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2020.08.29

からだ

ラジオ体操第1と第2は目的が違う! プロも実践する準備運動としての高い効果

ラジオ体操2.0
「ラジオ体操2.0」とは……
前回までは、フィジカルトレーナーである新田幸一さんによって、時短&高効率エクササイズにバージョンアップしてもらったラジオ体操第1のエクササイズを紹介してきたが、今回からラジオ体操第2へ。
第1よりもダイナミックな動きが多く、運動不足解消にぴったりだという第2。まずは、「全身をゆする運動」と「腕と脚を曲げ伸ばす運動」から。
【教えてくれる人】新田幸一さん
高地トレーニングを街中で体験できるスタジオ「ハイアルチ」の開発者であり、プロデューサー。長年のトップアスリートたちへの指導経験を活かし、高地トレーニングの効果を最大限に引き上げるメニューを構築。現在は、浦和レッズの槙野智章選手をはじめとしたトップアスリートのほか、大学駅伝の選手たちのトレーナーも務めている。

体をゆするだけで緊張から解放される

-ラジオ体操第2をバージョンアップする前に、ラジオ体操第1との違いを教えてください。
新田 : 動的ストレッチの要素が強いという点です。第1は静的ストレッチがメインでしたから。
-静的と動的、言葉の違いで何となく想像はつきますけど……。
新田 : 静的ストレッチとは、ゆっくり静かに体を動かして筋肉を伸ばす動きがメインとなります。動的ストレッチは、体を大きく動かしながら筋肉を伸ばしていくものです。このふたつは目的が微妙に違って、静的ストレッチは筋肉を伸ばすことが主目的になる一方、動的ストレッチは伸ばすだけではなく、筋肉の温度を上げたり、心拍数を上げることも目的となります。
-動的ストレッチのほうがお得感がありますね。
新田 : どちらにも良さはあるんですよ。シチュエーションに合わせて行うことで適正な効果が得られるということです。
-例えばどんなことでしょう?
新田 : 静的ストレッチは体への負担が高くないぶん、リラックス効果が高いです。ですから、例えば就寝前なんかに行うと睡眠の質が高まります。また、テレビを見ながらとか、“ながら運動”がしやすいのも利点かな。
一方の動的ストレッチは、運動の前後に行うのがおすすめです。動きが大きいので心拍数や筋温が上がり、運動に適応できる準備態勢を整えられるわけです。また筋肉や関節の緊張を取ることで、体の動きをスムーズにすることもできますよ。
-なるほど。じゃあたまのフットサルで「いいとこ見せよう!」と張り切ったはいいものの、体がガチガチで動きが悪い、なんて問題も解決できる?
新田 : もちろんです。そもそも体の動きと心の緊張って連動しますからね。運動するのが久しぶり、というときは少なからず緊張しているものだから、それと連動するように筋肉や関節も硬くなるんです。そこで、ラジオ体操第2の動きは体だけじゃなく、心の緊張を取る効果も高いと僕は思っています。
-緊張するとなぜ筋肉や関節が硬くなるんですか?
新田 : 原因は自律神経にあります。緊張すると体を活動的にする働きをもつ「交感神経」が活発になるんです。この交感神経って、別名「戦いの神経」なんて言われるように、体を臨戦態勢にする。すると、肩や首、膝などあらゆる関節や筋肉を緊張させて、すぐに体を動かせる状態にするんです。
-でも、勝負どころで筋肉や関節が硬くなるのは逆効果な気がします。スポーツでは特に。
新田 : おっしゃる通り、もちろん限度があって、硬すぎれば体の動きはぎこちなくなってしまいます。でも、筋肉や関節がユルすぎても、脚を踏ん張ったり、強く蹴り出したりする動きに対応できない。筋肉を硬くして関節がグラグラしないようにしないと、急激な動作に対応できないですから。


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