OCEANS

SHARE

2019.09.28

あそぶ

平山祐介が憧れるナイスガイなバットマン、クリスチャン・ベールの魅力

俳優として映画やドラマでも大活躍のモデル・平山祐介さん。読書好きで知られる彼だが、映画鑑賞も古くからの趣味のひとつ。今回は祐介さんに「家で気楽に観られる」をコンセプトに、NETFLIXからオススメ映画を選んでもらった。
ボーカルレッスンに通っていた過去やヒップホップを愛聴する一面など、映画を通じてプライベートな素顔も惜しみなく見せてくれる平山祐介さん。
今回は、役者として尊敬し、その出演作は最優先でチェックするという、祐介さん憧れの俳優、クリスチャン・ベールについて存分に語ってもらった。

──祐介さんは、「この人が出てる映画は見てしまう」と思わせる外国の俳優はいますか?
平山 クリスチャン・ベールですね。彼が出ている映画は面白いだろうなって、ひとつの指標にはなってます。
──ほうほう。『バットマン・ビギンズ』や『ダークナイト』の主演俳優ですよね。
平山 そう。バットマンはシリーズを通して全部面白いんだけど、『ダークナイト』がダントツかな。一番好きです。むちゃくちゃ面白かった。
僕はアメコミ好きで、ヒーローものが好きです。ヒーローものと言ってもいろいろとありますが、『ダークナイト』のバットマンを見たときに、初めて「ヒーローって本当にいるのかも……」って思ったんですよ。あれはニューヨークをモチーフにしたゴッサムシティが舞台だから、ニューヨークに本当にいるのかもなって。それってすごくないですか?
──それは確かにすごいですね。何がそう思わせたのでしょう。
平山 それは多分、バットマンがクリスチャン・ベールだったからだと僕は思ってます。ヒーローものがヒーローものじゃなくなるほどのリアリティ、って言ったら変だけど。
──クリスチャン・ベールという俳優にそれだけの説得力があったというわけですね。
平山 彼は『ザ・ファイター』という映画にも出ていて、主人公ボクサーの兄役をやったんですよ。それがバットマンを演っていたとは思えないほど、くたびれたダメなオッサンに見えて、何から何まで違うまったくの別人でした。
エンドロールで、モデルになった実際の兄の映像が流れるんですが、それが作品中のベールに、見た目から喋り方、仕草まで驚くほどそっくりだったんですよ。つまり、彼の役作りのすごさですよね。あれだけの役作りができる人がバットマンをやってるから、本当に存在するんじゃない? って思えたんだと思います。

──ただの売れてる人気俳優じゃない凄みを感じますね。
平山 彼は2004年の『マシニスト』というサスペンス映画に主演しています。不眠症役なので、身体はガリガリ。身長は180センチ以上あるのに、体重は55キロ。観る人の不安を煽るような痩せ方でした。
それで、次に撮ったのが『バットマン・ビギンズ』だったんですよ。ベールはたった半年間で86キロに増やしています。ただ体重を増やすだけじゃなくて、バットマンを演じるために肉体改造をした。時間とお金があれば身体はどうにだって改造できますが、たった半年でそれを成し遂げる精神力は本当にすごい。
──バットマンっていうとジョーカー役のヒース・レジャーのほうがどちらかと言うと話題になりましたが、今の話を聞くとクリスチャン・ベールのバットマンをもう一度観たくなりますね。
平山 確かに当時はヒース・レジャーがすごくもてはやされていましたよね。でも、バットマンに完璧になりきったベールがいたからこそ、ジョーカーの、あのどうしようもない奇人のキャラクターが成立したと僕は思います。
──なるほど、その見方は新鮮ですね。
平山 ヒース・レジャーだけだったら、やっぱりあの世界はファンタジーだし、フィクションからは抜け出せない。決して奇抜な存在ではないクリスチャン・ベールのバットマンがどっしりと構えていたから、この映画が成り立っているんですよ。
ダークナイト(2008)
監督|クリストファー・ノーラン 主演|クリスチャン・ベール。DCコミックスが出版するアメコミ『バットマン』を原作にした実写映画作品。バットマンシリーズとしては6作目で、『バットマン・ビギンズ』の続編となる。クリスチャン・ベール演じるバットマン=ブルース・ウェインは地元の警部補や検事とともに、史上最悪の犯罪者ジョーカーからゴッサム・シティを守るため戦うが……。
──ほかに好きなヒーローものの映画ってありますか?
平山 アイアンマンのロバート・ダウニー・Jr.も印象に残ってますね。いかにもどこかにいそうなアメリカ人の嫌なやつ(笑)。
普段はスーツを颯爽と着こなしているのに、アイアンマンになるとあの鉄のスーツを着てがむしゃらに戦う。衣装って作品にとって大切な演出のひとつですよね。僕は、モデルの仕事をさせてもらってるので、どうしても俳優のスーツの着こなしとかに目がいっちゃいます。日本では時に、その点がおざなりにされてる印象があるかな。
──役と衣装がマッチしてないということですか?
平山 マッチしていないというより、スーツの持つ良さを表現できてないのかもしれませんね。生活にすっかり定着しているように思えても、やっぱり洋服は西洋の文化だから。時代劇ではちゃんと和服を着こなそうと工夫していますが、スーツは和装に比べて、意識が少し薄い気がするんですよね、あるいは逆に油断してるのかも。
──映画の現場では、スタイリストが衣装を決めることは少ないんですか。
平山 スタイリストさんと衣裳さん、それぞれに求められるものが若干違うから何とも言えないかな。主役の方だけにスタイリストさんが付いて、ほかの俳優陣は衣裳さんが担当するってこともよくありますよ。
スーツをカッコ良く着こなす意味、カッコ良く着こなさない意味みたいなことを重要視するのは、比較的ファッションに強いスタイリストさんかもね。“カッコ良く着こなさない意味”っていうのは、あえてくたびれた感じを出すことで疲労感を表現したり、パンツの折り目がなくなっていることでその人の組織での立場を表したり、っていうことですね。
──なるほど。確かにその意識は、観る側も弱いかもしれないですね……。
平山 そういった意識は着る側、つまり役者側にも当然求められるべきで、そのあたり、自分はサラリーマン経験が少しは活きてるのかなと(笑)。
ドラマや映画の世界では、「あの俳優はバチッとスーツを着こなせるからキャスティングしよう」とはなかなかならないと思う。もちろん、しっかりとした演技力が必要不可欠なのは当たり前だけど、もっと衣裳にこだわってキャスティングされる作品があってもいいんじゃないかな。僕は着こなす自信はありますよ。お声が掛かるよう頑張ります(笑)。
 
衣装の着こなしをいかに役作りに活かすか、モデルならではの着眼点はさすがのひと言。次回は祐介さんが涙なしには観られなかった3本をご紹介!
 
清水健吾=撮影 勝間亮平=ヘアメイク ぎぎまき=文


SHARE

次の記事を読み込んでいます。