形状の調理器具の名称である。得意技は湯沸しで、500mlの水をわずか100秒ほどで沸かすことができる。つまり、これさえあれば、キャンプの朝に目覚めて2分後には、熱々のコーヒーが飲めてしまうってこと。試しに自宅のヤカンや電気ポットで、同量の水が沸くまでにかかる時間を測ってみてほしい。この数字がいかに驚異的かわかるはずだ。

ジェットボイル
お湯が沸くまでは、本当にあっという間。このスピードには本当に驚かされるはず。
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小さなガレージでの発明が、一気に世界的なブランドへ

この革新的な発明のアイデアは、2001年、アメリカ北西部に位置するニューハンプシャー州で生まれた。キャンプやバックパッキング好きのふたりの創業者が、より効率的で軽量コンパクトなクッキングギアを自作し、商品化しようと思い立ったことに端を発している。

それぞれ名門大学でコンピューター科学、機械工学を学んだ技術者だったふたりは、家族や友人から資金をかき集め、自宅ガレージを改造した小さな研究室とフィールドでテストを繰り返しながら、開発に心血を注いだ。ようやくプロトタイプが形になったのは2003年。着手し始めてから、2年もの歳月がかかった。

ジェットボイル
[写真右]が現行モデル。創業者の2人が持つ初期モデルの段階で完成された形だったことがうかがえる。

このアイデアが世の中に認められるのは、あっという間だった。プロトタイプを手に、2003年の春からアメリカ各地のアウトドア見本市を回り始めると、倉庫に机を3つ並べただけの彼らのオフィスに置かれたファックスは、休むことなく注文を受け続けた。そして、秋になる頃には、世界中から2万台ものオーダーが集まったのである。

それだけ、ジェットボイルの画期的なアイデアは、世界中のアウトドア愛好家が待ち望んでいたものだった。しかし、その段階では、まだ生産ラインも製品のディテールさえも確定していなかったそうだ。

ジェットボイル
現在は、アメリカ、日本のみならず、世界中で愛用される大ヒット商品に成長を遂げた。
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小さな火力が最大限の仕事をする

では、ジェットボイルと従来のバーナーの決定的な違いとは何か。

まず最大の違いは、カップ(鍋)の底面に設けられた蛇腹状のリング「フラックスリング」だろう。このパーツが熱を受ける表面積を飛躍的に拡大し、炎の余計な拡散を防ぐことで高い熱効率を実現している。

ジェットボイル
ラジエーターのような構造を想像してもらうとわかりやすいかも。

火力の強さを表す数値(バーナーの最大出力値)自体は、他社の製品と比較しても決して高くはない。しかし、熱効率が抜群に高いため、小さな火力でも驚異的なスピードでお湯が沸かせる。そのため、ガスの消費量は一般的なバーナーの約1/2と低燃費。非常に経済的であり、荷物の軽量化にも繋がる。

ジェットボイル
一般的なバーナーが周りの空気まで熱が拡散してしまっているのに対し、ジェットボイルは効率よく熱をクッカーに伝えている。

一体型構造のもたらすメリット

バーナーとクッカーが一体型の構造になっていることも、アウトドアでは大きなメリットとなる。熱源とクッカーとの隙間が最小限なので、屋外での調理や湯沸かしの大敵となる寒さや風の影響を受けづらいのだ。不整地や雪上では、専用のハンギングキットを使えば、木の枝などに吊り下げて使用することもできる。

ジェットボイル
燃料も含めて、必要なパーツはすべて左のカップ内に収納することができるコンパクト設計。

また、持ち歩きの際にはすべてのセットパーツがカップ内に収まる設計を採用。非常にコンパクトに荷物をまとめることができる。

カップにはクロロプレン製のカバーが巻かれており、お湯が冷めづらく、そのまま持っても火傷の心配がないなど、細部にまでアウトドアフレンドリーなギミックが詰め込まれている。

ジェットボイル
カバーの右に見えるイグナイターがオレンジ色になったら、お湯が沸いたサイン。
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百聞は一使用にしかず

ちなみに、日本での流通は2005年にスタートしている。

日本でガス機器を販売するためには、「日本ガス機器検査協会」が行う厳しい検査(通称ガス検)をクリアしなければならない。チェックは多岐に渡るうえ、1台1台すべての製品に行われる。そのため、ジェットボイル製品が日本で流通するまでには、輸入したパーツを1つずつ手作業で組み立て、厳しい検査をクリアし、やっと出荷されるという大変な手間を経ている。

ジェットボイル
点火スイッチのテスト(1万2000回も!)など、気の遠くなるようなテストを経て、ようやく店頭へと送られていく。

そのような過程を経て私たちの手元に届けられる製品なので、もちろん道具としての信頼度は抜群に高い。世界中の僻地や高所へと挑む冒険家たちに愛用されているのが、なによりの実力の証明だろう。

しかし、ジェットボイルの本当の実力は、ここでいくら書き連ねても伝わりづらい。コーヒーを淹れるときだけでなく、お皿の油汚れを流したり、雪山では飲み水を作ったりと、アウトドアで重宝する場面は数知れず。この発明品の驚くべき実力は、ぜひフィールドで体験することで確認していただきたい。

※ジェットボイルを使用する際には、必ず専用のガス燃料「ジェットパワー」をご使用ください。

ジェットボイル

[問い合わせ]
モンベル・カスタマー・サービス
0088-22-0031(フリーコール ※携帯電話、IP電話などから利用不可)
06-6536-5740
www.jetboil.jp

池田 圭=取材・文 宇佐美博之=写真

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