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2021.04.05

からだ

「カフェインは眠りを妨げる」はずなのに、ネスレが睡眠カフェを開くワケ

「寝てもすっきりしない」「睡眠時間は足りているはずなのに、昼間眠い」。睡眠に関する悩みを抱えている人は意外と多い。
そんな人々に救いの手を差し伸べる「睡眠カフェ」が3月、全面リニューアルをして大井町から原宿へと移転してきた。
手掛けるのはコーヒーでお馴染み、あの「ネスカフェ」を扱うネスレだ。カフェインを摂取したら余計眠れなくなりそうなのに、どういうことなのか。早速、出かけてみた。

原宿駅から歩くこと5分ほどにある「ネスカフェ 原宿」は2階が通常のカフェ、3階が睡眠カフェになっている。ネスカフェの広報を担当するネスレの小川直子さんが質問に答えてくれた。
 
──カフェインを摂ったら目が覚めますよね? なぜ相反するカフェを開いたのですか?
確かにカフェインを摂るとシャキッとします。だから「夜、寝る前のコーヒー」はおすすめしておりません。
ところが仮眠になると話は変わります。圧倒的に睡眠時間が足りない現代人にとって、15分程度の仮眠はとても有効だと言われています。この仮眠で取り入れてほしいのが「コーヒーナップ」です。
──コーヒーナップとは?
カフェイン入りのコーヒーと昼寝を組み合わせたものです。
カフェインは摂取後30分程度で吸収され、その後カフェインの働きが現れ始めます。つまり、15~20分程度の短い仮眠の前にカフェインを含むコーヒーを飲んでおくと、ちょうど起きる頃にカフェインでシャキッとし、その後のパフォーマンスに役立つと言われています。
睡眠カフェでは、リクライニングチェアやソファのある4つの半個室でくつろいでいただけますが、30分(825円)からの利用料金にはコーヒーも含まれています。ぜひ多くの方に、コーヒーナップについて学んでいただきたいですね。
こちらはソファのある半個室だ。座るも良し、寝そべるのも良し。
──ということは、やっぱり夜はコーヒーを飲まないほうがいいんですね?
カフェインレスコーヒーという手があります。
──うーん、カフェインレスは薄くて美味しくないイメージが。
昔のカフェインレスはそう言われていました。ただ、最近はコーヒー豆の質や抽出方法を変えることで、通常のコーヒーと飲み比べても分からないくらい美味しくなっています。
だから、以前は妊産婦の方などのニーズが多かったのですが、最近は一般の方でもカフェインレスを飲まれる方が増えています。

──なるほど。飲み分けるということですね。ところで以前は大井町にあったそうですが、睡眠カフェの評判はどうでしたか?
「ゆっくり休めた」と毎週末お越しになるようなリピーターの方もいらっしゃって。大井町というとビジネス街のイメージが強いかと思いますが、学生から主婦の方までいろんな方にご活用いただいていました。
──じゃあなぜ原宿に移転したのでしょう?
ひとつには睡眠の質に着目した料理を食べていただきたかったからです。眠気の研究の第一人者である広島大学の林光緒教授にアドバイスをいただき、メニュー開発をしました。
良質な睡眠に大切だといわれるホルモン、メラトニンの原料となるアミノ酸の一種「トリプトファン」を含む食事を2品、柑橘の香りと酸味でシャキッと目覚めさせるデザート1品がラインナップしています。
お食事は2階のカフェのみでお出ししていますが、デザートは3階の睡眠カフェでもお召し上がりいただけます。
スパイシーな海老がゴロゴロ入ったサラダ(1080円)。海老にはトリプトファンが多く含まれている。
──なるほど、睡眠の質も料理と関係するんですね。
そうです。もうひとつは大井町は仮眠スペースのようなお店だったのですが、家に帰ってからも良質な睡眠を取っていただけるよう学びの場にもしたかったんです。
睡眠に関する書籍を読んだり、最新のスリープテックを体験いただくこともできます
──スリープテックとはなんでしょう。
ITなどのテクノロジーで睡眠状態を知ることができるものです。例えば振動を発することで自然に寝返りを促すベルトや、脳波を計測して、睡眠が深くなったところで徐波を流すヘッドギアなどがありますので、ぜひ試しに来てください。
こちらは、フィリップス・ジャパンが展開する光目覚まし時計「SmartSleep ウェイクアップ ライト」。アラームを設定しておくと、朝日のように緩やかに部屋を照らしながら、自然な目覚めへと導いてくれる。もちろん体験も可能だ。


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