ルームウェアはコンフォータブルであるべき。これに異論のある読者はいないだろう。
だが、リラックス、快適という側面を突き詰めるだけでは、心地いい部屋着の枠を出ない。
そこで、発想を変えた提案をひとつ。抜群の肌触りと上品な光沢がいつの時代も我々を魅了してやまないカシミヤをルームウェアにして、家と街をつないでみては?
そう進言するのが、今春にデビューしたコズ マニュファクチャード バイ ラッピンノット(以下、コズ)だ。
ディレクターを務めるのは人気女性スタイリストの安西こずえさん。「ニットを選ぶときはカシミヤがマイルール」と言ってはばからないほど。
そんな根っからのカシミヤラバーが、「手に取った瞬間、もう運命を感じちゃいました(笑)」と恋に落ちたのが、2012年春夏シーズンに誕生したラッピンノットなのである。
ラッピンノットは、新潟県五泉市で半世紀以上にわたりニットウェアを手掛けるメーカー、ウメダニットが展開する由緒正しきファクトリーブランド。ニットへの深い見識と優れた技術に定評があり、当然カシミヤもお手のもの。
安西さんがそのクオリティの高さに惚れ込み、カシミヤニットのみを取り扱うレーベルとして“コズ”をローンチしたというストーリーだ。
そうして出来上がった服は、家と街だけでなくジェンダーの境界線をも越える服だった。
後編に続く
酒井貴生(aosora)=写真 安西こずえ(COZ inc.)=スタイリング 平元敬一=ヘアメイク 菊池 亮=文