Running Up-date Vol.3
2020.01.06
LEISURE

トレイル&ランニングショップ店主による“ランニング復帰プロジェクト”とは?

連載「Running Up-Date」
ランニングブームもひと昔まえ。体づくりのためと漫然と続けているランニングをアップデートすべく、ワンランク上のスタイルを持つ “人”と“モノ”をご紹介。街ランからロードレース、トレイルランまで、走ることは日常でできる冒険だ。

   桑原 慶

桑原 慶さんのショップ Run boys! Run girls! は、東京・馬喰町のとある雑居ビルの4階にある。このビルは北欧ヴィンテージの家具店やアートギャラリー、ミナ・ペルホネンのライフスタイルショップなどが入居する、知る人ぞ知るホットなスポットだ。

その周囲にも古くからあるビルをリノベーションした建物が並び、クラフトビールバーや旅行者の集うモダンなホステルが密集し、独自のカルチャーが生まれている。

この馬喰町界隈にいち早くショップを構え、馬喰町ムーブメントの一翼を担ってきたのが桑原さんの店だ。トレイルラン色が強いことでも知られ、ランニングのギアだけでなくカルチャーを発信する場として、さまざまな業界のランナーから注目を集めている。

桑原 慶

東京にもかっこいいランニングショップを作りたかった

「以前はフットサルや飲食関係のビジネスをしていたのですが、それがひと段落したころにランニングと出会い、一気にのめり込みました。きっかけはダイエットのため。自分ひとりで、好きなときに始められる気軽なアクティビティですよね。でも、続けていくうちに周りの人とのつながりが楽しさにつながっていると気が付いて」。

桑原さんが走り始めた10年前は、世の中でちょうどSNSが盛り上がり始めていたころ。

「ランニングアプリを使うと、今日は何km走ったとかいうのがアップされて、それに対して友人から『ナイスラン!』とか反応があります。そうするとモチベーションもアップしますよね。走ることは個人競技だけど、実はソーシャルな側面のあるスポーツだなと感じました。走ることで友達や仲間が増えていく。人生が豊かでより良くなっていく。

トレイルランニングもこうした仲間内のつながりで知り、挑戦してみました。ロードよりもタフな側面がありますから、なおさらこの結びつきが強い気がします。で、コミュニケーションの場になるかっこいいショップが東京にもあるといいなと思い、ショップをオープンさせました」。

桑原 慶

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ただ集まって楽しく走るだけ!? グループランを知っているか

「ショップではとにかくコミュニケーションを大切にしています。初心者でも上級者でも、ランナーでもトレイルランナーでも、まずはその人が何をしたいのか、どんなフィールドに行きたいかを聞いて、それに合うギアをおすすめするようにしています。それからモノを売るだけが仕事だとは考えていなくって、さまざまな機会を提供する場でありたいとも思っています」。

そのひとつが、もう5年以上も続けている「火曜の夜のグループラン」「TOKYO RUNNING CRUISE」だ。仕事帰りにショップへと集ってただ1時間強走るだけのイベントで、料金も事前予約も要らないため、「寄り合いジョギング」のようなイメージが近いかもしれない。

桑原 慶

「ショップをオープンするにあたってお手本にした場のひとつがアメリカのランニングショップで、かの地のショップではこういったグループランが盛んに行われているんです。それっていいよな、と」。

今では日本各地の個性的なランニングショップや、はたまた面白いところではビアバーや宿泊施設がグループランイベントを企画している。その先鞭をつけたのは、間違いなくRun boys! Run girls!なのだ。

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オンラインでのコーチングだからこそ、腑に落ちる

公私ともにランニングへとのめり込み、トレイルランニングにおいては2015年に世界最高峰の大会とされる『UTMB』(フランス、イタリア、スイスの3カ国を舞台に、モンブラン山塊を170km周遊するウルトラトレイルレース)を見事完走。けれどもその後、プライベートでは子育てが始まり、さらには病気に悩まされたこともあって、走るに走れない時期も経験してきたのだそう。

「繰り返しになりますが、ランニングのいいところは自分のペース、タイミングでできるところ。必ずしも速く走らなくていいんです。でも逆に、タイムや順位を目指すことが楽しみさやモチベーションになることもあります。1年ほどまえからぼちぼち復帰を考えたのですが、自分がいちばん走れてたときにくらべるとまず体が重い。そこで聖蹟桜ヶ丘にあるパーソナルトレーニング兼治療院のTREATにオンラインコーチングをお願いして、継続して取り組んでいる最中なんです」。

桑原 慶

東京マラソン以降のマラソンブームが定着した今、ランニングを休止しているという人も少なくないはず。専門ショップの店主である桑原さんの復帰へのアプローチと聞けば、大いに興味がそそられるというもの。

「オンラインコーチングのいいところは、プロの手で適切な目標を立ててもらえて、その目標に向かっての効果測定もしてもらえるところ。そこで使うのがパワーメーターというツールです。例えばスポーツジムでトレーナーにみてもらったとしても、フィードバックがその場その場の主観的な判断になりがちですよね。オンラインでは直接対面でいないからこそ、客観的に計測された指標がないとコーチングになりません」。

桑原 慶
シューレースに装着しているのが、ランニング用パワーメーター。「STRYD」の第一世代モデル。2万8000円ほど。

「僕はシューズに装着するフッドポッドと呼ばれるタイプのパワーメーターを使っています。ランニングのペース(速度)がわかるだけでなく、そのときの出力や一歩ごとの接地時間、フォームのブレなど、さまざまなデータが測定できます。これに心拍数のデータを加えてオンラインで共有すると、コーチからは『今回のプログラムにおいてこの数値が出たということは、アレができているはずだね、ココがいいね』と、客観的なデータに基づいたアドバイスが受けられます」。

つまり、効果的かつ合理的なトレーニングができるということ。数値化されているためランナーとしてもアドバイスに納得のいく根拠があり、腑に落ちるので、安心してトレーニングに取り組めるのだ。

「オンラインコーチングやパワーメーターといった楽しみ方もありますが、それ以前に走ることは単純に気持ちがいい。ランニングならではの爽快感がそもそもの魅力なんです」。

あとはライフスタイルに密接に関わってシームレスに楽しめるところもいい、と語る桑原さん。それは自身のギア選びにもよく現れている。後編に続く。

RUNNER’S FILE 02
氏名:桑原 慶
年齢:44歳(1975年生まれ)
仕事:トレイル&ランニングショップ Run boys! Run girls! 店主
走る頻度:週に1、2回。週に一度は
ランニング歴:10年
記録:フルマラソン3:35(2012年 掛川新茶マラソン)、UTMBはじめ100マイルトレイルレース完走(3回)

礒村真介(100miler)=取材・文 小澤達也=写真

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