2020.03.21
HEALTH

脚が攣りやすかったJリーガーが、90分間走りまくれるようになった時短トレ

「ジタンコウフカのススメ」とは・・・

時短高負荷

時短で理想のボディが手に入る「高地(低酸素)トレーニング」を、街中で体験できてしまうトレーニングスタジオ「ハイアルチ」。そのプロデューサー兼フィジカルコーチである新田幸一さんに、時短高負荷なトレーニングをレクチャーしてもらうこの企画。

今回は、プレー中の大事な局面で脚が攣ってしまうトラブルに見舞われていたJリーガーに、新田さんが提案した時短トレーニングを紹介する。

【教えてくれる人】新田幸一さん         時短高負荷
高地トレーニングを街中で体験できるスタジオ「ハイアルチ」の開発者であり、プロデューサー。長年のトップアスリートたちへの指導経験を活かし、高地トレーニングの効果を最大限に引き上げるメニューを構築。現在は、浦和レッズの槙野智章選手をはじめとしたトップアスリートのほか、大学駅伝の選手たちのトレーナーも務めている。

乳酸が溜まるのを遅らせて筋疲労への耐性を高める

誰もが一度は脚の攣り、いわゆる「こむら返り」に苦しんだことはあるだろう。あまりの激痛に、動くことすらままならない。ひどい場合は、数日にわたり筋肉痛のような痛みが長引くことも……。

当然、どのようなスポーツにおいても、脚の攣りは、パフォーマンスに大きく関わるトラブル。特にプロアスリートにとっては死活問題といっても過言ではない。

ハイアルチのへビーユーザーであるJリーガーB選手も、たびたび襲われる脚の攣りに悩んでいたという。ピッチを縦横無尽に走りまくることが要求されるポジションの選手にとっては、脚の攣りは実に深刻な問題だった。

「彼が頻繁に脚を攣る原因は、耐乳酸性の欠如にあると考えました。つまり、B選手は、筋肉疲労への耐性が低かったんです。筋肉に負荷をかけていくと、筋肉内には乳酸といわれる物質が徐々に蓄積していきます。そして、無酸素性作業閾値(AT)と呼ばれるポイントを超えると、筋肉内の乳酸の量は激増するんです。乳酸というのは筋肉疲労を悪化させ、脚のつりの原因にもなる物質なので、このATポイントに達すると、脚をつるリスクが一気に高まります。別の言い方をすると、筋疲労しやすく脚が攣りやすい人は、ATポイントに到達するまでの時間が早いことが考えられるのです」。

一般的には、筋持久力の高い人ほどATポイントに達するまでの時間が長く、長時間にわたり高いパフォーマンスを発揮できるといわれている。(※乳酸が筋肥大に貢献することを説明した第4回でも、ATポイントについて解説している)

時短高負荷

「実際、B選手は高強度のトレーニングをしたとき、心肺よりも先に脚にくる傾向が強かったんです。具体的には、180拍/分くらいまで心拍数が上がると、脚の動きが鈍くなる。この原因のひとつとして、ATポイントに到達するまでの時間が早すぎる、という見解は間違いありませんでした。ということでATポイントへの到達時間を先送りにするトレーニングを行うことが第一、と考えたわけです。そこで提案したのが、低酸素環境下で30分間、一定の心拍数を維持して走ることでした」。

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最大心拍数の80%程度で30分間走る

脚が攣りやすいことに悩むB選手に新田さんが課したメニュー。それは、自走式トレッドミルを使用して、最大心拍数の80%程度(B選手の場合は心拍数165拍/分程度)を維持して30分間走るというものだ。

時短高負荷

「最初は30分間ももたない感じでした。脚が攣るまではいかないですが、脚の動きが悪くなってしまう。しかし、回を重ねるごとに180拍/分まで心拍数を上げていっても脚にこなくなってきましたね」。

最大心拍数の80%以上で走るというのは、トレーニング強度として「キツい」に分類され、ある程度心肺能力が高い人ではないと持続的に行うのが難しいとされる。その一方で、心肺能力はもちろん、B選手の課題でもある耐乳酸性を高めるうえで有効な強度といわれている。このシンプルな時短トレーニングこそ、脚をつりやすい人にとっては非常に効果的なのだ。

時短高負荷
最大心拍数は、年齢や安静時の心拍数によって個人差が生じるので注意。また、実際にこのメニューに取り組むときは、安全確保のためにも写真のようなモニターや心拍計測機能のあるスポーツウォッチに表示される数値を逐一確認しながら行ってほしい。90%を超えたらペースを落とすこと。

ちなみにB選手は、週1回ペースで3カ月を目安にこのトレーニングを実施。開始して3カ月後、脚つりの頻度はあきらかに低下し、90分間をフルに走り回っても「脚が重たい」という感覚もやわらいだという。

「ただし、30分というトレーニング時間は、あくまで低酸素下で行った場合です。通常のジムや、街中で同等の効果を得るには、4倍の時間を要します。でも、最大心拍数の80%以上の強度で120分間走る、っていうのは現実的ではない。

ですから、低酸素環境下ではないところで耐乳酸性を高めるトレーニングとして僕が推奨しているのは、以前も紹介したバーピーです。これを20秒間内に12回のペースで行ってください。週に1、2回でOKです。慣れてきたら、どんどんスピードアップ。これぞ時短高負荷トレーニングですよ。確実に耐乳酸性は高まります。『脚がつりやすい』『走るとすぐに脚が動かなくなる』という人は試してみてください」。

「ジタンコウフカのススメ」
「忙しくて時間がない」「ジムトレもそろそろダレてきた」という男性諸君、ちょっぴりキツいけどサクッと終わるトレーニングはいかがだろう。キーワードは「ジタンコウフカ(時短高負荷)」。呪文のようだが、そこには科学の力を借りて効率よく体を変えるヒミツが隠れている。サッカーやラグビーの日本代表選手も通いつめる高地トレーニング施設のトレーナーに、理論と実践法を教わっていこう。上に戻る

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【取材協力】
ハイアルチ 吉祥寺スタジオ
住所:東京都武蔵野市吉祥寺東町1-17-18
電話番号:0422-22-7885
営業:10:00~22:00(平日)、10:00~19:00(土・日・祝)
http://high-alti.jp/
空間をまるごと低酸素状態にしたスタジオで行う「ハイアルチテュード(高地)トレーニング」を、気軽かつ、リーズナブルに体験できる日本初のハイアルチテュード専門スタジオ。専門トレーナー指導のもとでのトレーニングなので、安全に効率よく鍛えられる。都内では、吉祥寺のほかに、三軒茶屋、代々木上原にスタジオを構える。

 

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楠田圭子=取材・文 渡邊明音=写真

# ハイアルチ# 乳酸# 低酸素トレーニング# 時短高負荷
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