「感動の服」特集 Vol.70
2021.09.27
FASHION

カシミヤの王様を筆頭にした“最強の高級素材”TOP 3を生地のスペシャリストが選抜

雲上級の生地を使ったコレクションで知られるブランド「カンタータ」。そのデザイナーである松島 紳さんが本気で唸った3つの高級素材とは?

生地のスペシャリスト
カンタータ デザイナー

松島 紳さん Age31
北海道出身。OEMメーカー在籍後、コレクションブランドの企画生産として活躍し、2015年より現職。長く愛せるものが好き。古着に造詣が深く、ウエスタンブーツの愛用者でもある。

 

①アラシャンカシミヤ

生地のスペシャリストが本気で唸った!天下一品の素材で作る極上アイテムとは
「カシミヤの中のカシミヤ」と呼ばれる最高品質の「アラシャンカシミヤ」を100%使用。テーパードとワイドシルエットの2種から選べる。9万200円/ハクロ(山栄毛織 0567-31-4250)

カシミヤって高級素材の代名詞ですよね。でもカシミヤであれば何でもいいわけではないんです。

産地や種類によってランクがあり、この「アラシャンカシミヤ」はまさにトップオブトップ。カシミヤの王様です。つい頬ずりしたくなる素材で、一度知ってしまうと本当に危険。もう後戻りできませんよ(笑)。

さらに、一般的にカシミヤってコートやニットに見られるように、コーミングしていない紡毛から作られることが多いのですが、これは丁寧に繊維を梳いた梳毛。つまりスーツなどに使われる細い糸のカシミヤで作られています。

カンタータでウールや高級素材をいつも織っていただいている山栄毛織だからこそ作れる、こだわりの生地を使ったイージースラックスなんです。

「アラシャンカシミヤ」。

なので、素材の価値を知る人からすれば、実はとてもお手頃な価格。一般上代だと20万円近くはするスペシャルなアイテムを9万円台で出せるのは企業努力の賜物じゃないでしょうか。

素材を殺さないよう、とても丁寧に高密度に織っているため、しっとりしていて膝が本当に抜けづらく、リモートワークにも最適。ただデリケートな素材ゆえ、1日はいたら3日は休ませることをおすすめします。

 

②ウィンターキッドモヘヤ

高級絨毯のような滑らかな触り心地と羽織ったときの軽さは感動必至。企業秘密だという生地の織り方や染色方法は、もしテキスタイルアワードがあれば間違いなく賞を獲れるという。24万2000円/カンタータ(カルネ 03-6407-1847)

一見ベルベット素材のように見えますが、実は「ウィンターキッドモヘヤ」100%。これはカシミヤやシルクに次ぐ高級素材です。

それを高密度で打ち込むことにより、モヘヤの強靭なハリとコシ、光沢感を最大限に活かしています。生地の染め方も従来とはまったく違う新しい方法にチャレンジしました。

そもそもこの素材を作ったきっかけは、関西に出張が多く、ローカルで偶然乗車したある列車のシート生地の滑らかさ、耐久性、色合いに感動して、これを洋服にしたら絶対に面白いだろうと思ったから。ちなみにその車両は、新幹線の次に外装・内装にお金がかかっていると言われています。

「ウィンターキッドモヘヤ」。

袖を通すと、見た目以上に艶やかな「ウィンターキッドモヘヤ」にうっとりするはず。隙間なく詰まった毛羽が気持ち良く、軽い着心地をそのまま味わっていただけるようにデザインはごくシンプルに仕立てました。

一枚袖のラグランスリーブにしているので、光に当たったときに表れる陰影をぜひ楽しみにしてください。

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③バックサテンギャバ

オキシジェンタブやフラップポケット、左袖のジッパー付きポケットなど、フライトジャケットのディテールを採用。袖口のリブはあえて長めに取っており、たるませても、折ってもアクセントになる。20万9000円/カンタータ(カルネ 03-6407-1847)

最後は「バックサテンギャバ」。おそらくあまり耳馴染みのない生地名だと思います。

ベイカーパンツなどによく使われる、バックサテン生地の裏表どちらを表にしても成立するよう二重織にして、裏面をギャバジンにしたもの。それを「バックサテンギャバ」と呼びます。

今回はウール100%で作りました。高密度で織っているので生地に弾力があってとても丈夫です。表面にあたるウール特有の“スケール”という鱗(ちくちくするアレです)は、薬品で省きスベスベで滑らかな質感に仕上げています。

「バックサテンギャバ」。

これだけでもかなりのこだわりですが、実は裏面に付けたキルティングライナーもすごいんです。ミリタリーでよく使われる、ひょうたんが連なったように見える「ミリタリーキルト」を採用。ステッチの糸も通常使用される番手より太くしています。

本来ステッチを入れる理由としては、中綿が偏るのを防ぐためなのですが、日本を代表する高級車のシートを作っている工場にお願いすることで、ほかに類を見ない運針数で美しく丁寧に仕上げることができました。

まったく業界が違う工場ということもあり、上手くできるか不安で最初は難色を示していましたが、面白そうだしやってみよう! ということで実現に至りました。こんなストーリーも知ったうえで着ていただきたい洋服です。

 

清水健吾=写真 梶 雄太、来田拓也、星 光彦、野上翔太=スタイリング 増山直樹、早渕智之、長谷川茂雄、いくら直幸、髙村将司、大西陽子、森上 洋、中田 潤、今野 壘、オオサワ系、大木武康=文

# カシミヤ# コート# パンツ# ブルゾン
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