【オンライン飲み会最終回】恵比寿のビストロで働く看板娘がハワイで結婚式を挙げていた
世の中の自粛解除に向けた動きに合わせて、当連載でも新規取材を再開することになった。もちろん、マスクや除菌など細心の注意を払いつつ、だ。
そんなわけで、オンラインサービス「たくのむ」を利用して過去の看板娘と乾杯する企画もこれが最終回。ご登場いただくのは2018年10月に取材した麻里絵さん。
美味しい料理とお酒に感動したものだが、生まれたばかりの姪っ子にメロメロになっている姿も印象的だった。

「これは『toi toi』というニュージーランドのスパークリングワインです。トロピカルな香りが特徴で、お店でも夏になるとお出ししています」。
オンライン中継はお店から。背後にはジャクソン・ポロックらしき絵画が見える。麻里絵さんいわく、「うちのロゴとかを考えてくれているデザイナーさんが手配してくれました。原画……ではないでしょうね」。

「かなり大きくなりましたよ。お花が好きみたいで、散歩の途中で見つけるとすぐに駆け寄ってニコニコしています」。

え、麻里絵さん、ウェディングドレス?
「はい。入籍は去年の4月に済ませましたが、これは今年の2月にハワイで挙式をしたときの写真です」。
あらあら、おめでとうございます。2年8カ月も経てば人にはいろんなことが起きる。髪もずいぶん伸びた。

麻里絵さんが働く恵比寿のビストロ、「AELU&BRODO」は4月、5月は店内営業なし。テイクアウトを始めたため、出勤はしていたものの、やはり自宅での時間は増える。

「『魔女の宅急便』に出てくる『ぐーちょきぱん』というパン屋さんです。私、ジブリ作品が大好きなので。完成したらリビングに飾ろうと思っています」。
営業自粛中はテイクアウトに活路を見出そうとしたが、なかなかうまくいかなかったという。

「1万枚のチラシをポスティングしたんですが、うちは3階ということもあって苦戦しました。通常営業が順調に始まった今だからこそ笑って話せますけど」。
「AELU&BRODO」では最初に出す一皿を「ハジマリノサラ」と呼んでいる。今出しているものを見せてもらった。

左から順にご説明しよう。
味噌漬けにしたエリンギと鴨肉。乾燥したみかんの皮を散らす。お隣のグラスは冷製のコーンスープ。小麦粉で作る「ガダイフ」という細麺が挿してある。続いて、自家製のシメサバ。上にはクレソンやハーブのサラダを乗せた。最後はパプリカのムースに爽やかなトマトソース。
「最近のいちばん人気は、生のサーモンといくらを瞬間燻製した一品ですね。丸いドームをかぶせてチューブから燻製チップの煙を入れて一瞬で燻製にします」。

店内の植物にも変化が見られる。ひときわ大きな存在感を放つのは、紅葉の盆栽だ。

「根上がりもかっこいいなあと。オーナーのお父様が茨城にお住まいで、こういう盆栽とかを運んできてくれるんです」。
メダカも仲間に加わった。

「ちゃんと育てられるか心配でしたが、逆に元気すぎて。春から夏にかけては産卵期みたいで毎日2、3匹産まれています」。
店は席間を取りつつの通常営業に戻ったが、6月下旬から新たな挑戦も始めた。テイクアウトメニューで好評だった「海老出汁シーフードカレー」をウーバーイーツで売り始めたのだ。

「カレーはみんな好きだけど、そのなかでもキャラ勝ちできるような海老出汁にしました。ルーをひと口食べた瞬間に海老がガツンと来ますよ。お店では出さないので、ぜひ注文してみてください」。

あれ、新しいスタッフが増えてる?
「去年の9月から左端の前田くんが加わりました。22歳の若さなのに勉強熱心で、休みのたびに話題のお店や星付きのレストランに行って研究しています」。

メッセージ付きの蝶々の付箋で客を出迎えるという、麻里絵さんならではの心配りも健在だ。今回は特別に読者に向けて書いてもらった。

新規取材が始まれば、おなじみの看板娘からの直筆メッセージも復活する。110人目以降の連載記事を楽しみにしていてくださいね。
【取材協力】
AELU&BRODO
住所:東京都渋谷区恵比寿1-11-9 3F
電話番号:03-6456-4095
http://aeluandbrodo.jp
「オンライン飲み会という名の愉悦」とは……
これまで取材してきた109人の看板娘を振り返りながら、ふと考える。「あの人、元気かな?」。本来なら近況を聞きながら乾杯したいところだが、何しろこんなご時世。そこで思いついた。遠隔でオンライン飲み会を開けばよいのだ。さっそく、人気上位の看板娘にオファーしよう。 上に戻る
石原たきび=取材・文