2020.09.16
HEALTH

ビールで喉が潤う? いえ、乾きます。“酒飲み管理栄養士”に聞く正しい飲み方

「カラダのメンテナン酒」とは……

涼しくなってきたとは言え、まだ少し身体を動かせば随分と汗ばむ季節。乾きが喉を支配しているときに流し込むビールは格別だ。

五臓六腑にシュワシュワと染み渡り、身も心も潤っていく。この至極の一杯を楽しみたいがために、あえて小一時間前から水分補給を控える戦略家もいる。喉の乾きをMAXまで高めてから、キンキンに冷えたビールを迎えるのだ。ふふ、策士よのう。

「ちょっと待った! ビールは飲めば飲むほどカラダを枯らします!」。

そう警鐘を鳴らすのは、自らを“酒飲み管理栄養士”と語る、高杉保美さん。彼女によると、乾いたカラダにビールは危険&太る原因になるとのこと。ちょ待てよ! どういうこと!?

話を聞いたのは……

高杉保美●無類の酒好き管理栄養士。業界最大手プライべートジムにて2000人以上に栄養指導。重力に負けないカラダ・下がらないカラダづくりを食事から徹底的にサポート。著書に『やセレクション 〜これを選んで食べたら、15kgやせました〜』(主婦の友社)。Instagram(@homi1112)。
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「その飲み方では喉が乾き、カラダは肥えます」

「乾いたカラダをビールで潤す、この発想は危険です」と話す高杉さん。彼女が担当指導する方のなかにも酒好きは多いそうだが、酒を飲むときには必ず、飲んだ量と同じだけの水を摂るようアドバイスしているという。というのも……

「体内でアルコールを分解するには水分が必要です。特にビールには利尿作用がありますから、飲めば飲むほどカラダの水分量は減り、脱水状態になっていきます。しかも夏場はただでさえ汗をかきますから、より危険。脱水状態は翌日のむくみにも繋がり、むくみが続くと脂肪が付きやすいカラダになってしまいます」。

とても重要な指摘である。要はビールで五臓六腑を潤しているつもりが、実が逆。喉は乾き、カラダは枯れていく。そして、むくみは体内の余分な水分や老廃物がその場所に溜まっている状態を指す。放置すると、やがては脂肪細胞に吸収され、脂肪に変わる、そんな厄介なキャラなのだ。

でも、水分の摂り過ぎがむくみの原因って聞いたことがある気がするけど?

「皆さんよく勘違いされるんですが、その逆なんです。体内の水分が不足しているから、さらにカラダが水分を溜め込もうとして、むくむんです。むくみを気にして水分摂取を控える人もいますが、逆効果。痩せやすいカラダにするには水分は必須! お酒を飲むときには、追いかけるようにして水を飲んでください」。

酒を飲めば飲むほどカラダは枯れ、あまつさえ太りやすい体質にしてしまうだなんて……聞いてるだけで水が飲みたくなってきた。

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水は〆のラーメン対策にも有効! そのメカニズムは

「しかも、たくさん水を飲むことは、飲んだ後の大敵“〆のラーメン”の回避にも繋がるんです」と高杉さんは言う。

暖簾の奥から聞こえてくる、あの天使のような悪魔の声に打ち克てるって? 水を飲むことで……?

「吸収したアルコールを分解するためにたくさんの糖を使用するので、カラダは一時的に低血糖になります。失った糖を求めるから強い空腹感が出やすくなり、〆にラーメンやお茶漬けが食べたくなってしまうわけです」。

なるほど、そんなメカニズムがあったとは。

「でも、水分をたくさん摂れば、血中アルコール濃度の上昇を抑え、分解する際のカラダへの負担も減らせる。結果、糖を欲する欲も減り、一時的な食欲もコントロールしやすくなります」。

満腹なはずなのに、なぜか入ってしまう〆の炭水化物。それは我々が食いしん坊だからではなく、失われた糖が引き起こす“錯覚”だったのだ。

ただし、錯覚とは言え、あの誘惑の手強さに変わりなし。しかも酔っ払っていると意思も弱くなりがち。酒といい関係を続けるためにも、しっかり酒席の水分補給を習慣付けよう。

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[番外編]高杉さんが毎晩酒を飲みながら15kgも痩せた方法

おかげさまで「酒と水はセットで」という鉄則は頭に入ったが、実は高杉さん、かつて酒を飲みながら15kgのダイエットに成功した経験があるという。せっかくの機会なので、ぜひコツを伝授していただこう。

「焼酎、ウイスキー、ジン、ウォッカなどの蒸留酒はダイエット中に飲んでもOKなお酒です。当然、割りものに甘いジュースは厳禁ですが、炭酸や水のほか、お茶をオススメしています。特に、烏龍茶はポリフェノールが脂質吸収を抑えるので脂っこい食事のときにはウーロンハイがピッタリですね」。

必ずしも「糖質オフ=ダイエット」ではないが、ストイックに短期で痩せるには、やはり糖質を含まない蒸留酒がベターらしい。

「ちなみに私は生搾りレモンサワー推しです! 焼酎のソーダ割にレモンを絞るシンプルなものです。飲み過ぎると肌荒れが起きるという相談も多いんですが、アルコールを摂取するとビタミンB群やビタミンCが不足してしまうことが原因なんですよね。生搾りレモンサワーなら飲みながらビタミンCを補給できますし、なにより美味しい(笑)」。

そして、重要なのが“ツマミ問題”だが、高杉さんは「“痩せホルモン”を出すおつまみを食べればいいんですよ!」と言う。痩せホルモンとは、もちろんミノやハツ、シマチョウ、ハチノスなどのことではない。

「アディポネクチンという脂肪細胞から分泌される善玉ホルモンの一種が“痩せホルモン”と呼ばれていて、要は脂肪燃焼を促してくれるんです。大豆食品のほか、アジやイワシ、サバ、サンマなど青魚に多く含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)に、このアディポネクチンを増やす働きがあるので、積極的につまんで、痩せホルモンをバンバン出していきましょう!」。

サバ缶ダイエットが流行ったが、そういう意味もあったのね。ちなみに、ナッツ類のクルミに含まれるオメガ3脂肪酸にも痩せホルモンを出す効果があるそうなので、飲みながら意識的に摂るといいそうだ。

ダイエット中の酒との付き合い方についてさらに詳しく知りたい方は、高杉さんの著書をチェック。

巷では、すでに秋限定ビールが並び始めている。今年はサンマが不漁だそうだが、サバもまもなくシーズンも迎える。追っかけ水を武器に、カラダを思いやりながら実りの秋を堪能しようではないか。

 

「カラダのメンテナン酒」とは……
気持ちイイ酔いに身を委ねる。やはり酒は人生を豊かにしてくれる……なんて思いつつ、頭の片隅にいつもチラつく「健康」の2文字。心もカラダも潤す、正しい“メンテナン酒”論。上に戻る

七瀬あい=取材・文

# むくみ# # 高杉保美
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