2020.08.15
HEALTH

「マインドフィットネス」としての瞑想術。プロが教える基本ルール10カ条

毎日続く深刻な話題に気持ちが鬱々としたり、リモートワーク続きでついイライラ……新型コロナウイルスの影響が長引くほどに、そんな人が増えているようだ。

そんな気持ちを整えるために今、「瞑想」が注目を集めている。

「なんだかスピリチュアルっぽい……」と思うのは時代遅れ。近年は、アメリカの大学などでさまざまな研究が行われ、多くのエビデンスが報告されているという。

また日本でも、7月の開業以来、何かと話題を集めている広尾の「EAT PLAY WORKS」内に瞑想ラウンジがオープンするなど、注目度はうなぎ上り。

そこで、この瞑想ラウンジ「SUWARU」で講師を務めるニーマル・ラージ・ギャワリ氏に、初心者でもわかる瞑想のイロハについて、10の質問に答えてもらった。

ニーマル・ラージ・ギャワリ●ネパール出身。9歳から本格的なヨガの研鑚を積み、15歳より王族やエスタブリッシュ階級の人々へ指導を行う。20カ国で100人以上のメディテーション講師を輩出。現代人に合わせた手法やメソッドには定評がある。

①そもそも瞑想って何?

瞑想には段階があります。よく言われる「無」の状態になることは、瞑想の熟練者が到達することができる最終段階。意識が完全に静寂に包まれ、自分の本質を見ることができる状態です。

しかし初めからその状態に到達するのはなかなかハード。まずは集中力と気づきを高めていく練習を積み重ねることが大切になります。

「無」になろうとすると、なかなかなれずにかえってフラストレーションが溜まるので、まず初めは無になろうとせず、何かに意識を集中し続ける練習をした方がかえって早く上達します。

 

②瞑想はマインドフルネスやメディテーションとは違う?

ニーマルさんによると、瞑想はマインドの“フィットネス”なのだとか。

すべて同じだと思って大丈夫です。時代や国によって呼び方や方法が違うだけで、目的は同じ。古くから色々な地域で行われていたということは、人間にとって瞑想が欠かせないものだということです。

 

③瞑想にはどんな効果がある?

瞑想のベネフィットには3つの種類があると私は考えています。

まずは「for body」。体の不調を良くするベネフィットです。リラックスすることで体の疲れが取れたり、体が柔らかくなります。また、頭痛や体の痛みが取れたり、コレステロールや血圧が下がる人もいます。

2つ目は「for mind」。脳や思考への影響です。

思考がクリアになったり、集中力がアップしたり、眠りの質が良くなる効果があります。特に集中力を養うために瞑想はとても効果的です。

そして3つ目は「for self」。これは気持ち、フィーリングです。

幸福感や喜び、満足感、静けさ、恐れがなくなったり、ピースフルなフィーリングになったり、心へのベネフィットがあります。

私は瞑想を「マインドフィットネス」だと考えています。

例えば、重いものが持てなくなったら、腕の筋トレをしますよね。そこで何もしなかったら弱いままです。

マインドも一緒です。集中力がなかったり、イライラしたり、好き嫌いや考え方が偏っていたり。そういう自分の精神における弱さが、瞑想を取り入れることで変化し、まったく違う自分に気付くことができる。

アスリートや一流企業、エリートサラリーマンがなぜ瞑想を取り入れるのか。それは、肉体や環境には限界がありますが、意識の拡大には限界がないからです。瞑想はそのための手段でもあるのです。

 

④家でもできる瞑想の方法を教えてください。

目の前に置いたものに集中したり、マントラを唱えたり、瞑想には色々なやり方がありますが、人によって向き不向きがあるものも多い。そこで、初心者の方におすすめしたいのが、呼吸に集中する方法です。

まずは楽な姿勢で座り、背筋をまっすぐにします。足は「ロータス(蓮華座)」を組めればベストですが、できない方はハーフロータスや椅子に座っても大丈夫。大事なのは背骨がまっすぐであること。背骨や腰、首が曲がっていると、良い呼吸や気が脳に届きにくくなるためです。

両方の足を腿の上に載せるのがロータス。ひとつ前の写真はハーフロータスという。

次に掌を上に向けて膝に手を乗せ、親指と人差し指で輪を作ります。

親指と人差し指で輪を作る形は「ギャンムドラ」と呼ばれる。

目を閉じて、5~6秒かけて鼻からゆっくり息を吸って、5~6秒かけて鼻から息を吐きます。自分の呼吸に意識を向けながら、2~3分集中していくと、呼吸に音があることに気付くはずです。吸うときは“ソーーー……”、吐くときは“ハーーーーン”というかすかな音です。徐々に体の緊張が取れていき、5分ほどかけて、瞑想の状態に入っていくといいでしょう。

よく瞑想の導入部分と、本格的に瞑想に入ったときの呼吸の違いを聞かれるのですが、導入部分では、自分で意識して呼吸の長さを整え調節し、意識を呼吸に結び付けていきます。一方、瞑想に入ると体に任せた自然な呼吸になります。

 

⑤瞑想中に考えごとが浮かんだら、どうしたらいいですか?

雑念が浮かぶと、みんな一生懸命、瞑想に戻ろうとするのですが、これはものすごく難しい。だって、自分で意識をコントロールできるのであれば、呼吸を整えて瞑想に入り、意識を導く必要はありませんよね。

自分で意識を動かすことができないのだから、瞑想から外れてしまったら、スタートに戻って、2~3分呼吸に集中するほうが早く、瞑想に戻ることができます

瞑想家と呼ばれる人たちは、みんなこの方法をとっています。

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⑥途中で足が痛くなったり、咳が出そうになったらどうしたらいい?

「SUWARU」での授業の様子。

我慢していると、意識がそちらに向いてしまい、瞑想の妨げになります。だから我慢する必要はありません。体が痛くなりやすい人は、無理にあぐらを組もうとせず、椅子やソファに座るなど、楽な姿勢を取れる場所を探してみましょう。ただし、④でも言ったように、背筋は伸ばすこと。痛みや咳を解消できたら、また呼吸から瞑想に戻りましょう。

 

⑦瞑想をすると眠くなってしまいます。

瞑想の効果のひとつにリラックスがあるので、眠くなるのは自然なこと。最初のうちは眠くなっても仕方ありませんし、続けていくうちに眠気を感じなくなるので、安心してください。

ただし、いつまで経っても眠くなるのであれば、それは寝不足や疲れが溜まっているのかもしれません。体と心のためにも、生活リズムを見直すといいでしょう。また食後すぐで満腹の状態で行うのも眠くなるので、避けましょう。

 

⑧瞑想はいつやるといい?

私のおすすめは朝です。

朝の瞑想は予防、夜の瞑想は治療だと考えてください。

朝は今日やることにフォーカスしたり、疲れないためにマインドを整えたり、1日を過ごす力をもらうためのもの。

夜に行う瞑想は、精神的にも肉体的にも疲れをとって、いい眠りに入ることができます。

朝は毎日瞑想をして、夜は疲れに応じて取り入れるのがいいと思います。

 

⑨何分やればいい?

肉体的な効果は2~3分、精神的な効果は20分ぐらいかかると言われていますが、時間がなければ短くても大丈夫。もちろん、もっと長く行えれば素晴らしいです。

 

⑩毎日やったほうがいい?

はい。瞑想は、食事や睡眠、入浴や歯磨きと同じだと思ってください。歯磨きしない日はありませんよね? 寝ないと力を取り戻せないですよね? 瞑想も同じです。頭のゴミや心の悩みを出してリセットする、体にとってはとても大切な行為なんです。2~3分でもいいですし、通勤中の電車内でもいいので、毎日行うようにしましょう。

瞑想には何の用意も必要ありません。だからこそ、ぜひ明日から取り入れてみてください。

 

[問い合わせ]
SUWARU
www.suwaru.co.jp

林田順子=取材・文  

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