小さなガレージでの発明が、一気に世界的なブランドへ
この革新的な発明のアイデアは、2001年、アメリカ北西部に位置するニューハンプシャー州で生まれた。キャンプやバックパッキング好きのふたりの創業者が、より効率的で軽量コンパクトなクッキングギアを自作し、商品化しようと思い立ったことに端を発している。
それぞれ名門大学でコンピューター科学、機械工学を学んだ技術者だったふたりは、家族や友人から資金をかき集め、自宅ガレージを改造した小さな研究室とフィールドでテストを繰り返しながら、開発に心血を注いだ。ようやくプロトタイプが形になったのは2003年。着手し始めてから、2年もの歳月がかかった。
このアイデアが世の中に認められるのは、あっという間だった。プロトタイプを手に、2003年の春からアメリカ各地のアウトドア見本市を回り始めると、倉庫に机を3つ並べただけの彼らのオフィスに置かれたファックスは、休むことなく注文を受け続けた。そして、秋になる頃には、世界中から2万台ものオーダーが集まったのである。
それだけ、ジェットボイルの画期的なアイデアは、世界中のアウトドア愛好家が待ち望んでいたものだった。しかし、その段階では、まだ生産ラインも製品のディテールさえも確定していなかったそうだ。
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